命とは
俺は仕事の帰りに休憩しようと思い、とあるビルの屋上にいる。
……だが、なぜこうなった?!
目の前には今にも屋上から飛び降りそうな美少女がいる。
その子を止めようと声をかけようとする高宮零斗
「あの…なにやってんの?」
ヤバい!言葉選び間違った!見ればわかるよなぁ
そんな事を考えている零斗をよそに美少女は口を開いたと思った。
---見ればわかるでしょ
少女は言葉を放っていないのだ。でも聞こえているそう、まるで脳内に直接語りかけているような感覚。
---正解。私は今脳内に直接語りかけてるの。貴方の脳にリンクしているわ。だから貴方の考えていることもわかるの。
「じゃあわかるだろ?今俺がやろうとしていること」
零斗は少女の手を掴んだ。一瞬の出来事だった。まるで時間でも止まったかのように。
少女は手を掴まれた瞬間脳にリンクできなくなったことに焦っていた。一方零斗は少女を自分の方に引き寄せ言い放つ。
「自分の命は大切にしろよ」
零斗は怒るわけでもなく優しい声色で言う。
少女はなにも言わない。
すると突然ポケットからメモ帳を取り出し何かを書き始めた。
『なぜ貴方に触れられた時能力が使えなくなったの?』
「俺の能力だよ。俺の能力は能力を無にする能力なんだ。だから君の手を掴んだ瞬間から君の能力が使えなくなった」
少女は納得したような表情を見せた。そして、零斗を突き飛ばす。
零斗は驚いたように何度も瞬きをした。
---じゃあ私に触らないで!
再び能力を解放させた少女は零斗の脳にリンクさせる。
零斗は苦笑いを溢し「ねぇ君コールに入らないか?」と真剣な表情で言う。
---なに……言ってんの。私はこれから死ぬの!だから
すると零斗は冷めた顔で「命は大切にするものだろ」
"勝手に捨てていいものじゃない"
なぜ今さっき出会った少年にそんな事を言われているのが訳が分からなかった。それに勝手に捨てるという表現が妙に胸に刺さった。