第一話 初っ端から設定が崩壊しすぎて収拾がつかない件について
気がつくと俺はなんか真っ暗な狭いところに入っていた。
どこだ…ここ……
一応アグラをかけるくらいのスペースはある。
壁に耳をあててみると、外側に水が当たる音する。
そうか…俺…桃に食われたんだった…
突っついたら桃がてっぺんから4つに割れて…
パクッ☆ って…
…………そこはもういいか。忘れよう…
とにかくどうしようこれ…
どうやら俺は今、桃の中で絶賛ドンブラコ中のようだ。
つまり桃太郎みたいな感じになってるってことか?
……うわー…改めて結構非常事態じゃん…これ…
見つけられなかったら捜索願とか出されるだろうし、見つかったら見つかったで精神科へ連れて行かれそうな気がするなぁ。逆に未知との遭遇的解釈をされるとか?
……なんにせよ今のこの状況を完璧に打開する術は『自分で脱出』しかないようだ。
そうと分かれば早く脱出する方法を考えねぇと…
さっきから何度壁を叩いてもビクともしないしなぁ。
「う~ん……なんも思いつか…うおっ!?」
脳をフルに回転させていると桃がガクンと揺れ、外からしわがれた感じの声が聞こえてきた。
「これはでっけぇ桃だぎゃあなぁ。早う持って帰ってたべるさー」
何語だよ!!方言かそれ?!何言ってんのか全然わかん…うお!?
またガクンと揺れた。
どうやら岸に上げられたみたいだ…とか考えてると今度は視界がぐるりと回った。
「うわぁ!うご!ごは!ぐへ!」
お婆さんは桃を転がして家に運びだした。よって俺は狭い桃の中でどったんばったん…
速い!マジ速い!そして痛い!
「わっちもまだまだ若いもんには負けへんでー!!」
だから……何語しゃべってんだー!!
※
はぁ…はぁ…やっと……止まった…
どうやら家の中まで運び込まれたらしい。
「お爺さーん!お爺さんやー!」
なんかお爺さん呼んでるみたいだ……というかヤバい…マジで吐きそう…
「なんじゃあ!!やっと『無双百切斬』が完成しそうじゃったのに!!」
え?お爺さんってふつう芝刈りしてるんじゃね?なんで必殺技の開発みたいなことしてんの?
「そんなんいいからさっさと来いっつってんだろうが、じじぃ!!でっけえ桃拾ってきたからさっさと切りやがれ!!」
おばあさんしゃべり方変わりすぎだろ!こわ!
「あぁあぁわかったよ!!切りゃあいいんじゃな!!じゃあ一昨日完成した『ちょっと大きく切りすぎたなぁ…でも半分にしたら小さすぎるし…どうしよう!ってなっちゃうあなたにオススメ!ちょうどいいぐらいの一口サイズに切れちゃう斬り』を使うか…」
長ぇよ!!ネーミングセンス0か!
って、心の中でツッコんでる場合じゃない。どうやらこのままじゃ俺ごと斬られそうだな…ヤベェ、どうしよう。
「わかったからさっさとやれや!」
「やるから黙っとれ!!…………ふおぉぉぉぉぉぉぉ……」
あ、なんか集中モードに入っちゃったし。くそう!いやだ!こんな意味わかんないとこで死ぬなんて…絶対に…
「いやだーーーー!!!!」
そう叫び俺は全力で桃をこじ開けようと上に手を当て足にすべての力を込めた。すると…
「う…」
突然視界が明るくなった。そして俺の周りには真っ二つになった桃と、ただ呆然としているお爺さんとお婆さんがいた。
「あ、あ、え~っと…こ、こんにちわ~……」
「「………………??」」
どうしようこの状況…
どうも月です。
二次創作と呼んでいいのかと思うほど初っ端から原作崩壊しまくってますが、どうか温かい目で見守ってあげてください。
よろしくお願いします。