第六話 突然の出来事に収拾がつかない件について
「う~~~ん……」
俺は今最大に苦悩している。
飯食って、自分の部屋に戻って、落ち着いて考えてみると…あれは何だったんだ?
夜のこと…。さっきはまだ眠たかったからあまり起きていない脳で「…まぁ、いっか」とか言ってたけど、今、ちゃんと起きている脳でよく考えてみると……よくなくね?
夢なら夢で「何があったんだ!大丈夫か、俺!!」ってなるし…現実なら現実で何がいたのか超気になるし……
「キャーーーーーー!!!!」
俺が考え込んでいると外から悲鳴が聞こえてきた。
次の瞬間、俺は立ち上がり外へと走り出していた。全く無意識に。
勇者になるとこういう体質が付くのか?
土間を抜け、外に飛び出した。
するとそこには
「ううううぅぅ……」
うずくまって震えている一人の少女。
周りを見渡すが、それといっていつもと変わりはない。
「あの~大丈夫ですか?」
「ううううぅぅ……」
まだうずくまって震えている。
もう一度周りを注意深く見渡すが、なんの異変もない。
「ううぅぅ……っこう……」
「え?」
「…にっ…こ……う…」
「?」
にっこう?日光?え?日光に怯えてるの?何?この子吸血鬼?
…う~ん…多分さっきの悲鳴はこの子のなんだろうけど…このままじゃ会話もままならないしなぁ…
とりあえず…
「大丈夫?動ける?一旦日陰に入ろう。そこ俺ん家だから」
「ううぅぅ……」
なんとか家の中まで連れてくると
「ふぅ。いや~さっきまで曇ってて油断してたら、突然日が照ってきて…」
さっきまでのはなんだったのかと思うほど一気に話しだした。
にしても可愛い。さっきはうずくまってたからわかんなかったけど…むっちゃ可愛い…
二次元でしか見たことないようなの容姿だ。
とにかく可愛い…
「本当に助かりました。ありがとうございました、勇者様!」
「あぁ、うん、どういたしまし……ん?……勇者…様?」
「?勇者様…ですよね?」
「うん、まぁ…そうだけど……」
この世界に来た日以来久しぶりに(メッセージウィンドウを除く)勇者様って言われた気がする。
町に出ても全く声をかけられなかった。
そこは俺が「この世界は本当に勇者というものを必要としているのか?」と思った要因の一つでもあるんだが…
だから俺の知名度はかなり低いはず。
なのになぜこの子は俺のことを知ってるんだ?
「よく俺のこと知ってたね?」
「?何言ってるんですか?いつもお話してるじゃないですか」
「へ?」
ひとつ言っておくが、俺はこの1週間、女の子とは知り合っていない。
主人公とか勇者とかにありがちな超モテ補修は二次元にしか存在しないと身をもって体感しているところだ。
だから女の子とおしゃべりなんてことは絶対にしていない!
「あの~人違いじゃないですか?」
「なんで敬語なんですか?いつもタメなのに」
女子にタメなんて俺に出来るはずねぇ!
こんな口調だが、これをするのは脳内or親しい男友達との会話。
女子なんて呼びすてですらできねぇよ!!
「あの、本当に人違いじゃないですか?」
「は~…勇者様って誰かわからなくなるほど知り合いいましたっけ?」
…なんか失礼だなぁ……
「確かに知り合いは少ないですけど……ハッ!もしかして!」
「もしかして?」
「お婆さんの真の姿!?」
「…………」
「え?じゃあ…お…お爺さん?」
「…………」
なんか出てるよ、なんか出てるよ、オーラみたいな何か出てるよ。ヤバい。
だけど全く見当がつかない。この世界に来てから知り合った人っていったら…………!!
……まさか……でもそれしかない…よな…
「もしかして……メッセージウィンドウ?」
「やっと気づきましたか…」
少女はため息をつき
「そうです、メッセージウィンドウです☆」
俺にウィンクをしながら嬉しそうにほほ笑む。
マジかーー!!
どうも月です。
いつもの時間に出すために急いで書いたので最後の方とか特に強引な感じに…
少しずつ直します。
質問・アイデア・誤字脱字の指摘等よろしくお願いします。