トヨウケの弱み
シナトベ「よっ、トヨちゃん」
トヨウケ「あら。シナトベさんじゃないですか。戻ってたのですか」
シナトベ「戻ってたよー。少し前に」
トヨウケ「全然見ませんでしたが……」
シナトベ「伊勢に戻ったけど、半日で飽きちまって、この辺ウロウロしてたんだわ」
トヨウケ「この辺って……。シナトベさんの『この辺』はかなり範囲がおおざっぱなので、中部地方……下手をすると本州全域くらいまで範囲がのびそうな気もしますが……」
シナトベ「いやいや、さすがにそこまで広範囲じゃないって~」
トヨウケ「では、参考までに今回はどこに行っていたのかお聞きしたいのですが……」
シナトベ「伊勢に戻った後は、名古屋行って、飛騨行って、浜松行って、琵琶湖行って、串本行っただけだって~」
トヨウケ「やはり、十分範囲が広いじゃないですか……」
シナトベ「そうかね? ほら、これ土産だ」
トヨウケ「どうもありがと……うって、これ『ひよ子』じゃないですか! 東京銘菓ですよね!? あれ? 福岡でしたっけ?」
シナトベ「東京で買ったやつだよ。ちょっとスカイツリーの頂上に登ってみたくなってねぇ」
トヨウケ「はぁ……。シナトベさんが無軌道で制御不能なのは今に始まったことではありませんが……」
シナトベ「そんな、あたしを壊れた衛星みたいに言わなくてもさ~」
トヨウケ「まったく」
シナトベ「あっ、そういやこの前、トヨちゃんを見かけたな~。どこだったかな~? 外宮近くのスーパーのベンチで見かけたんだっけな~?」
トヨウケ「うっ! そ、それは」
シナトベ「うっへっへ~。大丈夫、大丈夫。アマ姉ちゃんには黙っててあげるって~」
トヨウケ「そ、そうして頂けると~……」
シナトベ「あとね、浜松寄った時に、サクヤちゃんとイワヒメちゃんを見かけたよ。なんか、どっかの王様? 王様かな、あれ。なんか夫婦とうなぎ屋からでてきたねぇ。あれ誰だったんだろ?」
トヨウケ「ああ、それはおそらく、ギリシャのハデス夫妻ですよ。日本に観光にいらしたのだとか。ククリさんが日本とギリシャの行き来をしてくださって、どうやらサクヤさんとイワヒメさんが接待をしてくださったみたいで」
シナトベ「へぇ。ハデス夫妻って、冥界の王様と王女様だよね? やっぱ王様だったんだ」
トヨウケ「そうなんですよ。ただ、冥界の方と言う事で、伊勢の方には遠慮されてお越しになられないんですよね。やけに日本の文化などに詳しいようで……」
シナトベ「へぇ。アマ姉ちゃんとかの事、気にしてくれてんのかな? 良い神様たちじゃん」
トヨウケ「まぁ、実際の所は、ナミちゃんも火車さんもちょくちょく来られてるので、そこまで気にされる必要もないのですが……」
シナトベ「人間がジャンクフードを美味しいけど体に悪い、と思うのと同じくらいの感覚なんだけどねぇ」
トヨウケ「その例えは、さすがに大雑把すぎるかと思いますが……」
シナトベ「あ、かーちゃんと火車ちゃんと言ったら、こないだ名古屋で会ったよ。なんか火車ちゃんの服を取りに行くのに、あたしも付いてったんだ」
トヨウケ「火車さんのお洋服(という名のゴスロリドレス)、出来たんですか!?」
シナトベ「おっ、喰いつき良いねぇ。写真撮ったよ。ほら」
トヨウケ「か、可愛いっ! あの、その写真、私にも頂けませんか!?」
シナトベ「え? 別に構わんけど。え? この写真どうすんの?」
トヨウケ「待ち受けにします!」
シナトベ「おっ? なになに。トヨちゃんは火車ちゃん推しなん?」
トヨウケ「実は、最近になって、初めて火車さんの人間体を見てしまいまして……。もう、可愛いのなんのって! これまで知らなかったことが不覚です!」
シナトベ「ほほーう。ちなみにその時の火車ちゃんはこの格好じゃなかったん?」
トヨウケ「ダウナー系女子でした! そちらも可愛かったです!」
シナトベ「なるほどねぇ。実はさ、今度は火車ちゃんにこういう服を着せてやろうかと計画してんだけどさ」
トヨウケ「ほほーう。これは所謂『サブカル地雷系』と言う服ですね。ジュルリ……」
シナトベ「うっへっへっへ。トヨちゃんもイケるクチよのう~」
トヨウケ「いやいや、シナトベさんほどでは。ジュルリ……」
その頃黄泉
火車「……ブルルニャ! ニャンか寒気が……」




