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メイドのいる日常ー2

ヤンデレが恥ずかしがり屋っていいですよね

俺は朝の閑静なる住宅街を歩く。


もちろん、奈央と一緒にだ。

さすがに学校に行く時までメイド服という訳はなく、普通の制服姿だ。


何故、奈央が俺と同じ学校に通う事になったかと言うと、俺を引き取った親戚、白檀家の取り計らいらしく、俺が一人暮らしをするに当たってサポートの為に奈央は此方に来た様だ。


それ故、俺が受験する高校も知っていたわけで、奈央は必死に勉強したらしい。

俺の為に必死にしてくれるのは素直に嬉しい。


と、ここまでトントンと語ってきたわけだが……


「なんで奈央は俺に引っ付いてるの!?」

「何って……ご主人様の温かみを……鼓動をこの耳に焼き付けて、感じているのですが…」


そう、奈央の頭は丁度俺の心臓部分に来ている、つまり俺は今奈央と密着している。

一言で言えばいわゆる腕組みというもので、大きな膨らみがぎゅうぎゅうと俺に押し当てられている。

それはなんとも柔らかく、男として感無量………じゃなくって!!


「なんでそんな事してるの?」

「ご主人様を1y(ヨクト)秒でも長く、1y(ヨクト)メートルでも近く感じたいのです」


俺の疑問に真顔で即答の奈央。

因みにy(ヨクト)とは単位につく接頭語の事で10の-24乗を表す。


つまり刹那より小さい。

うーん…分かりやすく簡単に言うと……極小さいのだ。


早朝とはいえ周りの視線が無いわけではない。

さっきも俺たちと同じ制服をきた先輩らしき女子たちに白い目で見られていた。


特に俺が。


大事な事なのでもう一度言おう。


特に俺が。


なので、一刻も早く離れて欲しいものだが、無下に断る事もしたくない。

それに、先ほども言った通り奈央は怒ると怖い。


だから、この場合はスルーが一番正しい選択肢なのだ。

それに、こんなに嬉しそうにしている奈央を見たのは久し振りだ。

最近は大量の家事を抱え込んでいたから疲れが溜まっているのだろう。


だから、俺はそれ以上何も言わない。

ただ、嬉しそうにニコニコと歩いている奈央を見ていると堪らなく愛おしい。


俺はいつの間にか奈央の頭を撫でていた。


「きゃぅ!?!?」


俺の手が頭を撫でると同時に素っ頓狂な声を上げる奈央。

奈央は顔を真っ赤にして目を白黒させながらこっちを見ている。


あ、ヤバイ。地雷踏んだ。


俺は怒られるのを覚悟し、目を閉じたーーが。


一向になにも起きない。

俺は恐る恐る目を開くと奈央は俺の腕から離れて道の端で縮こまっていた。


「…奈央……どうしたんだ?」

「ご主人様が……こんなご慈悲をくれるなんて…………私はどうしていいか……」


ああ、怒っちゃっていつものお世辞タイムに突入だよ……

どしようかなぁ……奈央が怒ったままだと今日の晩御飯がカップラーメンになったりするかも知れない……そんな事は今まで一度もなかったが、ないとは限らない。


ここは機嫌を取り直すようになんとかせねば。

かと言っても妙案を思いつくわけでもなく。


「奈央……ごめん」


ただ、素直に謝った。人間なにも言えないときは自動的に謝るものである。


「いえ、ご主人様は絶対に悪くありません!ただ、ご主人様は私に慈悲を下さっただけ……なのに何を私が怒ることがありましょうか!私はむしろ…うぅぅ…」


と、奈央は立ち上がって言う。

怒ってないのなら良かった。ただ、奈央は再び顔を真っ赤にして屈んでしまう。

最後の部分は声が小さ過ぎて聞こえなかったのだがなんといったのだろうか?


だが、こうしていても拉致があかない。

それに、家は余裕を持って出たはずなのだが、もう時間はギリギリだ。


「奈央、立って。学校遅れるぞ」


俺はそう言って手を差し伸べる。

すると奈央は真っ赤に耳まで紅潮した顔を上げるとその手をおもむろに取った。


すると奈央は吹っ切れたようにはにかんで笑った。


「はい、急ぎ参りましょう、ご主人様!」


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