表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/58

思い出せそうで思い出せません。

私は病気になってから一ヶ月ほどは経ったそうです。萩さんが言っておられました。

何故?何時?私は病気ななったのか分かりません。以前の事を思い出そうとするのですがダメです。

今日は私の旦那さまは仕事でお泊りだそうです。

そして、私はぼんやり月を眺めています。本当に綺麗な月なのです。満月というものでしょうか。

別の何も考えていませんが、月をみていると昔を思い出したのです。月でウサギが餅付きをしているということを。誰に聞いたのか分かりませんが。私はウサギが餅を付いている形?を探していました。

私があまりにも熱心に月を見ていたものですから萩さんが「凛様!風邪を引かれます!」と言って、戸をピャーと閉めてしまいました。

「萩さん。何故、戸を閉めるの?私はもっと月を見ていたいのに。」


「いいえ!北の方様。風邪でも引かれたら大変でございます。」


「だって、今日は綺麗な月だよ。」


「ダメでございます。」


不思議な萩さん。ただ、月を見ているだけなのに。そして、萩さんは涙ぐんで「凛様・・・」

私は萩さんの行動に意味不明。

何故、私が月を見ていると涙ぐまれるのでしょうね?

今日は旦那さまもおられないし私は独りで寝る事にしました。そう言えば、いつも私が先に寝るので旦那さまは何時、休まれているのでしょうか?それに、私が朝、起きると旦那さまはもう起きておられます。萩さんといい、旦那さまといい、私にはここの屋敷の人達は訳の分からない人達に思うのです。

一度、咲子さまと楓さまに聞いてみたいです。


朝、私は久しぶりに自分の部屋に行ってみました。

・・・・・・何?この着物?今、私が着ている着物と全然違います。私はこのような物を持っていたのでしょうか?そして、銀色の箱もあります。う~~ん、これはどこかで見たような。

私が何所で見たのか思い出しているところへ、華さんが私を「探していた。」と言って部屋に入って来ました。華さん・・・・何故かダンマリ。そして、何か考えているような感じ??

「凛様・・・・・ここでしたか。探しました。さぁ!向こうに行きましょう!」と言って私の手を引いて、それも早足っていうのでしょうか。私には華さんの行動も分かりません。

私っていったい何なんでしょうか?もしかしたら凄いお姫様?



今日、旦那さまはお泊りかが終わって帰ってこられました。

私はその時、昼寝をしていたみたいなんです。

「・・・・凛。・・・凛。今、帰った。」


「・・・・・・旦那さま。お帰りなさ~~い」


「・・・・・・凛。今、何と言った?」


「ヘェ!お帰りなさいませ。と言いましたが。」


「・・・・・・そうか・・・」


私は寝ていたところを旦那さまに起こされたようです。旦那さまも萩さん同様、変なんです。

屋敷の人が変?ということは私も変?だって、「類は類を呼ぶ」と言いますから。

エッ!!今・・・私は何を思ったのでしょうか?

最近、何故か今まで使っていない言葉が頭から出てくるようになったのです。



鷹明様が宮中でお泊りの時、凛様は1人で廊下から月を見ておられました。

その月を見る目が違うのです。私はゾーと致しました。もしかしたら、月の世界を思い出されたのか知れないと思ったのです。

わたくしは思わず、戸を閉めてしまいました。凛様は「何故?月を見てはいけないの」と申されましたが。昨晩のように鷹明様がおられない時に凛様が月に帰られでもしたら・・・・それはもう恐ろしい。

朝、凛様は昨夜の事をお忘れになられている振る舞いでしたから安心致しました。

これで、鷹明様がお帰りになられても大丈夫でございます。



凛様が朝餉のあと、お部屋にいらっしゃらないので凛様を探しておりました。

すると、以前の凛様のお部屋が開いておりましたから、もしや!と思い覗きました。

凛様がじっとあの銀色の箱を見ておられてのです。だから、わたくしは怖くなったのでございます。朝早く、萩様から昨夜の凛様の「月を眺められていた」とお聞き致しておりますから。

もし、もしも凛様が月へ帰られたら・・・・・わたくしは・・・いいえ!屋敷の者達が皆、悲しむ事になります。勿論、鷹明様も嘆かれる事でしょう。

本当に凛様は、あの「竹取物語」のような方です。だから、凛様が月へお帰りになられないように、わたくし達がお守りしなくてはなりません!

これから、萩さまは勿論の事、屋敷の者達にも相談致しまして皆に協力して貰わなければなりません。



最近、屋敷のみんなは私を監視?しているように思えてなりません。

特に萩さん。華さん。

そして、月が綺麗な夜は屋敷の戸を全て閉じてしまわれます。

何故?どうして?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