12月25日 水曜日 Innocent finale
可愛らしい聖歌隊の衣装を身に纏った奏、衣装のデザインは某有名二次元アイドルが着ていたのとほぼ同じのを着ていた。
少し不安だった、今迄聖歌等唄った事がなかったからだ、しかし練習に練習を重ねた、かつて彼に教えてもらった秘密の部屋で練習もした。
彼には会えなかったが……。
あの人は見に来てくれるだろうか…
見に来て欲しい…
奏は来ることを信じてステージ立つのであった。
会場はかなり混雑していた。それは正に人がゴミのように見えるほど。
薄野「フハハハ!見ろ!人がゴミのようだ!」
孝之「ロムスカ・パ〇・ウル・ラピュタの真似か!」
恭子「何で正式名出すのよ分かりにくいわよ」
孝之「でもこんだけ人が居るとなぁ…」
薄野「心配ない既に席は準備してある」
そう言って薄野は人混みを掻き分けていく、それに渓達が後ろから着いていく、して着いた所が最前列真ん中だった。
渓「うひょー!」
西神楽「よく空いてたね」
薄野「幻術に不可能はない」
どうやら他の人には薄野達が居たところには誰か居るように見せていたようだ。
ステージからみて右から薄野、渓、西神楽、東神楽、恭子、孝之と横に並ぶ。
孝之「あの野郎態々俺達から離れるとは」
恭子「警戒しときましょ」
孝之「だな」
そう言う孝之に左隣の人に声をかけられた。
「あれ?兄さん?」
孝之の事を兄さんと呼ぶのは一人しか居ない。
孝之「あれ?夏実も来てたのか」
夏実「兄さん達も来てたんですね」
孝之「まぁな、薄野達が何かやらかしそうだからな」
夏実「やらかしそうって…」
否定は出来ない夏実だった。
巴「そろそろ始まるよ」
夏実の隣にいた巴が囁いた、そして会場は暗くなりステージにスポットライトが当りそこに天使が降臨した。
奏はゆっくりと閉じていた瞼を開け、流れ行く音楽を聞きそして歌い出した。
全て英語だった為、何を言っているか分からないが其れでも何か心に響くものがあった。
奏は会場内をゆっくりと眺めながら歌う。そして想い人を見つけて微笑んだ。そして一瞬不思議そうな顔をした。
其れを孝之は今迄味わった事のない感情が芽生えた。何故か彼女に胸の鼓動が早くなってしまった。しかし何故か心地好い。
孝之はじっとその天使が歌う姿に目を奪われてしまった。
恭子「…之、ちょっと孝之!」
孝之の体がぐらぐらと揺れた、どうやら恭子が揺すってくれたそうだ。
恭子「あんたどうしたの?」
孝之「え?」
恭子はそっと孝之の目元に触れた。
恭子「泣いてるの?」
孝之は言われて気が付いた。頬に伝わる生暖かい感触が。
夏実「兄さん泣いてるの?」
東神楽「あら泣き虫孝之どうしたの?」
西神楽「恋しくなっちゃったぁ?」
からかってくる女子達に妙に恥ずかしくなる孝之、何か反論しようとした時だった、西神楽の隣にいた二人が孝之達から離れていったのだ。
そして薄野が振り返り何処からともなく不気味なブラックサンタがつけていた仮面を被った。
孝之「待て薄ーー」
ドーン!っという爆発音の後、ステージが煙に覆われる、キシシシシという事で笑い声の後ステージに見えたのはブラックサンタが気絶した奏を抱き抱えている姿だった。そしてブラックサンタは体育館出入り口に向かって飛び上がり男子生徒達の頭を踏んづけながら走り去っていった。
恭子「追うわよ孝之!」
孝之「ああ!」
遅れながらもその後を追う二人、体育館を出て二人はぎょっとした。沢山のブラックサンタが学園内を喧騒させていた。
様々な色のペンキを使って廊下や壁、出し物に向かってぶちまける。まるでスプ〇トゥーンのように。
クリームパイを生徒にぶつけるブラックサンタ、カップルにイタズラするブラックサンタ、ブラックサンタが通り抜けたカップルは直ぐ様喧嘩していた。
もう学園内はハチャメチャだった。
孝之は胸ポケットからコインを取りだし浮遊魔法を使ってブラックサンタにぶつけていく、恭子もまた自信の得意魔法である光魔法を使い光線を当てたり、強力な光を発光させ目眩ましをし、体術を使ってブラックサンタをなぎ倒して行く。
