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ラムラッケ!! Dream Christmas  作者: 紫丁香花
7/13

12月23日 月曜日

来たれクリスマスパーティー!


薄野「クリスマスだよ!」


渓「全員集合!」


孝之「えんやーこーらやっと、ぶんちゃちゃこーらやっと」


恭子「何であんたも参加してるのよ」






16日の騒動以降も何かしらの騒動があった、しかし、破壊工作等は至ってなかった。


例を挙げると……



恭子「こらー!待ちなさい!」


薄野「フハハハハハハ!待てと言われて待つ奴がいるか!」


アトリウム全体を正月風に変えたり。


恭子「こらー!待ちなさい!」


薄野「フハハハハハハ!待てと言われて待つ奴がいるか!」


奏のクラスのチャイニーズドレスを水着に変えたり。


恭子「こらー!以下略」


薄野「フハハハハハハ!以下略」


ファクトリア校舎屋上に大黒さまのバルーンを乗せたり


恭子「こ以下略」


薄野「フ以下略」


クリスマスツリーの上に飾ってある星を取ったりと笑えるような騒動がずっと起こっていた。






恭子「ほっんとムカツク!」


レンガ館西側の広場で雪像を創りながらぼやく恭子、恭子の他にも様々な人達が手伝ってくれている、主に雅が引き抜いてきたボランティアだが。


雅「すまんのぉ、手伝ってもらって」


「いえいえ、我々もいつもお世話になってもらってますから」


総勢30名で五体の雪像を作る。サンタ、トナカイ、雪だるま、学園長の雪像、そして雪ミク。


恭子「この雪ミクって何?」


創りながら疑問を抱く、其に何処からか現れたら渓が答えた。


渓「初音(はつおと)ミク、昔から有名なボーカロイドアイドルで冬のシーズンだけ雪ミクとして活動するだ、世界的にも有名だぞ」


恭子「あんたどっから出てきたの」


渓「いや、神楽が恭子をつれてこいって」


恭子「カグチが?」


カグチ事東神楽に呼ばれた恭子はその場を渓に任せて教室に向かった。


渓「って何で俺がやってるんだぁあ!」


渓は寒空の下、ボランティアと一緒に作業するのだった。








学園内を見回る孝之、隣には手を繋いでウキウキしながら一緒に見回る春音がいる。

ご機嫌よく鼻唄を唄いながら見回る春音、其れを微笑ましく見る孝之、しかし視線は春音だけを見つめている訳ではない。ブラックサンタも注意して探す。16日の騒動以降も騒動が起こってはいるが留萌奏のお陰か致命傷と言えるような騒動は起こってない。

