火車のなんでもない日常
チャリチャリ……
火車「ふにゃ? ご予約頂いたのはこの辺りのはずだにゃ」
ポチポチ……
火車「えーっと、場所は合ってるはずにゃのに……。ここは倉庫かにゃ? 入り口が見当たらにゃい」
カシャン
火車「チャリはここに置いて、入り口を歩いて探すかにゃ」
テクテク
火車「おっ。良い所に」
野良猫「にゃー」
火車「にゃーご」
野良猫「にゃ?」
火車「にゃーごなごなご」
野良猫「なごなごにゃーん」
火車「にゃごなご?」
野良猫「にゃんにゃー」
火車「うな。にゃーん」
野良猫「にゃー」
火車「……困ったにゃー。野良の言うにゃ、ここは無人ににゃって結構時間経ってるにゃ。しょうがにゃいにゃー」
キョロキョロ
火車「人間の気配にゃし。ほんじゃ壁からすり抜けるにゃ」
スー……
火車「ふにゃー。埃っぽいにゃー。無人って言っても、人間のルールにゃら、誰かが管理してるはずにゃんが」
コツコツ
火車「やっぱ誰も居ないにゃー。完全に放置物件かにゃー」
コツコツ
???「だぁれ……?」
火車「おっ。ようやく発見にゃ」
???「おねぇちゃん、だぁれ?」
火車「子供かにゃ。……ふにゃー。こりゃわっちのご予約相手じゃないにゃ」
???「おねぇちゃん、助けて」
火車「およ? こりゃ、地縛霊になりつつあるにゃー。すぐお迎えをよこすから待ってるにゃ」
???「おむかえ……?」
火車「あんま恨みとかは無さそうだにゃ。単に自分が霊になったのが分かってにゃいだけかにゃ。でもこのまんまじゃ悪霊になっちまうにゃ」
子供の霊「……え?」
火車「大丈夫にゃ。キミはわっちの案件じゃにゃいにゃ。せいぜい賽の河原行きにゃ」
子供の霊「さいのかわら……?」
火車「行けば分かるけどお地蔵様が助けてくれるところにゃ。もう少し待ってるにゃ。わっちはもう行くにゃ」
子供の霊「おいていかないで……。おねぇちゃん……」
火車「ふにゃー。こういう霊も居るから、最近は人間の姿ににゃるよう言われてるけど、頼られると困るにゃー」
子供の霊「ひとりにしないで……」
火車「仕方がにゃいにゃー。ちょっとおとなしくして貰うにゃ。ふしゃ〜」
子供の霊「……え? あ……」
パタリ
火車「大丈夫にゃ。頭がぼーっとする感じになるだけのまたたびの術にゃ。わっち以外のお迎えが来る頃には効果は切れるにゃ。子供向けの優しい獄卒のお姉さんを頼んどくから安心するにゃ。ほんじゃ」
コツコツ……
火車「さて、わっちの担当の方は……」
???「くるなぁぁぁ」
火車「居たにゃ」
???「ああぁあぁぁあぁあああ!」
火車「この感じは、わっちのご予約の相手で間違い無さそうにゃ」
???「ああああ来るなぁぁぁああ!」
火車「来るにゃと言われてもにゃー」
霊「ここは俺のモンだ! 渡してたまるか! ああぁぁぁ!」
火車「とっくにあんたのモンじゃなくなってるにゃー」
霊「俺のモンだ! アイツも俺のモンだ! 全部俺のだ! 来たら殺すぞ!」
火車「ははーん。そんであの子もアンタが殺したかにゃ。そんでそのままアンタもあの子も地縛霊になっちまったと言う訳だにゃ」
霊「煩い! 何を言っている! 俺のモンを俺がどうしようが俺の自由だ!」
火車「アンタさんも自分が霊になったのをわかってにゃいのか……。じゃ、ないにゃ。アンタはとうに気が狂ってるにゃ」
霊「煩い煩い煩い!」
火車「テンプレみたいにゃ悪霊にゃ。えーっと……」
ペラペラ……
火車「この辺りに書いてたはずにゃ。……あったにゃ」
霊「煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い!」
火車「はいはい。わかったにゃ。特徴、波長、霊波からして本人で間違いにゃし。んじゃ、罪状を読み上げるにゃ。まず――」
霊「煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い来るな来るな来るな来るな渡さん渡さん渡さん!」
火車「あーもう、うっさいにゃ。ふっしゃー!」
霊「あ”あ”あ”あ”あ”あ”……」
火車「えーっと罪状は『殺人』、『放火』、『強盗』に、うにゃー……こんにゃことまでやってるかにゃ。追加の罪状『〇×』と『▽△』で、アンタは裁判無しで『阿鼻地獄』行きにゃ」
霊「ぁぁぁ……」
火車「てにゃ訳で、はい、かっちかっちと」
ゴオオオォォォォ!
