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ブラックウルフ3

総合評価 117ptになりました。

お読みいただきありがとうございます。

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 今の位置から距離が近く、もっとも視界が広くとれていている戦闘エリアを目指して移動する。

 足を引っ掛けたりする木の根や岩等の傷害物がなるべくない地面と、なるべく平坦な地形の場所をあらかじめ選定しておいた。

 ここは森の中だから森の地形でベストを探すしかない。

 戦う地形の理想を言えば凹の字の様に周りを囲まれない様な状況に持ち込むのが理想だ。グレイウルフの様な単体の能力が低く、数で強さをカバーするモンスター相手には比較的リスクが低い。

 例えば一本道で行き止まりの狭い洞窟とか、数の利点が生かしづらい場所で戦うのが今の俺にとっては都合が良い。四方八方からの敵に襲われてはたまらんからな。

 まあ、場合によっては逃げ場が無く、退却が出来なくなるから一概に良い作戦ではないのだが。

 そういった地形で最悪の想定は洞窟なら生き埋めの可能性と外から炎で炙られてしまう事だ。逃げ場がないから詰む。グレイウルフやブラックウルフにそんな能力は無いから関係ないが、想定外のモンスターが出てくる事も無いとは言い切れない。

 ウサ正宗は森の中の戦いで全方位、どこからグレイウルフに攻められても対処してきたが、俺には無理ゲーですわ。


 最初の様に大木の上からボウガンで攻撃するのも有りなんだが、既に罠が無いから動きの素早いグレイウルフを遠くから狙い撃ちするのはそれなりに難しかった。

 ボウガンはリロードに少し時間がいるから連射しての牽制も難しい。それに縄梯子も設置してあったものを回収しておいたから木に登るのも苦労する。

 別のエリアに行けば念の為に縄梯子を設置してある木もあるが、ここからは距離が離れすぎていた。

 なので、地上で戦いやすい戦闘エリアに移動し、そこで戦う事にした訳だ。


 だが俺は気分的にもう、ブラックウルフとか気にせず、そろそろ町に帰りたいんだがな。

 結構罠を作成して設置するのにも時間が掛かっているから、町を出てから結構時間が過ぎている。

 長時間の戦闘は疲労が蓄積し、集中力を途切れさせる。

 余裕があるうちに帰還し、また森にグレイウルフを狩りに来て徐々に勢力を減らして行くのがベターな安全策ではあるんだが、向こうもヤル気に満ち溢れているからな。

 こちらを逃がす気はないようだ。

 ヤツラが戦闘エリアに到着するまでの短い間にPDSから水筒を取り出し、ウサ正宗と一緒に水を飲む。

 緊張はあまりしていないと感じていたが、水を飲むと緊張がほぐれていく感じがする。肩をまわすと今までの体の強張りを感じた。

 それから、グレイウルフを殺した装備の調子を確かめる。

 ボウガンは弓の弦にヘタリもなく、居合い刀はまるで刃こぼれ一つしていなかった。血のりは拭き取ったが。

 どちらも実に頑丈だ。

 ウルフレザー装備も攻撃をあまり受けていないので問題なし。

 そして、いくつか考えた俺の奥の手である武器をPDSから取り出しておく。

 ウサ正宗にも投擲用のナイフを渡す。

 装備の調子を確かめて万全の体勢で新手の出現を待つ。


 「うぉぉぉーーーん、ぅうぉぉん。」


 森の中でオオカミの雄たけびが、いたる所から聞こえる。

 木々に反射されるものだけではない。

 雄たけびが近づいてきた居るが、むしろ敵の気配は声よりも近くにいる。

 そう思っていたら、木々の間から一斉にグレイウルフが姿を現した。

 草の茂みからこちらを見ている個体もいれば、岩の上からこちらを見下ろす個体もいる。

 パッと見て三十匹以上はいたが、こちらを警戒しているのか無策に突っ込んで来ない。


 「うぅぅーーーー。」


 うなり声を上げてこちらを威嚇するグレイウルフ。

 そんなグレイウルフの群れの中でも特に目立つ個体がいる。群れの奥のほうにいる一際大きい黒い毛皮のオオカミがいた。

 全長でパッと見で2メートル50センチ以上ありそうだ。


 「あれが、リーダーのブラックウルフか。でけぇ。」

 「そうですね、それにあの大きさはブラックウルフの中ではかなり大きい個体の様ですね。

 グレイウルフに比べて体重だけでも5割り増しはありそうです。」