しかし、ブラックサンタは何度でも立ち上がる。
複数のブラックサンタが孝之に襲い掛かる、孝之はその内の一人に浮遊魔法をかけ他のブラックサンタにぶつけていくように操る。
にしても本当に切りがない。
孝之「くそ!何とかならねーのか!」
恭子「私達だけじゃ無理よ!」
二人を囲むブラックサンタを大波が襲い掛かる、呑み込まれたブラックサンタはその後大波が氷ついた。
こんな技をするのはあの二人しか居ない。
西神楽「やっほー!」
東神楽「助けに来たわ」
神楽sを見てホッとする二人。
東神楽「本当大変な事になってるわね」
西神楽「何かカップルに浮気メールとかそんなのがいっぱい来てるんだって」
異常な混乱事態なのにマイペースな二人、孝之と恭子はそのマイペースさに自然に合わせる。
孝之「少し落ち着いたな…」
恭子「ええ、それで此れからどうする?」
孝之「先ずは生徒会と合流だな」
恭子「そうね、其れが一番ね」
孝之「なら、そっちはそっちでブラックサンタ宜しくな」
恭子「あんたは?」
孝之「俺は別行動させてもらう」
恭子「はぁ…、まっあんたの事だから上手くやってよね」
ため息をつきながらも孝之に期待する恭子、孝之は笑顔でその場から走り去ろうとした時、東神楽が声を掛けてきた。
東神楽「孝之!あなたに渡すものが!」
そう言って西神楽は何処からともなくトナカイの着ぐるみを持ってきた。
西神楽「やっぱりサンタにはトナカイだよねー」
孝之「………着ろってか!」
孝之はハピネス君となり奏を拐ったブラックサンタを探したのだった。
気を失っていた奏が目覚めて始めに目にしたのは夜空だった、肌が痛くなるほどの寒さに震えた。そして自分を取り囲むブラックサンタを見て奏は一瞬恐怖したが気をたしかに持つ。
奏は力強い視線でブラックサンタ達を見つめる。
やべめっちゃ可愛いとか結婚してくれ等という小声が耳に入ってくる。
誰か助けて…そう願っているとヒーローがやって来た。
孝之『あらよっと!』
フロンティア屋上に走って登ってきた孝之、流石に着ぐるみを着たままはかなり疲れる。パンツ一丁でビル登る魔王よりも疲れるんじゃないかと思うくらい疲れた。
ここに来たのは訳がある。この屋上に隠してあったあるものを取りに来た、其れを使ってブラックサンタを追っ払おうと思っていた。
所が何と其所にはお目当てのブラックサンタが居た。
孝之『まさかここに居るとわなぁ』
何も喋らないブラックサンタがやっと喋り出した。
「キング、訳の分からないトナカイが来ました!」
キングと呼ばれたそのブラックサンタが他のブラックサンタを掻き分けて現れた。その顔を見ると白塗りで真っ赤な唇に紫色の線が描かれていた。
孝之『やーんやーんやーんやーんダメダメダメダメェ!』
キングブラックサンタ「ふふふ、良く来たなぁハピネス君よ」
孝之『こ〇亀の次は桃〇かよ!それキングボ〇ビーだろ!顔だけ!』
キングブラックサンタ「良く分かったなトナカイよ」
孝之『でお前が主犯か渓?』
キングブラックサンタ「ちょっ、何でそこで正体言うかなぁ、普通黙ってるだろ、てか空気読めよ、最終的に『おっお前は!まさか…』的な展開だろ普通!」
孝之『んなもん声で分かるっての』
渓「まぁ、良い。だがハピネスよ最早貴様もこれまでだ。クリスマスパーティーはもうどうにもならない!俺達は歯車を壊したぞ!」
孝之『そんなもん何度でも直せば良い、今日はクリスマス、奇跡は必ず起こる』
渓「奇跡ってのは絶望の中で芽生えた僅かな希望の事を言うんだよ、その希望を今ここで絶つ!!皆のもの出あえ出あえ!この者は上様を語る不届き者なり斬り捨てい!!」
孝之『やむ終えん……』
ブラックサンタは孝之目掛けて飛び掛かる。孝之は浮遊魔法を使ってブラックサンタを放り投げる。サンタ同士をぶつけたり遥か上空に吹き飛ばす。
そして最後に残ったのはキングブラックサンタだ。
孝之『成敗!』
孝之は飛び上がりそのままキングブラックサンタを蹴り飛ばした。
キングブラックサンタ「ボンビー!」
