結婚ごっこが始まりました。
あの事件以来、半月が経ったのでございます。
凛様・・・・間違えました。北の方様は奥様も板に付いてきた頃でございます。
そして、鷹明様にも変化がございました。そして、鷹明様が勤めておられる宮中も大変な騒ぎでございます。わたくしは北の方様のお傍にずっと付いております。勿論、北の方様の身の回りをしていました華も一緒でございます。今日も、北の方様は楽しく、お過ごしになられておられます
本当に、もうすっかり奥様でございます。そして、わたくしはこの状態は末永く続く事を願っております。いいえ!わたくしだけではなく、屋敷の者達もそのよに思っているのは違いございません。
もう、そろそろ鷹明様がお仕事からお帰りになられる時。北の方様にお知らせをしなければなりません。
「旦那さま。お帰りなさいませ。」
「・・・・・・凛。今日は如何であった?」
「はい。萩さん、華さんと楽しくお喋りをして過ごしておりました。」
「・・・・・・そうか。・・・・凛。明後日に友親殿と楓殿が凛の様子伺いに来られる。」
「友親さま?楓さま?・・・分かりました。」
それにしても、凛が今までの事を憶えていないなんて。どうなっているのだ。全く。
それに、誰が言ったのか知れんが宮中では俺が婚儀をしたと広まっている。
鷹明様がおっしゃっていた日が今日。わたくし達は北の方様を、それは、それは天女のように着飾らせて頂きました。今まで、北の方様は沢山の衣をお持ちなのですが、「着辛い」と仰って着て頂けなかったのでございます。だから、もう、わたくし達は力が入りまして。ホホホホ・・・・・・
北の方様を見た屋敷の者の口からはため息が漏れています。それは勿論、まるでお人形のようでございます。鷹明様は北の方様を見られて、どう思われるでしょう。楽しみでございます。
そして、あの日以来、鷹明様も嬉しそうにされているように見受けられるのはわたくしだけでしょうか。ホホホホ・・・・・
「鷹明。俺らがここへ来ても良いのか?」
「良い。・・・楓殿。よく来て頂いた。礼を言う。」
「いいえ。鷹明様、お姉さまが御病気だとお聞きしております。大丈夫なのですか?」
「・・・・・・大丈夫と言えば大丈夫なのだが・・・」
「凛。こちらへ参れ。」
「はい。
「凛。こちらは友親殿と楓殿だ。」
「初めまして。凛と申します。」
「・・・・・・・・・・・・・・」(友親&楓)
「旦那様。こちらの方々は?」
「旦那様!!・・・・・・・」(友親&楓)
「私の友である友親殿とその北の方の楓殿だ。」
「皆さま方、宜しくお願いいたします。」
「旦那様だと・・・・・・・クククク・・・・」
「友親さま。失礼ではありませんか!笑うなどと!!」
「凛殿にお尋ねする。鷹明殿とは何時婚儀をされた?」
「それが、私には分からないのです。何時の間にか婚儀をしていたようなのです。憶えてないのです。」
「・・・・・何時の間にか?・・・・・・・・・・」(友親&楓)
「・・・・・・憶えて無い。・・・・・・・・・・」(友親&楓)
「あの~楓さま、私と何処かで出会いませんでしたか?何故か、どこかでみたような・・・・」
「・・・・・・お姉さま。・・・私達お友達ですのよ。」
「お友達・・・・そうなのですか。」
「鷹明、凛殿が病と聞いていたのがこれなのか?」
「そうだ。ちょっとした事故があってな。少し記憶が無いだけだ。心配は無い。」
「そのようなものなのか?心配ないのか?」
「ああ。それに屋敷の中も静かだしな。萩と華が喜んでおる。凛はまるで着せ替え人形だ。」
「アッ!ハハハハ・・・・屋敷が静かだと!着せ替え人形!・・・」
お姉さま・・・お可哀想に。私の事も憶えておられない。いったい何があったのでしょうか?
私がお姉さまをお守りしなくてはなりませんわね!
それにしても友親さまはそこまで笑わなくても宜しいのに。
「鷹明様。康紀様と咲子様が北の方様の様子伺いに来られています。」
「分かった!」
「鷹明・・・・凛殿が病だと聞いたが大丈夫なのか?」
「・・・・・・・康紀、咲子殿、驚かれんように。」
「凛。こちらへ参れ。」
「はい。旦那様、何用でございますか?」
「・・・・・・・旦那様!・・・・・・・」(康紀&咲子)
「お初にお目に掛かります。凛と申します。」
「・・・・・・・鷹明、凛殿は如何された?」
「凛は・・・今までの事を忘れたのだ。何も憶えてはない。」
「・・・・なにい!!・・・凛どのがか!それでこの凛殿か!」
「そうだ!いつもの凛ではないから俺も困っている。」
「鷹明様、凛さまは何でこのような事になられたのでございますか?」
「塀を上がっておって落ちた。それからだ、凛がこうなったのは。」
「プッ!ア、ハハハハハハ・・・・・・・・」(友親)
「・・・・・・また何故、凛殿が塀などに?・・・・」(康紀)
「友親さま、笑いすぎでございます。ねぇ、お姉さま。咲子さま!」
「そ、そうでございます。康紀さままでお笑いになるなんて!失礼でございますわよ。」
(ウソッー!凛ちゃん・・・まさかの記憶喪失なの。また何故、塀なんかに上るのよ。この人、たまに変な事を思い付くものね!それにしても鷹明さまと夫婦だなんて!きっと萩さんか華さんの提案ね。
まぁ、鷹明さまも満更でもなさそうだし。でも、ホホホホ・・・可笑しい~~それに面白くなりそう!)
「そうですわよ。凛さまがお可哀想です。友親さま!笑いすぎでございます。お控え下さいませ!そして、鷹明さま。今はあなた様が頼りなんですのよ。凛さまは。」
「・・・・・・分かっておる。」
俺はいったい如何のように凛と付き合っていけばいいのかが分からん!いつもの凛と違う故。
それに、萩と華は嬉しそうにしている。凛がこのようになったのに・・・・康紀はともかく、友親!おまえはそんなに面白いか!