霊「ぎゃあああああああぁぁぁ!」
火車「よー燃えるにゃー。最近の霊専用改良火付け石はお手軽だにゃー」
ボオオオォォォォ!
火車「鬼火と一緒で建物には燃え移らんから楽でいいにゃー」
プスプス……
火車「まぁ、昔は燃やしたまんま運んでたけど、最近は、燃やした後に運ぶことににゃってるんだにゃ。他の亡者に危にゃいからって事で」
霊「ぁぁあぁぅ………」
火車「ほんじゃ、荷台に乗せてと。阿鼻地獄に捨てに行きますかにゃ」
ポワポワ……←元の猫の姿に戻っている
火車「ほんじゃ『火車の地獄特急便』発車しますにゃー、ゴロニャー」
ギュイーン!
火車「ふにゃーん! ゴロゴロ! ゴロニャー!」
地獄上空
火車「はい、到着。んじゃ、ぽいっと」
霊「ああぁぁぁーーー………」
火車「ほんじゃ、報告行きますかにゃ」
閻魔庁
火車「閻魔様、ご予約頂いた亡者を一人、『阿鼻地獄』にお届けしてきましたにゃ」
閻魔「あー、火車ちゃん、お疲れさま。最近は、あんまり地獄行きの直行が無いから久しぶりだったんだよね」
火車「そうにゃんですにゃ。そろそろ、現世に合わせて地獄側の基準も見直した方が良いかもしれにゃいですにゃ」
閻魔「そっかー。それじゃあ出来るだけ早く見直すようにするよ」
火車「まぁ、お忙しそうですし、暇が出来たらでいいですにゃ」
閻魔「悪いねぇ」
火車「あ。あと現場に子供の霊が残ってましたにゃ。正規のお迎えも寄こしてくださいにゃ。出来れば優しい女性の獄卒で」
閻魔「そっか。それじゃあ、手配しておくよ」
火車「ほんじゃ、わっちはチャリ回収して地蔵になりにいきますにゃ」
閻魔「……へ? 地藏……?」
その後
閻魔「あのさ、地藏ってどういうことなのかな?」
鬼「ああ、それは、なんでも現世で今流行りの飲食配達員が、注文が入りやすい飲食店の近くで待機することを、『地藏』と呼ぶらしいですよ」
閻魔「なんか、嫌な呼び方だなぁ」
鬼「火車さんが『地藏』ですか。笑えますね」
マ〇ドナ〇ド前
ピロリン……
火車「ふにゃ。今はこっちのご予約の方が多いにゃー。……この人、食いすぎだにゃー」
【ご注文】
『ビックリマックリセット通常2セット(特典無し)』
『ビックリマックリ単品8個』
『トリプルチーズバーガー単品5個』
『ハンバーガー単品4個』
『チーズバーガー単品4個』
【配達先ご住所:東京都荒川区南千住6-60-1】




