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始まりました。歌会。

ついに始まりました。


席は男性側と女性側に分かれて座ります。

私の前は友親さん。楓さんの前は康紀さん。咲子さまの前は鷹明さん。

これが一応、ペアーのようですがペアーではないらしい。

まず、「親」らしき人はご主人様である鷹明さんです。なぜなら、主催者が親らしいのです。

これから交互に読み合います。

私は生まれて初めての事ですからルールっていうものがサッパリ!



まず、ご主人様がお題を出します。

お題は「春」 私は昨日、一句だけ考えていたので。これは楽勝です。


トップバッターは咲子様。

「はるのかぜ 我と寄り添う 枝垂れ桜」


「咲子殿。お見事です。」(友くん)


「素敵でございます。お二人のお姿が目に浮かびまする。」(楓ちゃん)


「咲子。私は恥ずかしい。」(康くん。少し頬が赤い!)


「咲子殿。お幸せなのだな。」(ご主人さま)


「・・・・・・・・」(私)


「凛。どうだった、咲子殿の歌は?」


まあ、情況は綺麗なのでしょうが・・・何と言えばいいのでしょう。「良い」と言えば良いのかも。

褒められていやだと思う人はいないなず。

「私、良いと思います。」


「凛。何所が良かったのだ?」


ご主人様、突っ込まないでよ。もうー!

「・・・・・・枝垂れ桜。」


「プッ!失礼。凛殿」


それは無いでしょうよ。友親!それにご主人様、康くんも笑いをこらえてるじゃん。

楓ちゃん!何、キョトンとしてるの!

咲子さま!・・・・ニコニコしてるよこの人。何?


では、続いて凛。


「春きたる まだ寒しき 我丸くなる」


「・・・・・・・・」(咲子さま以外、全員。)

「沈黙」です。そんなに分からなかったのでしょうか。


でも、咲子さまが「ホホホホ・・・・・。凛様のご様子でございますか?」と仰います。


私は「はい。それ私の事なんです。」


「凛。これはどういう意味なのだ?」とご主人が問う。


「いいえ、この意味を言っても皆さん、分からないと思います」

すると咲子さまが、「この意味は春が来たといってもまだ寒い朝。起きる事が苦手な様子でございます。」

さすが!咲子さま。ビンゴです。でも・・・何故、理解できるの?

という訳で皆さん、理解して頂きました。


また、私の番です。・・・・でも、一句だけしか考えていなかったのでどうしたらいいのですか?

何とかしないと・・・・・そうです。良いのが浮かびました。

「弥生の頃 我が願い 花よりだんご」


「・・・・・・・・・・ハッ!ハハハハハ・・・・・・・・」


「もう、友くん!そんなに笑う事ないでしょう!それに皆も!春といえばダンゴでしょう!『赤 白 緑』の。」


「・・・お姉さま。私は好きです。そのお歌。だって、凄く気持ちが表れておりますもの。」


「わたくしも、凛さまの素直な、お心が好きでございます。」


どうせ・・・私は色気より食い気でございますよ。

それにしても男性陣は女心が分かってない!


「凛殿。あなたの歌は何度、聴いても飽きないですね。そして、ご自分の気持ちが表れて良い歌です。

どのようにすれば、そのような「歌」が作れるのか、ご指導願いたい。」

(友親!よくも、この私を馬鹿にしたわね!くやしい~~~!)


「では次、友親さんが読んで下さい!」と、私は指名する。


「春のみなも 木々芽吹き みな姿うつりし」

(ふ~~ん。上手いものだわ。でも「みなも」って何?)


皆さん、次々と歌を読まれていきます。


「では、私も」と言って楓ちゃん

「めぐりあひ(い)て よろこびし 百千鳥」

(楓ちゃん、百千鳥って何?)


「これは誰の事を歌われたのですか?楓殿」と康紀さん曰く。


「はい。凛お姉さまの事でございます。」

(何!私の事!私が百千鳥?・・訳わからん!)


