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ラムラッケ!! Dream Christmas  作者: 紫丁香花
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12月10日 火曜日

朝っぱらから校外を見回す。校舎周辺を見回してみる。何故そんな事をするのかというと……。


恭子「何で?」


孝之「彼奴の事だから意外な所から攻めてきそうだなっと」


春音「いくらなんでも薄野くんがそんな事するかな……」


三人で本校舎周辺を見回る。


恭子「でも流石に」


と言った瞬間、ピカーっと目の前が光った。


「フハハハハハハ!フハハハハハハ!ハーッハッハッハッハ!」


大袈裟な笑い声が響き渡る。

その声の主を三人は知っていた。


恭子「本当に来たわよ…、馬鹿は馬鹿を呼ぶのね」


孝之「それ軽くディスってるよね!」


笑い声の主、薄野が姿を現した。


薄野「フハハハハハハ!おはよう諸君!」


恭子「何がおはよう諸君!っよ!いきなり何するのよ!」


そう聞かれて薄野が企んだかのような笑みを浮かべて答えた。


薄野「宣戦布告だよ羅臼恭子よ」


恭子「何のよ」


やや呆れたように聞く。


薄野「貴様等生徒会が千歳孝之を引き抜いたとなれば、最早狼煙が上がったも当然だろう、我ら秘密組織ノエルの悪夢はクリスマスパーティーを全力で妨害する事をここに宣言する!」


恭子「しなくていいわよ」


春音「それを言うためにわざわざこんな事を?」


こんな事、つまりは閃光弾を使って目眩ましをし宣戦布告を叩き付けるめんどくさい真似をしたのか?

