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監視

 「マスター、どうするんですか?」


 「……考えてる」


 双眼鏡を覗き込む虚蔵 縁の隣に座っているのは先日彼に助け出された少女レア。二人はマンションの屋上に忍び込み、とある友人の監視をしていた。


 「……あいつまで、関ってくるなんて」


 双眼鏡から見るその部屋の住人は二人。一人はかつて共に神野 刃金を追っていた少女。そしてもう一人は本城 日上、高校時代を共に過ごした少年だった。


 「とても仲良さそうに見えますね」


 距離は二百メートルほど離れているのだが、レアは双眼鏡もなしに部屋の様子が窺えている。


 レアの言葉に部屋を再度見ると、日上が調理中の料理をイヴがつまみ食いしている。自分と一緒にいたときは一度も見せなかった光景だ。日上はどうやら朝から凝った料理をつくっているようで、できあがったロールキャベツを次々とイヴは口に運んでいる。


 「…………あ、つまみ食いしてるのに気付きましたね」


 「追い掛け回してるな」


 ―――――なんて平和な……。


 見ていてため息が出てくる。俺がこうして監視しながら守ってやってるっていうのに、本人は上の空だもんな。


 しかし羨ましくもある。今までもあいつがカナと一緒に街を歩いているのを遠くから見ていたことがあった。その度に妬み、眼を背けて復讐の毎日に戻っていった。

 

 「羨ましいんですか?」


 「…………まあな」


 「あなたはいつでもあの場所に戻れると思うのですけど」


 「戻るつもりは無い。必ず神野を殺すまで――――」


 「殺した後も……戻るつもりはあるんですか?」


 「……………………」


 「ワタシは、あの場所のほうがいいように見えます。少なくとも貴方には」


 「……………………」


俺は彼女の言葉を無視して二人の部屋の中に意識を向ける。テーブルについて食事をするイヴの様子は俺の知っているものではなかった。俺のときは静かにコンビニ弁当を食べていただけだったのに、今は楽しそうに目の前の食事に食いついている。


 ――――――幸せな光景だ。


 フッ……と鼻で笑う。




 「なにストーカーみたいなことしてんねん……って、そういえばお前、俺のストーカーでもあったな」


 


 俺とレアの後ろ、自身の身の丈を超えるほどの大斧を携えた神野 刃金が立っていた。


 俺は後ろにある非現実を守るために、目の前の現実と戦わなければならなくなった。



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