 「組み付かれたらヤバそうだ。体重負けしてるから退けようがない。」

 「こちらはまずは当初の予定通りに周りのグレイウルフを削り、確実に数を減らして行く作戦でいきますが、よろしいですね。」

 「ああ、それでいこう。ヤツからの不意打ちには気をつけよう。」


 俺達は森の拓けた場所の真ん中辺りに陣取っている。

 俺はウサ正宗と背中を合わせて自分の背後を預けるような位置取りをしている。

 徐々に周りに居たグレイウルフ達が包囲を縮めて来て、ブラックウルフの鳴き声と共に襲いかかってきた。

 手にした剣は既に鞘から抜かれている。

 俺は腰を落とし、そして剣の刀身を地面と水平にし、体を横に捻り居合い抜きの様な構えを取る。

 俺の正面に位置するグレイウルフ達は勢いよく駆け足でこちらに向かってくる。

 それに対して、まだ10メートル近く距離が離れているのに俺は手に持ち構えていた剣を真横に振りかぶった。

 するとまだ剣が届く間合いではないのにグレイウルフの胴体から前足が切り裂かれた。


 「ぎゃいん。」


 俺が剣を一閃する度にグレイウルフが見えない何かによって切り裂かれる。

 今振るう剣は長さ1メートル50センチぐらいの刀身で重さもある為、振りかぶる剣速は刀よりも遅く大振りな一撃になってしまう。

 だが、その明らかに刀身が相手に届いていないのにも関わらず、グレイウルフ達は切り裂かれ絶命していった。

 まるで何が起きているのか分からずに次々とその剣の餌食となる。

 俺が振るうこの剣は 

 エアスライサー:ランク5:品質A+

 魔力を消費して不可視の空気の刃を飛ばす魔剣。


 広く、なるべく高低さの無い平坦な地形であれば不可視の刃が一直線に飛び、複数の相手を巻き込む。

 まさに鴨がネギをしょってきた状態だ。

 俺の方はそんな感じでエアスライサーを振るい敵をなぎ払い、ガンガン倒していった。


 ウサ正宗は自分の方向の相手に対して投げナイフを使い、距離を取りながら相手をしていた。

 自分の近くの地面には大量のナイフが置いてある。

 特殊アイテム作成で、ナイフを大量に製作したから消耗を気にせず使える。

 時々立ち位置を俺と入れ替わり、隙を無くし接近を許さないので、危なげなくグレイウルフを倒していく。

 あたりにはグレイウルフの死骸が積み重なり、内臓むき出しで虫の息のグレイウルフや、足を切り裂かれ動けずにいる個体、頭の上が半分無くなり脳みそを晒している死体などもいる。

 そんな哀れなグレイウルフの上を乗り越えて、俺達に向かって突っ込んでくるグレイウルフ達。

 その姿は蛮勇を通り越してただただ命令に従う愚かな存在だった。


 そしてかなりの数を惨殺しまくった俺達に、遂にブラックウルフが向かってきた。

 その瞳には怒りの色を浮かべ、全速力で俺達に向かってきた。

 グレイウルフよりも遥かに早いその移動スピードをしながらも、俺が剣を振るう瞬間にグレイウルフの死骸を利用して、器用に俺の不可視の斬撃を避ける。

 そして徐々に距離を近づかれたところで、ウサ正宗が飛び出した。

 ブラックウルフよりも早いスピードで相手に近づき、3メートル手前でブラックウルフの周囲を回り始める。

 攻撃が届くかどうかの位置で動き相手を牽制し、隙あらば投げナイフを投擲して俺の方に来られなくしている。

 ナイフが投げられる度に傷を負い、出血していく。

 そして我慢が出来なくなったのか、ブラックウルフはウサ正宗に踊りかかる。

 同時にウサ正宗の側面からグレイウルフが飛び出してきた。

 ウサ正宗はまず側面のグレイウルフの方向に体を移動させ、視線はブラックウルフに向いたまま飛び蹴りを放つ。頭をカチ割られて絶命するグレイウルフ。

 そこにブラックウルフが追いつくが、ウサ正宗には隙はなかった。

 蹴りの状態からグレイウルフ死体を踏み台にして高く飛び上がり、空中一回転をしブラックウルフの突撃を回避。

 その背中に大型ナイフを抉りこむ様に突き入れる。


 「ぎぃゃゃーーーん!!」


 絶叫が響き渡る。

 動きが止まったその隙に俺が追撃で剣を振るい、不可視の刃がブラックウルフの胴体を輪切りにする。

 胴体を前後に分断され、絶命したブラックウルフを見て、周りの残り少なくなっていたグレイウルフ達も逃亡していった。

 

 

 

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