あれ!!記憶が。
あれからどのくらいが経ったのでしようか?
そして、咲子さま、楓さまが私の所へ来られました。「凛さま。ご機嫌伺い」だそうです。
この方達は頻繁に来てくれます。なんか、不思議な方達。
今日は絵巻物は無くて、お菓子を持参されました。このお菓子は中々、手に入らない物らしいです。
私は甘いものが大好きなので有りがたく頂戴致しました。
そして、今日の話題は各、旦那さまの愚痴なるものです。
「ねぇ、咲さん。康親さまと何処かへ行かれた事がありますか?私は友親さまには何所へも連れて行って下さらないの。」
「そうですね~ 楓ちゃん、わたくしも同じですわ。康親さまは何時もお忙しくされておられて。」
「じゃあ、お姉さまは?」
「私ですか?う~~~ん・・・別に何所も行っていません。だって、萩さんとか華さんが外へ出してくれないから。それに、旦那さまも別に何処かへ行こうかと言われないし。」
「・・・・・外へ出して頂けないのですか!」(楓)
「私から言うのも変なのですが。ここの屋敷の皆さんは少し変わっているというか・・・・・きっと、旦那さまが変わっておられるのかな?だから皆、変わった人達が集まるものなんです。だから、私も変わっているのかもしれないです。」
「・・・・・・・・(変わっている?)・・・・」(咲子。楓)
「・・・・・まぁ、凛さま。そのような事はなくてよ。わたくしから見ましても、皆さま普通でいらっしゃいますわ。何故、そのように思われますの?」
「それがね、私が月を見ていると急に戸を閉めたり、私の部屋に行くと華さんはイヤがってるようだし。私は意味が分からなくて・・・それに、旦那さまも寝ているのか寝ていないのかも知らないし。
それに、私、誰かに見張られているようで。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」(咲子。楓)
「そ、そうですか・・・・・・」(咲子)
「私、本当は何処かへ出かけたいのです。咲子さまや楓さまと一緒に。」
「まぁ!!お姉さま。私もです。きっと楽しいですわよ!」
「ホホホホ・・・本当ですわね。では、このままわたくしの屋敷に参りますか?」
「賛成!!」
「・・・・・・・・(賛成?)」(楓)
「・・・・凛さま・・・・賛成って?」
「エッ!また、私何か言いましたか?」
「・・・・・・(凛ちゃんの記憶が戻った?)」
「まぁ、凛さま。では皆で行きましょう!」
私は咲子さまのお屋敷に行くことを萩さんに言いに行くのに廊下を走ってしまったのです。
その時、着ていた衣の裾が長いことを忘れていたようで、その衣を足で踏んでしまったのでしょうね。
『バタ~~~ン!!!』
そうなのです。転んでしまったのです。
遠くで咲子さま、楓さま。そして、萩さんの「大丈夫ですか?」の声を聞いたあと、私は覚えていないのです。
そして、私が目を覚ましたのは次の朝なのです。
「北の方様。ご機嫌は如何ですございますか?」
「う~~~~~ん。あれ!萩さんも華ちゃん。おまけに鷹くんもどうしたの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・?」
「り・・凛・・大丈夫か?おまえ、転んだのだぞ!」
「ハァ?・・・・何で私が転ぶのよ!」
「・・・・・おまえ、憶えておらんのか!?」
「だから、何を?」
「・・・・・・・・・・まあ、良い。」
「萩。華。あとは頼んだぞ。」
「萩さん、華ちゃん。どうしたの?私、転んだの?何で?」
「北の方様・・・・・・」
「ねぇ、北の方様って何?」
「・・・・・・・・凛様・・・・・思い出されたのですか?」
そうなのです。私、武さんの仕事を手伝っていて塀から落ちた所から記憶が無いのです。
そして、今、記憶が戻った訳なのです。いったい、私はどのくらい記憶喪失になっていたのでしょう。
私は唖然としましたよ。なんと!一ヶ月と数十日!私が記憶喪失だったなんて!!!
そして、どうして記憶が戻ったのかを萩さんに聞いたのです。
何故だか知りませんが咲ちゃんの屋敷に楓ちゃんと一緒に遊びに行く話しをしていたらしい。その時に私が廊下を走って自分の衣の裾を踏んづけて転んだと。
でも、私の記憶が戻ったので嬉しいです。
何故だか、萩さん、華ちゃん。そして屋敷の皆さんは、しょんぼりされている?
まぁ、それにしても自分自身のドジが恐ろしい。以前はこんな事が無かったように思うんだけど。
でも、咲ちゃんの屋敷に遊びに行く予定だったんだから行かなくっちゃ~~~!!
そうそう、私の記憶が戻ったって知らせなくっちゃ~~~~~!!
そして、私は「北の方」って言う意味を華ちゃんに聞きだしたのです。
私は自分の耳を疑ったわよ!
なんで、私が鷹くんの嫁なの?いったい、誰がそんな事を言った?鷹くんまで一緒になって!
この屋敷の連中は皆、劇団員なのか!?