渓は星の彼方へと飛んでいった。
これで悪の根元は消えた。しかし学園内は騒然としていた、最早終息させるのが困難なほど混乱していた。
とはいえ策はある。クリスマスムードを再び起こすならカップル達を良いムードにすれば良い。
孝之『さーて、俺の出番だなぁ』
そう分かっていてもこれだけ混乱した状況で元通りに復元させる自信が言うほどなかった。少なくとも最高のフィナーレを迎えることは出来ないだろう。
そう一人なら……
孝之は視線を奏に向けた。奏は震えていた。孝之は何処からともなくブラケットを取りだし奏にかけた。
孝之『もう大丈夫だ、にしてもその格好で外は寒いだろ』
少なくとも今の気温は氷点下なのは間違いない。
奏「ありがとうございます」
孝之『怖かったか?』
奏「まぁ、少しは…、でもきっと助けてくれるって信じてましたから」
孝之『そうだったんだ…』
奏「はい」
あの時みたいに助けてくれる、そう貴方なら。
孝之『まぁ、その、信じてくれたのはありがとう』
何故か孝之は感謝した。
孝之『でーなんだけどー、実は留萌さんに手伝って欲しい事があるんだけど……、頼んでも良いかな……?』
申し訳無さそうに言うハピネス君に奏は微笑んで言った。
奏「私に出来ることなら」
本来なら春音に手伝ってもらおうとしたが今は時間がない。孝之は春音に着てもらおうと思っていた衣装を奏に手渡した。
ここから反撃だ。
学園内では恭子、春音、由香が中心となって事態の収拾に取りかかる。花梨はとある人物を尋問していた。
恭子「はぁ…、本当にヤバいわ」
春音「もう雅書記長たら」
由香「雅ちゃ~んらし~いですよね~」
恭子「余計な事しかしてないですよ、昨日は格好良かったんだけど…」
混乱した学園内に忽然と希望がやって来た。
奏「メリークリスマス!!」
声のする方を見上げてみると木で出来たトナカイとソリが優雅に飛んでいった。そしてソリにはサンタクロース姿の奏とトナカイの手綱を握るトナカイの着ぐるみ(孝之)がいた。
奏は大きな袋から手のひらサイズのプレゼントを放り投げる。プレゼントはゆっくりと下降し下にいる生徒達の手のひらに乗っかる。
アトリウムを駆け抜け三条館を走る。
薄野「ほほう、考えたな千歳孝之よ」
孝之一人ではプレゼントを配ったごときでおさまる物ではない。だから、奏に協力してもらう。学園のアイドル並ばブラックサンタだって手出し出来ないしそれに彼女からプレゼントを貰って嬉しくない男は居ない。
そう言って薄野は貰ったプレゼントを開ける。其処に入っていた物に薄野は微笑んだ。
薄野「ふっ、お前らしいプレゼントだ。並ば俺からもプレゼントを贈ろうではないか」
そう言って薄野は何処かに向かった。
「ねえ!これどうゆうこと!!」
「おっ落ち着けって」
喧嘩しているカップルに
奏「メリークリスマス!!」
花梨「全く!貴女って人は!!」
雅「いやー中々楽しいではないか」
花梨「潰す気ですか!」
言い争う二人に
奏「メリークリスマス!!」
舞「…………今年も独りか」
独り寂しく迎えている娘にも
奏「メリークリスマス!!」
レンガ館を通り抜け再びアトリウムを通り二条館、そして一条館へ。
マキ「メリークリスマス奏ちゃん!」
奏「メリークリスマス!!」
秋穂「あや孝之じゃん」
孝之『僕はハピネスくん!メリークリスマス秋ねぇ!と冬華!』
秋穂の隣にいた冬華にも声をかける。
巴「奏えー!」
奏「巴!メリークリスマス!!」
巴達友人にもクリスマスプレゼントを贈る。
巴「奏!しっかり受け取りなさいよ」
巴は走り去るソリ目掛けて奏から頼まれたプレゼントを豪快にぶん投げた。奏はしっかりとキャッチした。
奏「ありがとう巴!」
巴「頑張りなさいよ!」
薙「しっかりねぇ~」
霧恵「ガンバ!」
夏実「全く兄さんたら、奏さん捲き込んじゃって…」
夏実一人だけ呆れていた。
全てのプレゼントを配り終え、学園内は先程の混乱した状態ではなくなっていた。一人一人顔を見てみると皆笑顔だった。
喧嘩していたカップルも
雅「最後は弟くんがしめるか…」
