第五話 収拾がつかなさすぎて精神的に収拾がつかない件について
「ふああああああ…」
『真昼間に大あくびYeah!!(゜□゜)なんか眠そうですNE!!\(>□<)』
「そういうお前のやけに高いテンションは徹夜明けか?」
『∑(゜□゜;)』
「図星かよ…」
この世界に来てから俺の感覚では1週間が経った。その間に町のことは大体分かった。
…が、他のことに関しては全く進展なし。
分かったことといえば「この世界は本当に勇者というものを必要としているのか?」と思うほど平和であることぐらいだ。
だから俺は町を探索したり、お爺さんやお婆さんの手伝いしたり、ゴロゴロしたりしてのほほんと暮らしている。
ただ無駄に時間が過ぎていっているだけの気がするが…
『でも桃太郎も鬼が島に行くとか言いだしたのは結構経って大きくなってからだったから、大体こんなもんでしょ( ´・ω・`)』
「まぁそうだけど…」
やっぱりこいつ俺の心読んでるな…
「なんつーか…よく分かんないことが多すぎる…」
『for example?(―⊆―)』
「例えば?う~ん…最終的に何を倒せばいいのかとか、世界観の軸が桃太郎なのかド●クエなのかとか、こんだけド●クエ要素があるなら魔法とかもあるのかなーとか…」
『まぁ分かんないことだらけなんですよ、人生なんて( ̄ー ̄)』
「いい感じにまとめようとすんな」
『てへっ☆^(o≧∇゜)o』
「…………」
『…………』
「あ、消えた」
あいつはなにがしたかったんだろう…
「ふー…」
俺は畳に寝転がる。
この1週間俺は寝不足だ。いくら平和にのほほんと暮らしていても、精神のホントに芯の部分は休まってくれていないらしい。
慣れない環境、自分が勇者であるという感じたことのないプレッシャー、元の世界に帰れるか分からない不安…
あまり意識していないつもりでもそれらが重くのしかかる。
だから夜もなかなか寝付けず、気づけば朝という生活が続いている。
「このままで大丈夫かな…俺…」
ん?……なんか…急に…眠く…なって……きた………な…………
※
「ん…………俺……寝てたのか……?」
目を開けると寝た時と同じ俺の部屋……だと思う。
真っ暗だからよく分かんないけど。
……左腕に違和感。
「……?」
何かがくっついている?というより腕に抱きついている?人?呼吸する音とか聞こえるし。
でも真っ暗だからよくわかんないし…はっきり言って怖い。
家の中だから安全なはずだけど…ゾンビとかだったらどうしよう…
いや、でもお爺さんとかお婆さんとかでも怖いな…別の意味で。
「ふ?」
俺が考え込んでいると俺のすぐ左横から声が聞こえた。
俺の左腕に抱きついているそれはやはり人だったらしい。
「あの~よく見えないんですが…どちら様ですか?」
「…………」
返答なし…
「…………」
「…………」
!?急に…眠…気……が……
※
「…………!!」
バッ!!
俺は急に眠りから覚め、起き上がった。
朝なのか部屋は明るい。
周りを見回す……俺の部屋だ。
だがなぜか俺は布団の上にいる。
敷いた覚えはないが…
そして一度起きた時に俺の左腕に掴まっていた物?人?もいない。
あれは夢だったのか?
「……まぁ、いっか。考えても仕方ない…」
そうつぶやくと思い出したかのように腹がけたたましく鳴いた。
俺よく考えたら昨日昼飯食う前に寝たから二食抜いてんじゃん。
割かし大食漢の俺からしたらこれは非常事態だ。
「うううう~~腹が減った~」
俺は立ち上がり居間へと向かった。
どうも、今回も週一の月です。
本当は2、3話この週末に出そうかと思ってたんですが、活動報告にも書きましたが、非常事態が発生しまして…結局1話になりました。
誤字脱字の指摘、感想、質問、アイデア等ありましたらよろしくお願いします。