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ラムラッケ!! Dream Christmas  作者: 紫丁香花
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11/13

12月25日 水曜日 朝の部

朝目覚めると枕元にプレゼントが一つ、そして隣にはぎゅっと抱き締められて離れようとしない姉が可愛らしい寝息をたてていた。


孝之はゆっくりと離れようとしたががっしり腕を組んでいるため中々離れられない。


孝之はゆさゆさと体を揺らす。


孝之「春ねぇ起きて朝だよ」


春音「ふにゃん…」


ゆっくりと目を開ける春音は微笑んで言った。


春音「おはよう孝くん」


孝之「おはよう春ねぇ」


春音「孝くんそれ?」


孝之の手には朝枕元にあったプレゼントの箱を持っていた。


孝之「何だろうね?」


春音「開けてみたら?」


孝之は頷いてプレゼントの箱を開けてみた、中に入っていたのは分厚い本だった。

そして中にカードが。


『メリークリスマス、これを読んで賢くなりなさい。byマキタクロース』


孝之「いつのまに」


春音「あっこれ前に発売されたマリー・ポッターの新作だよ」


魔法学校に通う少女の物語である。


孝之「賢くなるかなぁ?」


マリーシリーズは確かに面白いが勉強になるかは別問題である。


春音「あっじゃあお姉ちゃんからもプレゼントが」


孝之「え何々?」


春音「舌だして」


孝之「舌?へう?」


春音「あむ……むちゅ…ん…はう…」


春音に舌を絡められるようなキスをされた。凡そ10分くらいして漸く唇を離した。


春音「はうう…満足」


孝之は何も言えず脱力したのであった。





早朝、黒色のサンタクロースが一条館の家庭科教室に忍び寄る。大きな冷蔵庫を静かに開けレアチーズケーキにかけるブルーベリーソースを持参したソースと入れ換え、こっそりと教室から出ていった。その光景を誰も見ていなかったのは不幸としか言いようがない。