花梨「不思議と笑顔になりますね」
雅「ワシは期待しとったぞ!」
花梨「もう聞く耳持ちません。反省文五枚で勘弁してあげます」
雅「そんな殺生な」
ボロボロになったブラックサンタ達も
「うおおおお留萌さんからプレゼントだあああ」
「やったああああ!!」
渓「うおおおお一生の宝物だああああ!」
薄野「現金な奴等だ」
そんな光景を上空から眺める奏、孝之は最後の一つを奏に手渡した。
孝之『はい、クリスマスプレゼント』
奏は其れを受け取る。
奏「開けても良いですか?」
孝之『勿論!』
箱の中を開けてみると中に入っていたのは孝之の代名詞とも言える生キャラメル3つだった。
奏は頬を緩め何処か懐かしい気分になった。
奏「これ…」
孝之『まぁ、配ってるプレゼントの中身』
奏「作るの大変だったんじゃないですか?」
孝之『まっ少し疲れたかな』
着ぐるみのせいで表情は分からないが苦笑いしていそうな気がした。
奏「食べても良いですか?」
孝之『ああ』
奏は一つ口にした。
奏「ふふ、懐かしい…」
口に含んだ時の蕩けるような甘さと心安らぐ温かさ。た
ただの生キャラメルではない幸福になれる魔法をちょっぴりかけた生キャラメルだ。
孝之『懐かしい?』
奏「あっいえ、美味しいって…」
孝之『そう、良かった…』
沈黙する二人、だけど何処か心地好い気がした。
奏は持っていたプレゼントを眺める、渡すなら今しかない、
奏「あっあの…ちとー」
千歳くんと良いかけた、だが今はこの名は適切じゃない。
奏「ハピネスくん」
相手はあくまでもトナカイのハピネスくんであり想い人の千歳孝之くんではない。
だから……
奏「これ、受け取ってください」
孝之『え?』
笑顔で差し出されたプレゼントに孝之戸惑いながらも受け取った。
孝之『あっありがとう…、でも良いの?俺なんかに渡して、誰かに渡すつもりだったんじゃ?』
奏「はい、だから受け取ってください」
孝之『え?いや俺は…まぁ、何かありがとう』
孝之は最後は優しい声でお礼を言ったのだった。
ひんやりと鼻先に雪が舞散る。
奏「あっ……」
孝之『雪…』
奏「ロマンチックですね」
孝之『まぁ正直言うとあんまり降って欲しくないなぁ』
奏「どうしてですか?ホワイトクリスマスですよ」
孝之『明日の除雪が大変そう』
奏「あ…はははは」
リアルな理由に苦笑いするしかなかった。
深々と降り積もる雪、イルミネーション輝く木々、クリスマスパーティーも無事に終わり、奏達は帰路につく。
巴「でプレゼントは渡せたと」
薙「でも告白はしなかったと」
霧恵「てか向こうから告白しろよ、何だっけ名前?チトゲ?」
奏「千歳くん!まぁ、でも来年は頑張るよ!」
巴「はぁ…」
奏「なっ何よ~」
巴「その内誰かにとられるさ」
霧恵「だな」
奏「いやあああ言わないでえええ!」
耳をふさいでもがく奏に巴は更に追い討ちをかけた。
巴「ヘタレ」
奏「いやあああ!」
全てが終わった……、燃えた、燃え尽きた……。
恭子「燃え尽きたのは良いけどちゃんと反省文書きなさいよ」
孝之「ちょっと待ってねぇ可笑しくない?何で俺反省文書かされてるの?」
渓に雅、それにブラックサンタだった奴等が渋々反省文を書いている。其処に薄野の姿はない。
今回の事の発端はモテない男子のひがみから生まれた。其処に薄野が漬け込んだ。
薄野は渓と結託しクリスマスパーティーを滅茶苦茶にする事件を起こそうとした、その最に必要な道具一式を薄野が用意し、渓達ブラックサンタが実行した。
まぁ薄野は本当に直接的に関わっていなかった。
雅先輩がブラックサンタを解放した理由は本当にただの面白い展開になりそうだからという非常に迷惑な話だった。
孝之「はぁ…俺帰って良いか?家で春ねぇ待ってんだけど」
春音だけではない、マキに恵庭姉妹が永山邸で待っている。何故なら毎年25日に家でクリスマスパーティーをやるからだ。
恭子「帰してあげても良いわよ、反省文書いたらね」
孝之「俺は功労者だぞ!労いの言葉位かけろよ!」
恭子「あら?かけてもらったんじゃない?上で留萌さんから!プレゼント迄貰って!」