「そうなのだ。楓は凛殿の事が、たいそう好きなのだ。俺よりも。」


そうなのです。楓ちゃんはどういう訳か私のファンらしいのです。 照れくさいです。


次のお題は「若鮎」です。


まずは康紀さん。

「大海原 いくたび行く われら若鮎」

(何のこっちゃ~~)


「ハハハ。康紀と咲子殿の事でございますなぁ」

(康くん。苦笑いしてる。咲子さま・・・恥ずかしがってる。ウソー)


「康紀、咲子殿。我らが付いておる故、心配するな。」

(ふ~~ん。ターくんのコメントが何かイミシン)


もう、本当に私が理解できる言葉でお願いしたいわ!現代人には理解出来ません!

「次。凛だ。」


また、私の番が回ってきました。どういう訳か私の番が多いんじゃありません?

もう、ヤケクソです。

「庭おりし ぴいちくぱあちく ひばりの子」


「・・・・・・・?」

またもや、私の歌がお分かりになられない様子。


「凛。ぴいちくぱあちく・・とはどう言う意味だ?」(ご主人様)


「庭おりし。とは何故、庭なのですか?」(康紀さん)


「凛殿。俺もよく分からん。この庭おりし。と、ぴいちくぱあちくだ。」(友親さん)


「お姉さま。どのような情景なのでございますか?」


まぁ、めいめいに質問攻めです。そうでしょうとも・・・・作った私も可笑しいわ。


咲子さまは先ほどから手を口に当てて「ホホホホ・・・」と、お上品に笑われておられます。

咲子さまはこの歌の情景が理解しているのでしょうか?・・不思議な方です。


「凛さま、皆様にご説明されたほうが宜しいかと存じます。」

とサラ~と仰って下さいますよ。咲子さまは。

それに、どう言う情況かと言われてもね~~言っていいのか?ここで。


「コホン!・・・・この意味はですね・・・ある一定の場所で女の子達が集まって、お喋りをしている情景です。庭おりて=カフェテリヤ。女の子=同級生又は同期。です。」


でも、この情況を説明しても咲子さま以外の皆さんには理解してもらえず。楓ちゃんなんか首を傾げているわ~~

そして、康紀さんからの質問アリ。


「凛殿。何故、若い女人が集まって話されているのか?」


「康くん、あなたは女心が全然、分かってない!女はね幾つになってもお喋りが好きなのよ。分かりましたか?」


すると友くんまでが「凛殿。何故、庭に下りなければならないのだ?」


「あのね!庭はね「カフェテリア」よ。分かった?友くん。」


もう本当に疲れました。カタカナ文字が無い世界、どう説明したらいいのやら。


「では、最後に今日のこの歌会について読んでもらおう」


やっと最後です。嬉しい~~~ですぅ!


「初春の このめでたき今日けふこの時おもふ」(康紀さん)


「春を愛で この時楽し 佐保姫のよう」(咲子さま)


「たのし時 我思うぞ このうららかな猫」(友親さん)


「嬉しきこの時 春時 おもひもの また」(楓ちゃん)


しまい歌 我むね撫で下ろす 今日けふの時 花の頃」(鷹明さん)


そして、私。

わり時 我思う嬉しき この歌会ふつつび ON Thank you」

やっと、やっと終わりました。ばんざ~~~い~~!!

と、思いきや、咲子さま以外は頭の上でクエシチョンマーク?


きっと、みんなに聞かれるわ~~~

きっと、ご主人様からカミナリが・・・・


「我見られぬ 怖い主顔 我誤りす 今日けふこの時」

(私は今日の歌会云々で怖いご主人様の顔が見られません)


もう、もうイヤです!こんな歌会!


それにしても思うんだけど、最後に読まれた皆さんの歌の意味がまったく分かりません。


あとで、ご主人さまに聞きます。

凛、難関の歌会は無事、終了しました。


でも、日本語って難しいわ~~~(凛です。)


*言葉意味*

みなも=水の水面

百千鳥=色々な鳥が集まって来る

弥生の頃=三月

大海原=世の中(社会)

いくたび行く=これから進んで行く

佐保姫=春をつかさどる女神

おもひもの=思う人

春の猫=春の陽だまりで寝そべっているような猫(人)

「佐保姫」「百千鳥」「春の猫」「おもひもの」は凛の事です。

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