↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/70

連続殺人事件4

 地下室を出た俺達は、ウサ正宗が確保していたチンピラ達の幹部をズルズル引きずって、廃屋の屋敷を出た。

 門の前近くには兵士が数人待機していて、俺の帰還を待っていた。

 俺の着ているシルバーナイト装備の甲冑が、チンピラ達の返り血で血塗れになっていた所為で、一瞬ギョッ、として驚いていたが。


 「ご苦労様です!!

 首尾の方はいかがでしたか?」

 「ああ、屋敷には生きていた人質は居なかった。

 既にどこかに連れ去られた後だ。

 屋敷内に居たチンピラは幹部を一人残して皆殺しにしてある。

 この幹部の連行と他の後始末を頼む。」

 「はっ!

 かしこまりました!!」


 それから兵士達が数人ほど屋敷に入っていった。

 エントランスホールに入った時点で悲鳴も聞こえてきたが、気にしない。


 「そちらはどうだった?

 逃げ出したチンピラを確保できたか?」

 「はい。

 六名ほど確保しております。

 廃屋になった屋敷の敷地内から、塀をよじ登って逃げ出そうとしているところを捕らえました。

 酷く怯えていて、暴れまわったので確保するのが大変面倒でしたが。」


 どうやら俺やウサ正宗の強さと惨劇を見て、逃げ出した人間も居たようだ。

 まあ、二人で突入したから、広い敷地だと逃がさずに殲滅するのは難しいか。

 アサシンのように静かに一人ずつ暗殺していくなら可能かも知れないが、そんな面倒なことはしたくないしな。

 そんな話しを屋敷の前でしている時だった。


 「ぐぎゃーーー!!」

 「な、なんだ!!」


 突然悲鳴が周囲に響き渡った。

 悲鳴の方向に目を向けると、兵士の一人が血を流して倒れているのが分かった。

 その兵士の直ぐ近くには複数の襲撃者の姿があった。


 「て、敵襲ーー!

 総員戦闘態勢に入れ!!」


 隊長がそう号令をかけるが、既に兵士が二人ほど斬り捨てられた後であった。

 襲撃者達は全身クロ尽くめのアサシンスタイルといった感じの者達で、音も無く忍び寄ってきた感じだ。

 直ぐに兵士達と襲撃者達の戦闘が始まった。


 その内の一人に、やたらと強いやつがいた。

 兵士達相手にほとんど一撃で倒しているようだ。

 夜中の為と周囲が暗いせいもあるが、そいつが持っている武器は良く見えない。

 だが、どうやら手に何か武器を持っているのは確実だ。被害者の出血の仕方や、襲撃者の手の握りや動作で分かった。


 「ウサ正宗、どうやら目当てのヤツがノコノコ向こうからやって来たようだ。

 ヤツの相手は俺に任せてくれ。

 周囲の兵士達のフォローを頼む。」

 「かしこまりました、ご主人様。」


 俺は駆け出して、直ぐに強い襲撃者のもとに向かう。

 兵士達も気を取り直して、なんとか応戦していたが、まるでその強い襲撃者相手には歯が立たなかった。

 襲撃者が腕をなぎ払うだけで、不可視の刃に切り裂かれ、絶命していく兵士達。

 武器の質が違うのか、兵士が持っていた剣を容易く切断してみせる。

 俺がチンピラ相手に無双したのと同じ光景が広がっているな。


 「下がれ!!

 お前らじゃ相手にならない!

 俺がこいつの相手になる。」

 「わ、分かりました。」

 「後をお願いします。」


 傷ついた兵士は仲間を支えながら後退していく。

 俺は追撃をかけようとした襲撃者に攻撃を仕掛けて、その邪魔をする。


 「おっと、お前の相手は俺だ!」

 「・・・・・・」


 無言で俺に斬りかかって来る襲撃者。

 今更だが、襲撃者は顔には目だし帽のような覆面をして、顔を隠している。

 兵士達と同じ様に一撃で決める気なのか、上段から大きく腕を振りかぶって、下に振り下ろしてくる。


 ガキンッ


 兵士達には必殺だった一撃を、簡単に俺は防いだ。

 真夜中で視界が悪い為に戦い辛いが、それでもウサ正宗の訓練で、不可視の武器を相手にした訓練をつけているから問題なかった。

 むしろ予備動作が大振りで、判りやすいくらいだ。


 「どうした?

 今までは楽な相手ばかりだったろうが、ここからは違うぜ。」

 「・・・・・・」


 襲撃者は今まで必殺の一撃だった攻撃が防がれて驚愕しているのか、一瞬動きが止まりそうになった。

 その隙を突いて、地面を力強く蹴って、一気に間合いを詰める。

 そしてレッドバジリスクの鉄扇で高速の連撃を叩き込む。

 相手の武器が見えなくても、気にせず攻撃しまくる俺。


 キンキンキン


 カン高い音を立てて防がれるが、更に攻撃を加えていく。

 襲撃者からも反撃が来るが、あえてレッドバジリスクの鉄扇で防がず、小手でガードする。

 全身甲冑装備なので、相手の攻撃が当たっても、容易く弾いていた。

 仮に防ぐのに失敗しても、シルバーナイト装備の圧倒的な防御力を突破するのには、インビジブルブレードでは攻撃力が足りないようだった。

 衝撃が体に響くくらいで、ダメージになりはしなかった。

 だから余裕を持って戦う事が出来た。


 「始めの威勢はどうした?