孝之「………何か怒ってる?」
恭子「怒ってないわよ!!」
誰もが思う、嫉妬だ、嫉妬してる。だが孝之には分からなかった。
雅「にしても何故留萌くんは中の者が誰かも分からないのにプレゼント等渡したのだろうのう?」
花梨「口ではなく手を動かしてくださいね」
雅「わかっとるわかっとる」
花梨「でも案外留萌さんは知ってたのかも知れませんね」
雅「かも知れんのう」
孝之達には聞こえない声でそう二人は話していたのだった。
反省文を書き終えた頃にはもう8時、今も尚雪は降り積もる。
孝之「うわ、さびー!」
恭子「冷えるわね」
二人して下校する、孝之は先程奏から貰ったプレゼントを早速使った。貰ったプレゼントが何かは恭子はその時点迄知らなかった。
恭子「それって…」
孝之「ああ留萌さんから貰ったプレゼント、いやーあたっかいわ~」
恭子「マフラー……まさか手作り!?」
孝之「いやそこまでは知らんけど…」
淡い赤色の毛糸のマフラーを首に巻く孝之に恭子は何処と無くしょんぼりしていた様に見えた。
家路につく二人、歩いて五分もしないところに永山邸はある、特に話をする事もなく気が付けばもう永山邸の門の所迄着ていた。
孝之「恭子も家来るか?」
唐突に言ってくる、本当はいきたいところだが今日は家族とパーティーをする。
恭子「残念だけど、家族とパーティーやるからそっち優先なのよ」
孝之「そっか、んじゃ恭子冬休み暇なら遊びに行こうぜ」
恭子「そうね…」
孝之「またな恭子」
そう言って家の中に入ろうとした時。
恭子「待ちなさい」
恭子が呼び止めた。孝之は振り向くと恭子は鞄から今朝神楽達に見せたラッピングされた紙袋を孝之に手渡した。
恭子「ほら、クリスマスプレゼントよ」
孝之「まじで!?良いの?」
恭子「当たり前でしょ」
孝之は嬉しそうに其れを受け取った。
孝之「中開けて良いか?」
恭子「開ければ良いでしょ」
丁寧に梱包をはがしプレゼントを取り出した。
孝之「おぉ、手袋」
恭子「まぁ、なんて言うの、最近編み物始めたから……、余ったから渡すだけだから」
孝之「其れでも嬉しいよ、ありがとう」
満面の笑みで恭子に感謝する、恭子は其れを見て頬を赤く染めた。
恭子「それであんたのプレゼントは?」
孝之「え?」
恭子「プレゼント」
孝之「渡したじゃん」
恭子「私個人のプレゼント」
孝之「………」
恭子「………」
孝之「…………用意しておりません」
恭子「でしょうね」
孝之「らっ来年は絶対用意するから」
恭子「それまで待てないわね」
孝之「なら明日にでも買いに行くか?」
恭子「今日でクリスマスは終わるわよ」
孝之「…………」
再び無言になる孝之に恭子は少し照れながらも囁いた。
恭子「なら今年はこれで良いわよ」
そう言って恭子は孝之の顔に近づいて目をつぶりキスをした。
体感時間では1分以上キスしているようだ。
唇を話した恭子は目をそらしながら言った。
恭子「ほら、良く言うじゃない、ヤドリギの下ならキスしても良いって…」
孝之「ヤドリギなんて無いけど…」
恭子「うっさいわね!心の目で見なさいよ!」
孝之「いや、無理だから…」
再び無言になる二人、恭子はまた孝之を見つめる目を閉じた。今度は孝之から恭子にキスをした。
恭子「何か恋人見たい……」
孝之「多分そうなんだろうな」
恭子は真面目な顔をして言った。
恭子「もし、孝之が恋愛に対する感謝が甦ったら……、きちんと答えを出してね…、それまでは良いわよね…」
そっと孝之に抱き付く恭子、孝之は恭子を抱き締めて言った。
孝之「あぁ、善処する」
やがて二人は離れて恭子は優しい顔をして言った。
恭子「それじゃあね孝之」
孝之「あぁ、じゃあな」
そう言って孝之は家の中に入っていた。中から騒がしい声が聞こえてくる、恭子は其れを幸せそうに聞いていた。そして自分の家へと歩いて帰るのであった。
今日という日くらいは誰もが幸せになって良いと思う。誰かが側にいて皆が笑顔で幸せで…、
ラムラッケ、それは誰もが幸せになれる魔法の言葉。
~fin~