と言う事。

薄野は当然の如く言った。


薄野「無論!」


恭子「やっぱ馬鹿だわ…」


孝之「こいつと一緒にしないでもらえますか」


薄野「フフフ、言いたい事は以上だ!では去らば!」


そしてまたピカーっと光り、目がなれた頃には薄野は消えていた。


孝之「世話しない野郎だ」


孝之そういってため息をついた、ふと恭子を見ると何故かその顔がやる気に満ちていた。


恭子「上等じゃない。纏めてぶっ潰してあげるわ、カテゴリー5の名に懸けて!」


変なスイッチが入っていた。





この世界には魔法の順位がある、世界最強の属性魔法使いカテゴリー5、今はこの説明で納得してもらいたい。









見廻りを終え、教室に行くと平然と席に座る薄野が居た。


恭子「何故かしらね、物凄く腹が立つ」


孝之「あー、……その気持ち今やっと理解出来た」


孝之はそういって薄野が座る席迄歩き挨拶する。


孝之「よう薄野」


薄野「むっ何だ千歳孝之か」


孝之「何だじゃねーよ、朝っぱらから閃光弾使いやがって」


薄野は何故か訝しげに孝之を見て言った。


薄野「一体何の話しをしているのだ」


孝之「はっ?いやだからな、いきなり朝から宣戦布告とか」


薄野「見覚えがないなぁ」


無性にイライラしてきた。


薄野「そもそも俺は朝、サンマリクカフェで優雅に朝食をとり、つい先程教室に来たばかりだぞよ、嘘だと言うならばそこらにいる連中に聞くがよい」


聞いたって無駄だ、何故なら他の連中に幻術を使って誤魔化せる。


薄野「まぁしかし面白い話しだ、俺に似た何かが宣戦布告してきたと……、間違いない、其れは妖怪(ドッペルゲンガー)の仕業に違いない」


最早話しを聞かない孝之は薄野を放っておいて自分の席に座った。


夏実「何だかぐったりしてますね兄さん」


夏実が話しかけてきたが答えるほどの力は残っていなかった。そして朝のチャイムが鳴るのだった。











昼休み、今日もアトリウムに弁当を持ち込む孝之、昨日と違う所はメンバーが春音達ではなく、薄野と渓の二人だった事くらいだろう。


渓は素うどんを薄野は中華ランチを頼んだ。


渓「素うどんは安い上に旨い!財布にもお腹にも優しいよなぁ~」


孝之「お腹に優しいって……何かの錠剤かよ」


薄野「頭痛にバファルィン」


孝之「いや違うし」


こうして男だけの昼食も然程珍しい事ではないが何だか久し振りな気がした。

そして大抵三人で集まると良からぬ事がおこる。


それが起こったのはご飯を食べ終えた。


薄野「知っているか?クリスマスシーズンになると学食メニューにクリスマスメニューが出ることを」


孝之「………いや、知らないし」


少しの沈黙の後に発する孝之。

その後も言葉は続く。


孝之「つーかクリスマスメニューが出てるなら頼めよ」


薄野「生憎今日の気分はラーメンだったのでな」


孝之「さいで…」


渓「まぁあのターキーは食ってみたいな…」


孝之「俺はプディングかな」


薄野「俺はチキンライスでいいや」


孝之「いや、チキンライスないから」


渓「にしてもあのクリスマスツリーパフェ、誰が頼むんだ?」


高さ50センチ程の巨大なパフェ、一人で食べるには幾分大きすぎる。


薄野「頼んでみるか?」


孝之「パフェをか?」


薄野「無論」


しかし言葉は続く。


薄野「これでだ……」


取り出して来たのは極々普通のトランプだった、そして二人は察した。


渓「今ここでやるのか!?」


薄野「1ゲームは余裕で出来る」


孝之「何をするつもりだ」


息を飲む二人に薄野は答えた。


薄野「その名も……鬼抜きだっ!!」






薄野は月一ペースで自身が考案したSゲームを持ってくる。このゲームの敗者には容赦ない罰ゲームが下され、孝之、渓にとっては鬼畜ゲームに他ならない。


今回の鬼抜きとは52枚のガードと二枚のジョーカー計54枚のガードを使用して行う。ペアが揃えばカードは廃棄。


孝之「えっ、ちょっと待てペアが揃えば廃棄ならカード全部揃うだろ」


偶数なのだから余る筈がない。


薄野「まぁ最後まで話しを聞け、廃棄出来るカードはジョーカー以外のカードのみ、つまりジョーカーが揃ったとしても廃棄は不可だ!」


渓「なるほど」


孝之「でもよ、それじゃ敗者が二人出るんじゃね?」


一人だけにジョーカーが2枚いけば良いが、下手したら二人一枚持つ事になりあがれないのでは。


そんな疑問も薄野が解決した。


薄野「クリスマスツリーパフェの値段は3,800イコル、因みにイコルとはこの国の貨幣だ」


孝之「いや知ってるし!」


薄野「一人で3,800イコル払うのか、割り勘して一人1,900イコルにするか……、それに勝者は一人で充分だろう」


孝之・渓「「……確かに」」


馬鹿の意見が揃った。


薄野「では始めようではないか」


こうしてバトルロワイヤルが始まった。








孝之の最初の手札にジョーカーはなかった。薄野の顔を見ると自信ありげな笑みを浮かべて居た。渓の方はと言うとあんぐりと口を開け青ざめていた。

間違いなく渓がジョーカーを持っているように見えた。


薄野「さぁ定山渓よ、引くがよい」


渓「あっああ…」


そういって薄野は渓にカードを突きつける。渓は一枚引く、そして更に青ざめた。


孝之はやりやがったなっと悔しそうに薄野を睨む。

順番は決めてなかった故に勝手に決められたのは腹立つがこれが勝負の世界だ。と言うのが薄野の持論。


渓「ほら孝之引けよ」


苦笑いする渓、異様に2枚だけ飛び出していた、間違いなくジョーカーだ、そう思い違う方を引くとジョーカーだった。

渓はどや顔を見せていた、渓も中々の策士だった。








勝負は終盤を迎え孝之の手札は三枚、渓が一枚だった。尚薄野はもうあがった。


孝之『くそ…まさかこうなるとは、まぁ良い後は運頼みだ』


渓が孝之のカードを引く、引いたカードはジョーカーだった。


孝之『これで渓もジョーカーが一枚、後は渓がもう一回ジョーカーを引いてくれれば』


そう思って渓の手札からカードを一枚引く、引いたカードは……ジョーカー。


孝之『ちくしょ!』


再び孝之のカードは三枚に、そしてまた渓がジョーカーを引きカードは二枚になった時、孝之は気がついた。


孝之『ちょっと待てよ……、渓がジョーカーを引いて、あいつが手札二枚、俺二枚……次が俺が引く番で……』


そう孝之は気がついたのだった、どうやっても孝之は勝てない。孝之が渓のジョーカー出ないカードを引いても、自身の手札にはジョーカーが残る。

仮に孝之の手札が三枚で渓がジョーカー出はないカードを引けば孝之の手元にはジョーカーが二枚。


つまり孝之は既に敗者だった。そう知らぬ間に薄野の魔の手に嵌められていた。


孝之「薄野てめぇやりやがったな!!」


薄野「何の事だ?」


惚ける薄野だが、その表情は全てを知っているかの様な顔だった。


孝之「こうなりゃ自棄だ!渓!一緒に死のう!」


渓「何で男と心中しなきゃならねーんだよ!」


そう言って孝之は渓の手札からカードを引く、引いたカードはハートのエースだった。













試合に勝って勝負に負けるとはこの事なのだろう、渓と割り勘してパフェを購入しテーブルの上に置く。


薄野「素晴らしい」


渓「まぁでもよ男三人でパフェ頬張るのも絵面的に気色悪くね?」


孝之「別に良いだろ、こうなったら買った分だけ暴食いしてやる」


そういってスプーンを持った時だった。


西神楽「はれれ?何やってるの?」


東神楽「それって…クリスマスツリーパフェね」


神楽s二人が現れた。


薄野「おう、これは奇遇なり」


東神楽「何言ってるの、面白いものが見れるから来いってメールしたじゃない」


どうやら薄野が二人を呼び出したらしい。


薄野「それに関しては遅かったな…、既に勝敗がついたのだ」


あのSゲームが面白いものかと心の中でツッコミを入れる孝之。


薄野「しかしながらこれも何かの縁、二人とも食べて行くが良い」


西神楽「ほんと!やったー!」


勝手に呼び込んで等と言う不粋な気持ちは孝之も渓にもなかった。


五人で分けあってもまだまだ量がある、意外な程に量があったと少し驚く。


渓「やっぱ女子に奢るって考えると気持ちが楽になるよな」


孝之「いやならないし」


渓「何でだよ!可愛い女の子がパフェだぞ興奮するだろ!」


東神楽「相変わらずの性癖ね」


薄野「広辞苑の辞書でも引くがよい定山渓イコール変態と出るかもな」


西神楽「んー、検索してみたら温泉がいっぱい出てきた」


孝之「今度からこいつの名前銭湯だな」


渓「何でだよ!でも銭湯から聞こえる女子達の声を聞くと…グフフフ」


東神楽「大半はお婆ちゃんだけど」


渓「やめろぉ!萎えるだろ!」


下らない話しをしながら五人でパフェを完食したのだった。










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