 スピードを上げていくぞ。」


 そして更に早い連続攻撃をガンガン繰り出していった。

 いくら見えない攻撃が有利でも、俺にはあまりアドバンテージが無かった。

 そうすると、俺の攻撃が何度か浅く入っていた為、段々襲撃者の動きが鈍くなってきた。

 主に麻痺毒の方を当てていたから、目に見えて動きが鈍いのが判った。


 そうなると、相手は自分が不利になっていると思い、襲撃者は撤退しようとした。

 そこで、俺は逃がす気がなかったので、トドメを刺すことにした。


 「そろそろ死んどけ!」

 「ば、ばかな。

 うがぁぁーー!!」


 逃げ腰になっていた相手に容赦無く攻撃を加えた。襲撃者は胸を斜めに切り裂かれて、盛大に血を噴出して仰向けに倒れていった。そしてしばらくはビクビクと体が痙攣していたが、そのうち動かなくなった。


 その断末魔の叫びを聞いて、他にも居た襲撃者達は戦意を喪失したのか、投降する者と逃げ出そうとする者に分かれた。

 逃げようとした者は例外無く、ウサ正宗と俺に命を刈り取られていった。

 投降した者は兵士達が武装解除した後に縛り上げていった。




 襲撃者達との戦闘が終わると、傷ついた兵士達の手当てに入った。

 戦闘前には二十人以上居た兵士達は、七人も殺されていた。

 生き残った他の者達も誰もが傷を負っていた。


 襲撃者達の目的は、どうやら口封じが目的だったようで、チンピラ幹部や逃げ出したチンピラがメインターゲットだったようだ。

 だが、ウサ正宗の活躍で、幹部に被害は無かったし、兵士達もかなりの人数がウサ正宗に助けられたようで、しきりに感謝されていた。


 俺は忘れないうちに俺のインビジブルブレードを回収する事にした。

 また悪用されたら面倒すぎるからな。

 そして落ちていた武器を手に取り、目当ての物であることを鑑定でも確認してからアイテム袋にしまった。

 そういえば、インビジブルブレードの使い手は誰だったんだろうか。

 死体になっている襲撃者の覆面を剥ぎ取り、顔を晒す。


 「んーーー、誰だったか。」

 「ご主人様、この方はアーガイル様の仲間だった方ではありませんか?」

 「そういえば・・・・・こんなヤツも居たかも。」


 ロックドラゴンの時や、冒険者ギルドで会った覚えがなんとなくあった気がする。

 名前すら知らないヤツのことなど、覚えていないのは仕方ないことだと思った。



 

 そして手当てや戦闘の処理が簡単に終えて、重傷者などを運ぶ為に慌しく動いている兵士達を尻目に、俺はチンピラ幹部や捕虜になった襲撃者を詰め所に連行する事になった。

 詰め所までの道中は特に襲撃も無く、そのまま牢屋にぶち込むことが出来た。


 そして俺は一部の者を尋問する事にした。

 まずはチンピラ達の幹部である。

 頬に切り傷がある、いかにもヤクザの親分風味といった強面の人物だったが、その表情は恐怖に歪んでいた。

 今度は時間をかける訳にいかなかったので、時短プレイでとにかく効率優先で痛めつけたので、悲鳴が凄まじかった。


 「ぎゃーーー!!!

 も、もう・・・・許してくれぇ!」


 一度や二度ほど心が折れる程度では諦めが付かないだろうから、もう全力でやった。

 最後には口や股間から色々なものが垂れ流し状態になってしまった。

 それ以上に全身が血だらけになっていたが。

 死なないように傷に回復薬をかけて上げて、治療しながら尋問を繰り返した。


 その尋問の結果、色々と情報が手に入った。

 何故アーガイルが地下室で死んでいたのか。

 地下室にあった死体はなんなのか。

 連続殺人事件の黒幕は誰だったのか。


 「アーガイルのヤロウは・・・・・仲間に裏切られたんだ。

 メシに睡眠薬を盛られて寝ているところを誘拐した。その後にこの廃屋の地下室に運び込まれた。

 その後は見ての通りの結末だ。」


 どうやらロックドラゴンの件で不名誉な悪名が広まったアーガイルは、色々な所から圧力がかかっていたらしい。冒険者ギルドやディナントのお偉いさんは言うに及ばず、国の権力者からも睨まれていたそうな。まー、ディナントの町の冒険者ギルドはストームドラゴンに更地にされたが。