至って平和的だ。


孝之「平穏……かなぁ」


まぁ彼方此方から待て~とかそんな声が聞こえてくる。完全に制圧したとは言い切れていない。


孝之「春ねぇ、少し手伝ってこよう」


春音「うん!いいよ!」


了承が早い。


春音「初めての夫婦共同作業だね」


孝之「色々ツッコミたいけど後でね」


屈託無い笑顔で言われたら否定しにくい、孝之と春音は声のする方へ走り出したのだった。






二条館本校三年生のクラスにて三人のブラックサンタが何か妨害していた。春音は得意の物質錬成魔法によって虎がらのちゃんちゃんこと下駄を作り出した。

其れを孝之は先ずちゃんちゃんこを浮遊魔法を使って一人のブラックサンタに巻き付ける。

直ぐ様下駄を履き蹴り投げた。


孝之「リモコン下駄!」


下駄を浮遊魔法を使って残り2体のブラックサンタの顔面にぶつけた。仮面を着けているにも関わらず後ろに倒れた。


そして春音が丈夫な縄を作り出し三人のブラックサンタを縛り制圧した。


孝之「何で下駄とちゃんちゃんこ?」


春音「焦ってたから…」


苦笑いする春音に孝之は微笑んだ。












三条館、予科2年3組の教室、既にクラス内の装飾は完成していた。黒板側によくケーキ屋さんで見る冷蔵ショーケースが在ることに何も知らない者は驚くだろう。

深夜に男子生徒総出で設置したのだ。まぁ其れは置いといて、教室には孝之、恭子、東神楽と他数名のクラスメートがいるが、そこに薄野の姿はない。


恭子「あー寒かったぁ~」


身体をブルッと震えさせる恭子。


東神楽「当日は温かい飲み物が出るわ」


恭子「今は出ないのね…」


東神楽「当たり前じゃない、お金に成らないでしょ」


真顔でそう言う東神楽に恭子は少しふてた。


孝之「でいきなり呼び出したのは何でだ?」


先程孝之の所にも連絡が来て直ぐに教室に来てみれば皆が険しい顔付きで悩んでいたではないか。


東神楽「男子達が居ない間に対策をたてないとね」


孝之「いや俺は?」


東神楽「孝之は頭数に入れてないわ」


恭子「其れで対策って?まさかブラックサンタ?」


東神楽「ええそう」


他のクラスでもブラックサンタに対する対策をしているようだが全容は知らない。ブラックサンタと関係性が無い孝之はこの対策会議に呼ばれたのだ。


恭子「で一体何の対策をするわけ?ケーキの種類とか材料とか、スポンジだって今頃出来てる頃じゃない?」


西神楽がここに居ないのは家庭科室にてケーキの下拵えをしているからだ。


東神楽「ケーキじゃないわ、当日彼奴等に何かされる前の対策よ、例えば襲撃された場合とか」


孝之「成る程な、彼奴等ならやりかねないな」


東神楽「まっ破壊工作迄はしてこないと思うけど……」


先日の留萌奏の宣言により破壊されるような被害は出てない、となると当日もそんな最悪な事態には成らないだろうが。


孝之「うちのクラスは恋人が集まるようなコンセプトだからなぁ、狙われるのは間違いない」


恭子「かったるいわね……、何で妬みだらけの男子相手にしなきゃならないのよ」


今の恭子にどうやらやる気と言うものは無いらしい。


孝之「まぁ一番良いのは俺と恭子が交替で見張れば良いんじゃねーかな」


東神楽「私もそう思ってたの」


恭子「じゃ其れで……ってちょっと待って、それじゃぁあれよね」


孝之「どれだよ」


恭子「いや……あの……あれよ」


口ごもる恭子に東神楽は察することが出来たが孝之には理解できてない。


東神楽「まっ当日は二人っきりで歩いて廻れないわね」


恭子「だっ誰が!そっそそそそそんな事を!!」


孝之「あー、そっか当日は恭子と祭廻れないのか」


理解した孝之だが遠慮と言うものを知らない。いや、状況を理解出来てない。


恭子「んなっ!」


絶句する恭子とニヤニヤする東神楽、東神楽は気を使ったのかこんな提案をする。


東神楽「まっそう言う事だから、今日だけは二人だけの仕事を用意した」















孝之「う~…、外は寒いなぁ」


東神楽が用意した仕事は極々簡単な買い出しだった。何処で使うのか分からないパーティーグッツやチョコレートのプレート、デコレーション用のお菓子類、ほんの一時間も掛からずに買い終わった。

とはいえ恭子的にはこのまま帰るのは勿体ないと感じていた。

狸小路にあるドンリーホーテを出て学園方向に足が向かう。


孝之「思うんだけどさ…」


恭子「なっ何?」


孝之の顔を見ると何故かその顔は真剣に何かを伝えようとするそんな顔付きだった。

思わず胸の鼓動が早くなる恭子だったが。


孝之「何でドンリーホーテって焼き芋なんか売ってんだ?」


そんな馬鹿な事を聞いてくるので恭子は素に戻る事が出来た、そして同時に呆れたような顔になった。


孝之「毎回気になるんだよな、態々あんな処で売る必要あるのかなぁとか、化粧品の臭いとミスマッチしてるのになぁとか」


恭子「私が知るわけ無いでしょ」


孝之「まぁそうだよな」


恭子「たく、急に真面目な顔したと思ったらこんな下らない事言うなんて」


孝之「良いだろ別に、それとも何かクリスマスシーズンだからもっとクリスマスっぽい話ししろとかか?」


恭子「そこまでしろとは言わないけど……」


辺りを見渡せば狸小路はクリスマスカラー一色だ。腕を組むカップルもチラホラ見るが、大通公園とか地下歩行空間とかポールにオーロラを想像してみるとそっちの方が多い気がする。特にヒロシ前とか。


せめてこの空気にのまれて腕を組んでも可笑しくはないかなと思ったりもするが。


孝之「注目されてるな…」


恭子「えっ!何が!?」


孝之「いや、だから注目されてるなって恭子が」


よくよく見渡せば確かに見られている気がする。其れは決して美人だからとかではない、まぁ恭子は美人なのだが、其よりも彼女が魔法界において世界で二番目に強いからだ。


恭子「そうね……」


興味本位で見られたくは無いのだがカテゴリー5故の運命。仕方の無い事だ。


孝之「まぁあれだろ、美人だから注目されてるんだろ」


恭子「からかわないでよ」


そう冷たく言って孝之の前を二、三歩前を歩く。


孝之「んまぁ少しからかったけど」


からかったんかいとツッコミたくなる恭子、少しイラつく。


孝之「けど俺から見ても恭子は美人だぞ」


その言葉に顔が火照る。


恭子「なら……」


恭子は歩くスピードを落として言う。


恭子「なら……、私を恋人にしたいとか思ったりする?」


孝之「いきなり何いってんだ?」


恭子「ほら!おっ男の子って直ぐ彼女欲しいとか言うじゃない…、渓とか」


孝之「渓は異常者だからなぁ」


今ここに渓が居たら真っ先に反論するだろう。


恭子「どっ…どうなのよ」


孝之「彼女か……彼女ねぇ……」


両者共に歩みを止める。喧騒とする狸小路の中で孝之は小さく囁くように言った。


孝之「俺に恋愛って感情があれば、きっとそんな道もあったんだろうな……」


周りの人には聞こえない声、しかし伝えたい人にはしっかりと聞こえていた。


恭子は分かっていた、問いの答えを其れでも、もしかしたらと思ったクリスマスの奇跡があるとするなら。

不意に左手に温もりを感じた。

左手を見ると彼の手が温かく握られていた。


孝之「さて、戻るのもなんか勿体無いし、どっかよってこうぜ」


そう言って無邪気に手を引く孝之を見ていると何だか昔を思い出す。この笑顔を守るために私はカテゴリー5になったのだと……。


恭子「えぇ」


恭子はそう頷いて足早に狸小路を駆け出したのだった。








様々な思惑が渦巻くクリスマスパーティー前日、


一人の男は一部の野郎共の意思を受け継ぎ、一人の男は其に強力する。


一人の女はその男達の対策を考え殲滅させようとする。其れを微笑んで送り出す女と、ニヤニヤ笑う女。


一人の女は其れをどんな風になるのかを楽しみに眺め、一人の女は大好きな弟と一緒に廻るのを楽しみに、二人の女は一人の男の策略をどう凌ぎ、自分達色のクリスマスを作れるか暗躍する。


そんな思惑がクリスマスパーティーをカオスにして行く。


そのカオスを晴らすのはこの男しか居ないのかも知れない。





ラムラッケ、其れは幸福をもたらす魔法の合い言葉。




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