第二話 外に出てみるとやっぱり収拾がつかない件について
「じいさんや、なにか出てきましたよ」
「どうしましょうかねぇ、ばあさんや」
なんか二人ともしゃべり方が普通に戻ってるし。
「とりあえず一口大に切っておくかのう?」
「いやいや、とりあえずで人を殺すなよ!」
……シ~~~ン…
やばい…空気が重すぎる。
何?桃太郎って赤ん坊じゃなかったらこんなに気まずい感じなの?
やばい、超帰りたい。帰れないけど。
「じいさんや、わしらは子宝に恵まれなんだ。じゃからこれを子供にせんか」
おぉ、やっと桃太郎らしい展開。
「それがええのぉ。で、いつ一口大にするんじゃ?」
「いやいや、いい加減そのネタから離れろよ!」
…シ~ン……
辛い、辛すぎる。何このツッコミに対する風当たりの強さ。泣くよ、マジで。――――まぁ初対面でこんなツッコミをする俺も俺か。
「名前はどうしましょうかねぇ」
「桃から生まれてきたんじゃから…………『一口大太郎』でどうかのう?」
「まだ引きずってるし桃関係ないし!普通に桃太郎でいいじゃん!」
「!……その発想はなかったのう…」
「一番メジャーだと思うんだが…」
「それでいいんじゃないですか?」
「そうじゃな。おぬしは今日からうちの子じゃ、桃太郎」
俺は承認した覚えはないが、ここは明らかに異世界。そんなところで放り出されてもどうしようもないし…。ここはひとまず…
「じゃあよろしくお願いします」
「よし。桃太郎や、早速町を知ってもらうために散歩にでも行くかのう」
…町?俺は首をかしげる。
おじいさんのたちの服もこの家もいかにもな日本の古民家だ。つまり「町」っていうより村って方が感じなんじゃないのか?
とりあえず外に出るために歩き出そうとして自分が土足のままだったことに気づく。一旦靴を脱いで土間に行き、また履きなおす。
家に残るらしいおばあさんに見送られて、おじいさんと一緒に外に出る。
するとそこは……
超ド●クエ調の世界であった……
…………
えーーーー!!ちょっと待てちょっと待て!
なんで?なんで周りを見たら普通に武器屋とか道具屋とか、向こうの方には城があるの!?
「どうしたんじゃ?桃太郎」
横を歩く俺が明らかにパニくっているのに気が付いておじいさんが話しかけてきた。
「あ、え、いや、なんでもないよ」
「そうかの?」
……なんでだよー!何で普通に甲冑着てる人とかいんの!?
俺はお爺さんについて歩きながら、パニクり続ける。
「桃太郎や、ここが町の教会じゃ」
と言っておじいさんが立ち止まった。
見るとそこには大きな協会があった。
ここまで来るとマジものだなぁ…
「あとこっちは集会所じゃ」
協会の隣を見ると二階建ての大きな建物があった。
前に人がたくさん集まっている。
「ん?」
その人々がこっちをじっと見ている。敵意とかではなくただ驚いているという感じだ。
なんでだろう?……この服のせいかな?と言っても20人くらい人がいるうち、半分は和服だが半分はド●クエの村人っぽい服だから、俺の制服がそんなに珍しい感じでもないし…
「尾児井さん……どうしたんですか?その人…」
村人Aが話しかけてきた。
ん?あれ?おじいさんて名前も尾児井さんなの?
「ん?桃太郎のことか?」
「桃太郎?」
「そうじゃ、桃の中から生まれてきたから桃太郎じゃ」
「「「「「!!!!!!」」」」」
全員の顔がさらに驚きに染まった。
まぁそういう反応が普通だよな…桃だもん…桃…
突然村人Cあたりが俺に近づいてきた。
「ゆ、ゆ、勇者様!!」
は?
「ユウシャ?なんのことじゃ?」
「さっき話していたことなんですが、昨日みんな同じ夢を見たんです。なにかまばゆい光の塊が出てきて『桃から生まれた桃太郎という名の勇者が現れ、この町を、果ては世界を救うだろう』と言っていたんです」
なんじゃそりゃ…
「私たちもどんだけファンタジーな夢だと思ってたんですけど…まさか本当に…」
この世界自体が十分ファンタジーなんだが…
というかなんなんだ、これは。意味がわからない。
夢の予言適当すぎるだろ!もし『一口大太郎』になってたらどうする気だったんだよ!
そう心の中で叫ぶと突然、視界の下半分が枠で囲まれ白く染まった。
そしてそこに一文字ずつピコッと音を出しながら文字が浮かび上がってきた。
『ツッコむとこそこですか!∑(° ロ°‖)まぁ確かにそこは考えていませんでしたねぇ…(-.-;)』
…………ナニ…コレ?
どうもお久しぶりな月です。
二週間空いちゃいました…まぁ…いっか
ストーリーは…いったいどこへ向かっているのでしょうか…。完全に勢いでやってるんでもう自分でもわかりません(汗)
感想・アドバイス・質問等々よろしくお願いします。