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ラムラッケ!! Dream Christmas  作者: 紫丁香花
3/13

12月8日 日曜日・12月9日 月曜日

12月8日 日曜日


この日三馬鹿(薄野、渓、孝之)は街中の大きなCDショップ「タワードレコード」に来ていた。


目的は好きなアーティストのCDが出たとか、握手会があるとか、サイン会があるとかではない。


クラスの出し物で店内に流すBGMになりそうなCDを買いに来たのである。

其れもただ単に買いに来たのではない、ゲームをしながら買いに来たのである。


薄野「第一回チキチキBGMはどれが良いでしょね?選手権!!」


渓「うおっしゃー!」


孝之「何これ……」


薄野「ルールはとても簡単、店内に流すBGMになりそうなCDを購入、クラス内で多数決をとりBGMに決定したCDを購入したものが優勝と比較的簡単なゲームだ。ただし、負けたものは優勝者が購入したCDの代金を支払って貰おう」


孝之「はい、質問」


薄野「何かな?」


孝之「CDは各自一枚か?」


薄野「無論その通りだ」


孝之「このルールだと敗者は二人出そうな気がするけど」


薄野「二人で一枚のCDの代金を払うのだ。かなり優しい罰ゲームだろぅ」


確かにこいつが考える罰ゲームの種類の中では優しい方だ。


渓「じゃ!早速やろうぜ!勝つのは俺だがな!」


薄野「ふっ貴様がこの俺に勝つなど10年と3日と5時間早いわ!」


孝之「細かいな!」


こうして馬鹿共の戦いが始まった。









普通に考えればこの勝負俺の勝ちだ!

そうたかをくくっていたのは渓だった。クリスマスシーズンとも成れば必然的にクリスマスソングが流れる、そしてクリスマスソングだけを集めたアルバムが発売されている。それを買えば最早草、目を瞑ってても勝てる勝負だ。


渓「へへ~ん楽勝だってばよ!」


そしてお目当てのCDを手に取りレジへ並ぼうとした時、彼の内に眠る悪魔が目覚めた。

気が付けば彼の回りには恋人が沢山、やれイチャツク男女、腕を組んだり、手を繋いだり、挙げ句の果てにはキスをしていたり、渓の中で何かが憤怒した。


渓「リア充なんて…滅びてしまえぇえええ!!」


そういって持っていたCDを置き別の売り場へと向かった。











クリスマスソングのアルバムを買えば勝てる、其れは簡単な答えだった。孝之はその結論に至るまで時間はかからなかった。しかし彼の頭の中に最近のクリスマスソングと言う事は浮かばなかった。


