思い出しました。
私とご主人様との沈黙が続きました。
私はここへ来る夜の事を思い出しております。きっとご主人様にはどう映っているのでしょう?
何かゴチャゴチャ仰っておりますが私の耳には入ってない。
そういえば私は名前を言ったのでしょうか?今までの事が私が生きてきた人生の中であまりにも劇的だったのですっかり忘れていましたよ。
「あの・・・ご主人様。自己紹介してもよろしいでしょうか?」と恐る恐る上目使いで見てみると呆れたような目をされています。「私だって今までの出来事に頭が付いてこないのよ!」と言いたいのを我慢して・・「私の名前は藤間 凛。OLしてました。そして、どこのどなたが存じませんが拾って頂き有り難うございます。」と、しおらしくお礼も兼ねて挨拶終了。
「・・・はははは・・・」とご主人様が笑ってる!私、何か変な事を言ったのかなぁ~~?
「コホン・・・失礼。どこのどなたが存じませんが拾う・・って・・・」
酷いです!そんなに肩を震わせて笑わなくっていいじゃない!
「失礼。私はこの屋敷の主、桐 鷹明だ。宮仕えをしている。早速ではあるが確認してもらいたい物がある」と言って部屋を出ていかれた。
「へぇ~、宮仕えって言う職業か~~」と暢気な事を思ったけど「宮仕えって・・お貴族様じゃん!」
私は何度ビックリしたのやら数え切れないわよ。
しばらくすると鷹明さんが持ってきたのは「私の荷物」
「どうしてこれが?」と尋ねたら何と「そなたを拾ったところに一緒に落ちていた。見たことも無い物だけに。そして、その時のそなたも不思議な格好だったもので、そなたの物だろうと思い一緒に持って来た」
私はその時、全てを思い出したの。そう、悲しい悲惨な思い出を・・・・・・
私は経理会社で事務を任されていた。ある程度は仕事ができる若手社員。そして私生活でも愛する人と同棲をしていたの。私は全てを手に入れたように思った。彼とはいずれ結婚すると確信していたのよ。
でもある日、私が会社で体調不良のため早退してマンションに帰ってみると玄関には見たこともないパンプス。本能的にこの場に入るのはマズイと感じたのよね。そして時間を潰すために何所へ行ったか覚えてない。かなり精神的にショックだったし。私の勘は当たるのよ。それもかなりの確立で。
そして、なんやかんやで彼との愛は終わりました。
あまりにも惨めな私。「よし!今日は飲むぞ~~と!」コンビニで缶ビール、ワイン、焼酎などを買い込み近所の公園で自分自身の悲劇の感傷に浸りビール飲みながら何気なく空を見たらすご~~い流れ星。
そういえば、TVで言ってた何とか流星群。綺麗、綺麗と独りではしゃぎながらとりわけ大きい流星が私の方に向かって来てるじゃん!
「眩しい!」と思ったら途端、頭が真っ白。
そして今、現在に至る。
彼の事、今になって腹が立ってきた!!
少し長くなってしまいました。やっと記憶が戻ってきた凛。
これから、どう展開していくやら・・・
誤字などありましたら一報くださいませ。