ブラックサンタ達は朝から行動を開始していたのであった。






渓「だーくしょ!」


孝之「口閉じろよ、てかマスクつけろよ」


オープン30分前に家庭科教室にやって来た孝之と渓にその他。

ケーキを教室に持っていくために家庭科教室にやって来た。


渓「にしてもひっくしょん!昨日は散々だったーくしょん!びっくしょん!じゃねっとじゃくそん!」


孝之「うるせー馬鹿!普通にくしゃみしろや!つーか自業自得だろ、こんな寒い中褌だけとかインフルとかじゃねーよな?」


渓「まぁバプロン飲んだから大丈夫だろ、にしてもケーキ見てると腹減ったなぁ」


孝之「まぁ確かに、でも朝からケーキは胃が凭れるなぁ」


渓「このチーズケーキなら大丈夫じゃね?」


そう言ってパレットに入ったチーズケーキを眺めて言う渓。


孝之「あぁ、そのチーズケーキはなブルーベリージャムを掛けて食うんだよ」


渓「一個だけいいか?」


おねだりする渓。


孝之「まぁ一個くらいならいいんじゃね?」


軽々しく了承する孝之。渓はチーズケーキを一個だけ取りだしブルーベリージャムを満遍なく掛けて一口で半分を食べた。

そのお味は……。


渓「まっずーい!不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味いまずーい!!」


孝之「おいおい不味いってそんなわけ」


尋常じゃないリアクションをする渓に孝之もつられてジャムを掛けてチーズケーキを食べる。

そのお味は……。


孝之「あああああああああああああああああああああああ!!」


想像絶するほどの不味さ。と言うかこの味に覚えがある。


孝之「なっ何で……、処分したはずなのに」


これは彼女の味、味の大魔王夏実の作り出した虚悪のジャムだ。このジャムのせいでケーキは全て全滅したのだ。


孝之「誰がこんなことを……」


二人は倒れ込み気を失ったのだった。









一方その頃教室では。

恭子が何故か分かりやすい位そわそわしていた。

その姿を見れば誰もが挙動不審と言うだろう。彼女は茶色い紙袋を隠すように持っているが、他の人から見ればまるわかりだ。


東神楽「せめてラッピングくらいしたらどうなの?」


恭子「ひゃはや!?」


急に背後から声をかけられ驚く恭子、振り替えると神楽sがにやにやしながら恭子を見てくる。


恭子「いっいいいいいきなり何よ!?」


西神楽「もう恭子ちゃんわかりやすーい。孝之くんのプレゼント大事に持ってるなんてぇ~」


東神楽「愛ね」


恭子「なっちちち違うわよ!これは別に彼奴のプレゼントとかそんなんじゃないし!」


東神楽「じゃあ誰のプレゼント?」


西神楽「薄野くんかなぁ」


薄野「それは光栄だな」


急に声を掛けられ恭子、西神楽は驚く、東神楽だけは平然としていた。


薄野「まさか羅臼恭子が俺のために、俺だけの為にプレゼントを用意してくれているとは」


恭子「あんたのじゃないわよ」


少しキレ気味に言う恭子。


薄野「おや、ではまさか定山渓か!?」


恭子「それこそ無いわ」


リアルトーンで言う恭子の声は何だか恐ろしさがある。


薄野「為らば素直に白状したらどうなのだぁ?愛しの愛しの千歳孝之へのプレゼントだと」


恭子「だっだから違うって!」


赤面して言う台詞に何の説得力もない。


西神楽「そんか態度だと他の人にとられちゃうよ、春音さんとか夏実ちゃんとか」


東神楽「貴女ってたまに堂々としてるときもあるけど、基本引きぎみよね」


恭子「なっ何よぉ、しょうがないでしょ!いざプレゼント渡すって思うと恥ずかしいし、かといってあげない訳にもいかないし…」


恭子はため息をついた。


薄野「カテゴリー5のくせに情けない、片や千歳孝之の為に子どもをつくると言っている者もいると言うのに」


恭子「どうせ春音さんでしょ」


薄野「ふむ、半分は正解だな」


東神楽「半分?」


薄野「もう一人居るのだよ、千歳孝之本人に子どもをつくると宣言したものが」


恭子「秋穂さんか夏実ちゃんでしょ」


薄野「いんや不正解」


東神楽「神楽とか?」


西神楽「えー!流石に無いよぉ、ライバル多いし」


恭子「まさか冬華ちゃん……、な訳無いわよね」


心当たりのある人物を全員挙げてみたがどれも不正解らしい。


そうこう悩んでいると夏実が教室に戻ってきた。


夏実「あっ恭子ちゃん、ちょっと申し訳無いんですけど午前中私友人とパーティーを廻りたいんですけど抜けても大丈夫ですか?」


恭子「別に大丈夫よ、孝之に手伝ってもらうし」


西神楽「何々誰かとデート?」


東神楽「野暮な事は聞かない方が良いわよ、どうせ孝之だから」