孝之「やっぱクリスマスと言えば山上達郎、竹外まりや、B'sだよなぁ」


凡そ200年前に活躍したアーティスト達のクリスマスソングをオルゴールで奏でているCDを購入しようとしていた孝之。


孝之「オルゴール……いや生歌の方が良いか……」


オルゴールにする生歌にするか悩んでいた。



三人は悩みに悩んで購入したCDは後日クラスメイト達に多数決をとってもらう事にあるのだが、最早勝利が誰のものになるか予想はついていたのだった。












12月9日 月曜日



この日のホームルームにて昨日孝之達が買ってきたCDが御披露目された。


薄野「……と言うわけだ」


買ってきた理由を説明し、多数決をとることも説明した。ゲームに関しては何も発言してない。


東神楽「其で何を買ってきたの?」


当然皆気になっていた。


薄野「まぁ慌てるな、先ずは千歳孝之からだ」


発表の順番は孝之、渓、薄野である。

軽く挨拶をする。


孝之「俺が買ってきたのは『century X'mas』ってアルバムだ」


恭子「何か予想つくんだけど」


孝之「まぁ収録曲全て200年前の曲だ」


恭子「だろうと思ったわよ」


CDプレイヤーにCDを入れて再生する。流れてきたのは山上達郎のクリスマスイブのオルゴールバージョン。


西神楽「わぁオルゴールだ」


東神楽「歌じゃないの?」


孝之「まぁオルゴールの方が雰囲気出るかなって」


恭子「中の曲が古く無ければ良い所だったわね……」


っと文句は言われるが先ず先ずといったところ、次は渓の番だ。


渓「俺が選んだ曲はこれだぁあ!」


流れてきたのは何故かお経だった。


恭子「葬式にするつもりかあんたは!!」


直ぐ様止める恭子、孝之が疑問の眼差しで渓を見て言う。


孝之「何故にお経?てかお前勝負の事考えて買ったのか?」


渓は悔しそうに言った。


渓「ああ、途中迄は考えてたよ。でも…でも!!カップルを見るとぶち壊したくなる衝動に襲われるんだよお!!」


恭子「馬鹿じゃないの」


冷徹に言う恭子に渓は腰から砕けたように倒れこんだ。


薄野「では次は俺だな」


薄野が流したのは何処か聞き覚えのある曲だった。

孝之にとっては……。


薄野「はぁ~、祭りだ祭りだ祭りだ祭りだ!」


孝之「サブちゃんか!クリスマス関係ねーじゃん!」


薄野「何を言う。クリスマスパーティー……パーティーイコールフェスティバル!フェスティバルイコール祭りだ!!」


言ってる事は分からんでも無いが、クリスマスには似合わない。


恭子「何で三馬鹿にCD買わせるとこうなるのよ……」


孝之「ちょっと待て!俺はまともだろ!」


恭子「選曲が古すぎるわよ…」


孝之「じゃあ恭子、お前にとってのクリスマスソングは!」


恭子「えっ!?えーと……恋人はサンタクロース?」


孝之「……人の事言えないだろ」


恭子もまた古すぎる曲しか知らなかったのであった。
















放課後、孝之は恭子に連れられて生徒会室に向かっていた。


孝之「何で生徒会に…、何も悪いことはしてねーだろ」


恭子「まぁあんたの場合はこれからするのよね」


孝之「だからな」


恭子「安心しなさい、別にあんたをしょっぴくとかじゃないから」


何故呼ばれたのか理由が分からないが仕方なく孝之は生徒会室に入っていく。


中には四人の女子生徒が席について何かの議論をしていた。孝之達二人に。孝之が良く知る人物が席を立って話しかけてきた。


春音「あっ孝くーん、いらっしゃ~い」


「お待ちしてました~」


もう一人話しかけてきた、彼女は席を立たず座ったまま挨拶をした。見た目からも喋り方ものんびりしているこの人は生徒会長の岩見沢(いわみざわ) 由香(ゆか)。由香の右手側に座っているのが副会長の陸別(りくべつ) 花梨(かりん)、左手は書記の釧路(くしろ) (みやび)である。


花梨「これでやっと本題に入れますね」


孝之「本題?」


訳が分からぬまま、春音に席を誘導させられて座った。


由香「はい~、実はですね~、クリスマス~パーティ~の事で~でして~、折り入って~ご相談が~」


ゆったりとした喋り方に話が頭に入ってこない。それを察してか恭子が代わりに話し出す。


恭子「前に話したブラックサンタの事よ」


孝之「確かクリパで何かやらかす奴等の事か?」


人の事言えないでしょっと言いたくなるがここは抑える。


恭子「そいつらがどうもきな臭い事をやりそうだから…、ほらクリパをぶち壊すとか言ってる連中でしょ」


春音「もしかしたらクリパを中止にせざるを得なくなっちゃうの」


孝之「えっ!?其れは困る!!」


困る処の騒ぎではない。


花梨「そうなる前に未然に防ごうと」


孝之「?」


恭子「クリパが始まる前にノエルの悪夢達の強行を防ぐって話し」


孝之「はぁ……」


恭子「ノエルの悪夢に関わる者に関して厳正な処分を下したり、何か破壊工作があるなら未然に阻止する。当日もね」


孝之「つまりは?」


雅「クリパ期間中に臨時風紀委員を設立しようじゃないかと言う話しじゃ」


孝之「風紀委員ですか…、あれ?風紀委員ってなかったっけ?」


恭子「無いわよ、其で生徒会はその臨時風紀委員にあんたを任命しようって訳よ」


孝之「へぇ……って何で!?」


花梨「目には目を、歯には歯を、馬鹿には馬鹿を……です」


孝之「今馬鹿って言いましたよね!?今馬鹿って!!」


恭子「仕方ないでしょ、首謀者があの馬鹿達なんだから」


あの馬鹿達と言われて思い浮かぶのはあの二人。


孝之「つまり、薄野と渓が首謀者ってことか」


花梨「本人達は否認してますが、間違いなく彼等でしょう」


孝之「じゃあ今のうちにしょっぴけば?」


恭子「そんな事してみなさい、『我々は生徒会の冤罪によってクリスマスパーティーを蔑ろにされた。よってここに訴えを起こす!』とかなんとか言ってくるわよ」


伊達に薄野と事構えた事はない恭子。孝之も納得の説明だ。


雅「つまりじゃな、あの巨悪と渡り合うには巨悪を使うしかないっと、そう言う結論に至った訳じゃ」


何だか不本意な決まりかただが、正直、薄野と対戦出来ることに何故かワクワクした。


春音「協力してくれる?」


上から甘えたように言ってくる春音、正直春音に頼まれたら断れない。


孝之「わかりました、協力致しますよ」


春音「わーい!やったー!」


両手を挙げて喜ぶ春音にやれやれと言う顔を見せる花梨、口許が緩む雅、恭子は誰にも見られないように微笑んだ。















とある部屋にて、暗闇の中男達の声が響く。


「どうやら同士千歳孝之は生徒会側に着いたようだ……」


「へっ、まさか彼奴と戦う事になるとは……」


「奴とはそう言う運命だった、ただそれだけだ」


「どうするよ」


「ふん、簡単な話しだ、徹底的に叩きのめす。我らノエルの悪夢が勝利するのだぁあ!!」


そういって男が拳を挙げると野太い声が室内に響き渡った。








廊下を歩いてたらいきなり野太い声が聞こえビクつく女子生徒、じっとその声がする方を見ていると後ろからこそこそと小さな声が聞こえた。


「ひっ!苫小さん壁に睨んでるよ」


「いっ行こ!」


睨んでいるつもりはなかったのだか、どうも目付きの悪さのせいか人から避けられる。

彼女は少し寂しげに廊下を後にしたのだった。











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