強烈な訪問客
???「アマちゃーん! アマちゃんおるかー?」
アマちゃん「誰か来たねぇー。シナっち、ちょっと出て~」
シナツヒコ「いいけど。……いや、この声は多分……」
???「おっかしいのぉ! 誰かー! おらへんのー?」
シナツヒコ「ああ、居るよ……。やっぱククリのおばちゃんか……」
ククリヒメ「シナちゃん、久しぶりやな! ちょっと近くの白山比め神社まで来たから寄らせてもろたわ! いやしかし、あんたんとこの参道、人多いなー! 歩くだけで痩せるかおもたわ! 痩せへんけどな! ガハハ!」
シナツヒコ「お、おう、久ぶ――」
ククリヒメ「でな、聞いてや! こないだ、スーちゃんとクーちゃんがおったんや! ほんで、クーちゃんが出雲行ったときな、ナギちゃんの面倒見とる言うてんねんな。普段はツクちゃんがナギちゃんの面倒見とるさかい、そん時くらい面倒見たろちゅーってな、クーちゃんが面倒見とる言うのに、旦那のスーちゃんが自分とこの父親のナギちゃんの面倒見てくれん言うて愚痴っててな。せやからワテが言うたんねん! 普段姉ちゃんが親の面倒見とるんやから、そん時くらい面倒見たれちゅーってな。スーちゃんとこのオトンもオカンも昔な、黄泉と高天原の境目で喧嘩しよったねん。せやからそれ思い出してな! ああなりとうなかったら、ちゃんと嫁ハンの機嫌取らなあかんで、てな!」
シナツヒコ「そ、そう――」
ククリヒメ「ワテ、けーっこう長い時間じぶんらのオトンとオカンの喧嘩の仲裁しったたねんで! オトンを引き留めたら、オカンはなんや黄泉で知りおうた女子にオトンけしかけてくるわ、オトンはそれにタケノコ投げよるし、オカンの方なだめとったら、オトンは桃投げてきよるしでなぁ! ほんでワテ、二人とも物投げたらアカン言うてな! ほんで長い事オトンとオカンを説得したったねん! あんたら日本ちゅー国の基礎を作った夫婦やんか、名前もそっくりやさかい今更そんな喧嘩してたら子供悲しむでってな! そやのに、古事記っちゅー本にはワテの言葉いーっさい書いとらへんの! ワテ、ガンガンガンガン二人に話しかけたっちゅーのに、それ見とった奴があかんかったんか、内容なーんも覚えとらんかったんかなぁ! どない思う!? 酷い話やろぉ!」
シナツヒコ「……お、おう。で、今日は何しに――」
ククリヒメ「んで、聞いてーな! こないだ黄泉に用事あったさかい、ナミちゃんと閻ちゃんに挨拶しにいったんや! したらな、この二人が喧嘩しよんねん! んで、何があったんや、ってワテ聞いたんや! そしたらな、黄泉のエアコンの温度で揉めとんねん! ナミちゃんは暑すぎるわー言うてな、24度にせい言うとんのに、閻ちゃんは地獄は熱くて当たり前や、言うてんねん! ほんでワテ言うてやったんねん! ここ地獄ちゃうやろ、裁判所やでってな! 周り見たらそれこそ天国行きの亡者もいっぱいおんねんで! いやそれはええねん! でもワテみたいなのもおるっちゅーてな! 暑い、言うて、間取って26度にしいや、って言うて来たんねん。したらナミちゃんは、26度じゃ暑いわ言うてな、暑ぅしてかなわん時は、なら伊勢にまたカレー食べに帰るわいうてたんや! カレー食べたら、そんなんまた暑ぅなるでってな! ガハハハハ!」
シナツヒコ「お、おう。んで、何しに来たんだ?」
ククリヒメ「そうやったそうやった! アマちゃんおるか? 待っとる間アメちゃんやろか。ってな!」
シナツヒコ「飴ちゃんか……」
アマちゃん「あー、飴玉だー。ククリおばちゃんお久しぶり~」
ククリヒメ「アマちゃん! 久しぶりやな~! ちょっと近くの白山比め神社まで来たから寄らせてもろたわ! ほんでな!」
シナツヒコ「姉ちゃん忙しいから、巻きで……」
ククリヒメ「そうか! 忙しいんか! そらえらいこっちゃな! せやかて忙しいんはええ事やで! ほんでな、ここに来る途中にな、割れせんべい買ってきたねん! お得やろ?」
アマちゃん「わーい、おせんべー」
ククリヒメ「ほな、ワテこれから出雲行ってくるわ! クニちゃんが、また奥さんに怒られて蔵に閉じ込められてるらしいから、鍵開けに行かなあかんねん! ほんま、男ってアホやなー! ほなな!」
アマちゃん「またね~」
シナツヒコ「……で、結局、何しに来たんだ……?」