夏実「兄さんと廻る訳じゃ無いですよ、1年生の頃同じクラスだった留萌さんとその御友人と廻るんです」


その言葉に薄野がほほうっと反応する。


薄野「成る程、先ずは外から攻めるか」


恭子「何の話をしてるのよ」


薄野「いんや、こちらの話だ」


恭子「そう言えばあんた昨日随分とやってくれたわね」


昨日の男祭の事だ。


薄野「俺はあくまで支援しているだけだ、自ら手をくだしてはいない」


恭子「どうだか」


薄野「因みに昨日使った御輿、炊飯器、ビーフクッカー、褌、鉢巻は俺が貸してやった。それ以外は何も、そして参加もしていない」


確かにあの時薄野の姿はなかったし、薄野があんなカオスな状況に入っていくキャラでもないことは恭子はこの1年と9ヶ月で重々理解している。

其れにしても未だにブラックサンタが顕然なのが悔しい。

今日こそ奴等の息の根を止めると心に誓うのだった。


夏実「えっ兄さんと子どもを!?誰がそんな事を……って春音姉さんしかいないですよね」


西神楽「春音さん以外に居るらしいんだって」


恭子「あっそうよ!で誰なのよ薄野」


すっかり忘れていた話を思い出した恭子は薄野に問おうとするが其所に薄野の姿はなかった。彼はまた何処かへと消えていったのだった。












孝之と渓は揃ってペットボトルの水をがぶ飲みする。


孝之「ぬああああ、まだ味が残ってる……」


渓「甘い…苦い…いや辛い……、どちらにせよ不快な味だ」


因みにジャムは直ぐ様ゴミ箱に行きました。


孝之「一体誰が……」


持ってきたのかっと思ったが、心当たりはある。ブラックサンタ以外に誰が居るだろうか。

しかしだ、孝之は渓の顔を覗く、渓は2本目のペットボトルに手をつける。渓がやるにはリスクが高すぎる、本人が仕掛けたのなら別のケーキを食べると思う。


孝之「別のブラックサンタか……其れにしてもこのジャム何か違和感あんだよなぁ…」


今日で最後のクリスマスパーティー、何事も無ければ良いのだがそう都合良く何も起きない訳がない。

昨日は雅先輩のお陰で何とかなったが、今日は孝之自身も仕掛ける立場だが昨日の騒動を見て思うことがある。


今の計画ではきっと上手くいったよぉいかない。成功させるには協力者が必要だ。

頭の中で思い浮かべた三人の人物。


孝之「恭子…春姉…留萌さんの三人か…」


一番誘いやすいのは春音だ、次に恭子。奏に協力してもらえるのは難しいと思った。


孝之「春ねぇしかいないな」


最後の仕掛けに春音を巻き込む事にした。












で教室に戻ると。


夏実「兄さん!」

恭子「孝之!」


孝之「何だよいきなり!?」


飛び込むように前のめりになってまで突っ込む二人に孝之は後退りする。


夏実「兄さんどういう事ですか!?」


恭子「あんた春音さん以外に誰と子作りしようとしてんの!?」


孝之「だから何が!?」


二人の言っている事が理解できない孝之。東神楽が分かりやすい解説をいれる。


東神楽「薄野が言ってた事だけど、孝之に子どもを産むって発言をした女の子が居るらしいけど心当たりない?」


渓「ぬぁあにぃい!誰だ!誰がそんな事を!!」


血眼になる渓、しかし本人は心当たりがない。


孝之「んなこと言われても、俺が知るわけないだろ。薄野が仕入れた情報だろ。誰かが陰で言ったんじゃないか?」


恭子「其れが誰なのか聞いてるの!」


孝之「だから知らなーーー」


ふと昨日の記憶が蘇る。

確かあの時子どもをつくるとかそんな事を言った人物が居た。


孝之「あー……、確かあの時そんな事を言われたような」


夏実「誰です!」

恭子「誰よ!」


孝之「誰って……」


その誰が友達を連れてやって来た。


奏「夏実ちゃーん」


夏実は怖い顔から優しい笑みを浮かべた。


夏実「あっ留萌さん、今いきますね」


そう言って最後孝之に睨み付ける。


夏実『白状してもらうんだから!』


そんな事を目で訴え夏実は奏の元に行っていった。


恭子「で誰よ」


恭子は引き下がってくれなさそうだ。正直に言うべきか…そんな事を迷っている内にクリスマスパーティーを始める鐘がなった。


東神楽「はいはい、夫婦喧嘩は後でやって。さっ今日も売りまくりましょう」


東神楽に心ばかりかお礼を言っておく、そして孝之達は作業に取り掛かった。











ブルーベリージャムを廃棄処分し再びケーキをケースに入れていく、そんな作業をしながらお客の対応をする。トレーには10個のケーキがあるが万が一の可能性を考え1個だけ試食した結果、全10種類の内全種類計200個が被害に遭っていた。