 睨まれるのも仕方ないことだ。ロックドラゴン討伐隊の責任者だった彼は、丁度いい感じのスケープゴートだったのだろう。

 今までは貴族出身という事でコネと恩恵があったが、ロックドラゴン事件以降はその特権も全て無くなった。むしろ貴族だからこそ、徹底的に敵対派閥の貴族から攻撃されてしまい、肩身の狭い思いをしていたようだ。

 そんなアーガイルを確実に潰す為、仲間に裏取引が持ちかけられて、仲間の一人がその誘惑に負けてしまったそうだ。 

 

 それにどうやらインビジブルブレードを見つけ出したのは、アーガイルとその仲間達であったようだ。

 今から一ヶ月も前の話しであったが、ストームドラゴンの行方の調査と警戒をする為に、誰かを派遣する必要があった。

 その時のメンバーにアーガイル一行が選ばれたようだ。

 実際のところは選ばれたというよりは、強制に近い形だったようだが。

 そしてもっとも危険が高い渓谷付近を担当する事になったアーガイル達は、渓谷の手前辺りの道端に落ちていた剣を偶然に拾った。その剣は不思議な作りで、いかにも魔剣といった形だった。

 それが俺の探していたインビジブルブレードだろう。

 だが、色々差別やら批判をされて不満に思っていた所で強力な武器が手に入った。

 それを独り占めする為に仲間割れが発生したというのが真相らしい。

 ロックドラゴンの装備だけでも、売却すれば一般人が一生遊んで暮らせるほどの金額になるという。

 更に魔剣とくれば、いったいいくらになるのか分からない。


 それが決定打になって裏切ったんじゃないかという話しだった。

 ちなみにアーガイルを拷問にかけたのは敵対派閥の貴族の一人が嬉々として行ったとか。

 装備を独り占めする為に、アーガイル以外の二人の仲間もあの地下室で死んでいたそうな。

 それも誘拐や殺人を楽しみにしている外道な貴族や役人がいるから実に簡単なことだったと、詳細にべらべら話してくれた。


 そして連続殺人事件の概要も、尋問の結果分かってきた。

 所謂人身売買に手を染めていた貴族が、警邏隊の兵士や役人に通じていた為に、虚偽の報告をしていた事で起こった事件とのことだ。

 昼間から堂々と可愛い女を誘拐し、奴隷として売り捌く。

 権力が後ろ立てになっていたから、町のチンピラ達も調子づいていた。

 犯行の目撃者を殺していくことも多く有り、それが沢山あったから連続殺人と呼ばれたようだ。

 実際の犯行の大半がチンピラ達と貴族の私兵の仕業で、実際に兄貴と呼ばれたアイツが犯行を犯した例は少ないそうだ。

 だが、殿としての役割や、目撃者を消す役目を負っていた為、あながち間違えでもないようだ。


 「もういいだろう。

 お前だけは生かしておいてやろう。」


 それにしても、こんなクズ共にアーガイルが殺されるなんてな。

 世の中は無常である。



 それから尋問部屋から牢屋に幹部を戻して、更に襲撃者達の尋問もした。

 彼らの中にいた、兄貴と呼ばれたアーガイルの仲間が主導して、この襲撃を行ったようだ。

 連続殺人事件や自分の詳しい情報をもっている幹部を生かして置けない。

 それで兵士やチンピラ幹部に襲撃をしたとのことだ。

 犯人がアーガイルの仲間だとばれると、全都市にある冒険者ギルドに指名手配されて、面倒になる。

 そうすると、町に入るのも一苦労する。

 だから、それを防止する為に事情を知っている幹部やチンピラ達を殺し、目撃者を皆殺しにするつもりで襲いかかってきた。

 だが、最強の使い手だった兄貴が死んだ為、投降したとのこと。


 息も絶え絶えになりながら、色々吐いてくれた襲撃者諸君。

 彼らも牢屋に戻して、俺は一区切りついたと思った。


 一通り聞きたい事を聞いたし、それから俺とウサ正宗は忙しそうな詰め所を後にした。





 その後、ディナントの町に居た貴族や商人、特権階級などが大幅に減る事になった。

 連続殺人事件に関与していたと思われる人物を、一斉に取り締まったからだ。


 今までは腐敗した役人や貴族が警邏に圧力をかけていた為、犯人を今まで捕縛出来なかったが、廃屋となった屋敷にあった証拠や、チンピラ達の証言などで事件に関わっていた貴族や役人は皆捕縛対象になっており、詰め所の兵士達が忙しく動いた結果が出た為だ。


 これには当然反発も出たのだが、圧倒的な武力を持っていた俺とウサ正宗が協力した為、どんなに強力な貴族の私兵が居ても蹴散らされて終わる結果になった。


 そしてこの問題を重く見た王国からも監査や調査隊が再び派遣されることになるのだが、それはまた別の話しである。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。