薬草採取と戦闘
次に向かう先は冒険者ギルドだ。
行く途中の露天で、ドネルケバブの様なものを見つけたので昼用に購入。
リュックに突っ込む振りをしてPDSに収納する。ついでにウサ正宗が購入していた鉱石もしまう。
このPDSを見られるとまた騒動の予感がするんだよな。
なんで基本見せない様にする方針だ。
「そういえばどうして鉄鉱石なんて買ったんだ?」
「ご主人様の特殊アイテム作成のスキルの為です。この付近に鉱山はないようなので、手に入れておきたかったのです。」
「あー、特殊アイテム作成か、とりあえずスルーしてたな。」
そんな話をしながらギルドに行き、依頼の掲示板で目的の薬草採取を確認して依頼を受ける。
寄り道して昼近くなので、冒険者ギルドの受付も混んでいなかった。
依頼内容:薬草二十株の納品。
報酬:1500G、2GP
期間:一週間。
「この依頼を受ける。手続きを頼む。」
「はい、薬草二十株ですね。ギルドカードをお預かりします。」
「ちなみにこのクエストの途中で、掲示板の中にある他の討伐依頼のモンスターに出会い、討伐した場合は受注していなくても依頼達成になるのか?」
「その場合は掲示板に依頼票が残っていれば依頼達成扱いとなりますが、無ければ申し訳ありませんが対応しておりません。素材をお持ちでしたら、素材の買い取りのみとなっております。」
まあ妥当な所か。
薬草はどんな形でどういう採取方法が良い評価になるのか細かく聞いておく。
そして、ここいらで危険度が高い、もしくは気をつけるべきモンスターの情報もついでに聞く。
備えあれば憂いなしってね。
一応他の依頼票を確認してどんなモンスターが出てくるのか確認してからギルドを出た。
そのまま何事も無く町の出入り口の門までいき、ギルドカードを提出して町から出る。
広い平原が目の前に広がっているが、どっちに行けばいいんだろ。
ギルドの受付嬢の話では門を出て西に進むと森があるとか。
そこで薬草を採取するのがメジャーらしい。
なんで西に向かう。
「初クエストかー、わくわくするぜ。」
「ご主人様、周囲の警戒はしてくださいね。」
ウサ正宗に注意されながらも、ルンルン気分な俺。
森に到着すると早速薬草を探す事に。
どこにあるのかなー。
地面を見ながらきょろきょろするがなかなか見当たらない。
一時間ほど探したが見つからなかったので
「ウサえもーん、助けてー。」
とヘルプをだす。
うーむ、マジで見つからん。
「薬草は群生になっている物が多いので、森の浅いこの場所はある程度採取されているのかもしれませんね。そこにもあるのですが、まだ未生育な株のものですし。」
とサラッと見つける。
その後どういう場所に薬草がはえているのか、全て採りつくすと次回以降、採取出来なくなるので必ず半分は残しておく事などの注意を受ける。
薬草のために森の奥へと入っていく。
先ほどのアドバイスを意識して探してみる、すると結構簡単に群生しているのを見つけた。
根っこごと薬草を採取していく。
そういえば俺には鑑定があるじゃないか。
鑑定も使ってみると、三十分ほどで四十二株ほどの薬草が採取できた。
中には解毒草や上位回復薬の原料になる薬草も見つかった。
「ふー、こんなもんでいいか。」
「そうですね、十分でしょう。」
お腹も減ってきたので昼に買っておいたドネルケバブもどきをPDSから取り出して、二人で食べる。
ボリュームがあり、これ一つでお腹が結構膨れる。
味はまんまドネルケバブだね。ぐるぐる回しながら焼いたお肉。
味より量で勝負的なジャンクフードっぽいのが、いい。
ふぃー、ごちそうさま。
俺が食べ終わるとウサ正宗の耳がピコピコ動き、なにやら反応している。
「ご主人様、敵です。まだ距離はありますが戦闘の準備を。」
「なに、どこから来るんだ。」
「森の奥からですね。相手の数が多い様なので、このままこの場に居ては見通しが悪い分不利かもしれません。
森から抜けましょう。」
全力で走るとスタミナを消耗して戦いに不利になるので、小走りくらいのスピードで森の外に向けて走り出す。
どうやら向こうもこっちの匂いか気配かは知らないが、何かで察知して追ってきているようだ。
結構距離も詰まってきたとウサ正宗がいう。
仕方ないので比較的開けた場所を見つけてので、そこで待ち受けることに。
剣を抜き、背中の盾も今回は使用する。盾を構えしばらく待つ。
ウサ正宗もベストの裏に隠してあったのか、大型のナイフのようなものを二本取り出して構える。
すると木々の間から二匹のオオカミっぽいのが襲いかかってきた。
「うらぁー。」
「ギャン。」
俺に向かってきたオオカミっぽいのを盾でシールドバッシュのように叩きつける。
剣はまだまともに振るう自信が無い。
こちらが盾で苦戦しながら応戦しているのに対して、ウサ正宗は飛び掛ってきた相手をすり抜ける様に回避しながら、首にナイフを突き立てる。
頚椎を切断され、一撃でオオカミが断末魔を上げる暇もなく倒される。
俺に向かってきていた相手も盾で弾かれて体勢を崩しているところにナイフを投げつけ、額に命中させて絶命する。
「グレイウルフの掃討はおまかせ下さい。ご自身の身を守る事を第一に考えてください。」
そういうと二本の血に塗れたナイフを回収し、グレイウルフっていうのか、オオカミ達に突っ込んでいく。
襲ってきたグレイウルフは平均的な個体の大きさは二メートル近い。
ウサ正宗と比べるとかなり大きい体躯をしている。
だが、スピードではまるで話しにならないくらいにウサ正宗は早かった。
木を利用したりして三次元的に動いて三角蹴りをかましたり、二体同時に噛み付いてこようとした相手には後ろに下がったと思ったら前に居るフェイントのようなもので幻惑し、距離が縮まり過ぎたが為にナイフの餌食になるものもいた。
俺に向かってくる個体の撃破を最優先にしてくれているようだ。
牙をむき出しにして威嚇する相手は放置して、森の木々の間から突っ込んできたグレイウルフは大抵瞬殺の勢いで狩られていった。
俺の所までたどり着いたグレイウルフもいたが、それは周りを木々に囲まれているからどうしても討ちもらしもある。
そういう相手は頑張って俺が相手したが、俺が危なくなるとナイフが飛んできて相手に突きささり、弱った所を俺が剣で突き刺して止めをさした。
「わおーん。」
グレイウルフの叫び声が聞こえた。
それと同時に牙をむき出しにして威嚇するグレイウルフや周りを囲んでいた個体も撤退していった。
あたりには濃い血臭が漂っている。
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