廃棄するのは簡単だがこのままだとお昼に入る前にケーキが無くなる。

この夏実が作った200個のケーキ、食べれなくはないが臨死体験が出来る。


何か良い手はないのか…、孝之はケーキを売りながら考えていた。


渓「ななななな孝之」


何の前触れなしに渓が話し掛けてきた。


孝之「何だよ」


渓「俺さすげえアイデア思い付いたんだけどよ」


孝之「アイデア?何のさ」


渓「例のケーキの処分方法だよ」


マジてか!と一瞬思ったが渓の事だろくなアイデアとは思えない。


孝之「一応聞いとこう」


渓は真剣な眼差しでお客を見て言う。


渓「女連れのカップルに殺戮ケーキをぶっ混む」


孝之「聞かなきゃ良かった……」


何となく予想はしていたが、こいつは悲劇を生み出す事しか能がない。尚も渓は話を続ける。


渓「あの恨ましす空気を吸うだけでイライラがフラストレーションするんだ!壊したいぃ…、俺はただ壊すだけだ、この腐ったパーティーを」


孝之「高杉か、高杉の招か?」


渓「お前は良いよな!既に留萌さんに告白されてんだからよ!」


孝之「告白って」


確かにある意味衝撃的な告白だ。


渓「ちくしょー!俺も留萌さんに子ども産んでもらいてぇえ!」


孝之「煩い!てか話逸れてるし、この殺戮ケーキどうすんだよ!」


渓「カップルに食わせろォォォォ」


話が付かない、この馬鹿はほっといてマジになって考える。処分するのが一番簡単な方法だが、折角作ったものをそう簡単に廃棄するのはいささか気に病む。かといってこれを誰かに食べさせるのはもっと気に病む。


東神楽「何ぼさっとしてるの」


考えすぎて微動だにしてなかった故声を掛けられた。


孝之「あっ?あぁ、このケーキどうするかなって…」


東神楽「棄てれば?」


孝之「いや、それはなんか勿体ない」


東神楽「なら孝之が責任もって食べれば」


孝之「死ぬよ」


東神楽「問題ないわ」


孝之「あるよ!」


東神楽「少なくともお客に出すには危険過ぎるわね、こういう時に薄野が居れば良いアイデアでも出ると思うけどね」


悪ふざけに関しては孝之や渓よりも遥かに上を行く薄野だが、その本人が居ない今、薄野の模倣をしてみるしかない。

薄野なら、この場合どうするか、処分せず、かつ売り上げられる方法を……。


薄野「随分と苦しい展開だな」


突如現れた薄野が唐突に話し掛けてくる。


孝之「薄野!?お前一体何処に!」


薄野「なーに折角のパーティーだ、楽しまなければ損な話ではないか」


一理あるがこの状況では楽しむ余裕などない。


薄野「まぁ、そんな怖い顔をするな、土産だ」


そう言って渡してきたのは8個入りのたこ焼きだった。


薄野「少しはリラックスしたらどうだ?サンタクロースはどんな状況でも笑顔を絶やさないぞ、何故なら子ども達に幸せを配るのだからな」


何となく納得する孝之は適当に1個摘まみ食べた。そして絶叫した。


孝之「ああああああああ!ああああああああ!!かっらああああああああ!!」


薄野「ふむ、いきなり当たりを引くとは…」


孝之「からからからからからからからからからからからかああああああ!!」


売り物のジュースを飲んで見るが辛さは引かない。


孝之「何入ってんだよぉ」


涙目になって言う孝之に薄野が答えた。


薄野「トリニーダド・スコーピオン・ブッチ・テイラー、ナガ・ヴァイパー、チョコレート・セブン・ポッド、インフィニティ・チリ、バラックポール、そしてブートジョロキア世界で辛い唐辛子の1位から5位迄ぶちこんだ超究極ロシアンルーレットたこ焼きバージョンだ!」


孝之「馬鹿じゃねーの!そんなもん食わせんな!」


薄野「為らば口直しにケーキでもどうだ?」


孝之は薄野から渡されたケーキにかぶりつく、そして辛さが吹き飛ぶほどの例えようのない絶望的な味が孝之を襲った。


孝之「ぐもふあまさらわまあかよらふなまやり……」


訳分からない台詞を吐いて倒れる孝之に薄野は得意気な笑みを浮かべて言った。


薄野「少しは役に立てたかな」


本当に良い性格だよと孝之は殺意の目で訴える。しかし光明が見えてきた。


孝之「ああ、痛いほど分かったぜ、この至上最凶のケーキに対する攻略法がな!」


薄野「ふふふ、やっと戻ってきたな」


孝之「ここからは俺が主役だ!THE WORLD!!」


孝之が再び三馬鹿と呼ばれていたあの悪ガキに戻った。










孝之『さー寄ってらっしゃい見てらっしゃい!パーティーならパーティーゲームは必須!我がクラスではケーキアンルーレットが大好評ですよー!一箱6個入りで500イコル!500イコルだよー!』


薄野が出してきたヒントを辿るとケーキを使ってロシアンルーレットをすれば良いとの事だ、皆パーティーという事でどんどん買っていく、そして彼方此方から息絶える者の最後の声が聞こえてくるがそんなもん気にしていられない。

トナカイのハピネスくん姿になってどんどん売りさばき、凡そ一時間もしない内に最凶ケーキは完売したのであった。







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