酒と大福
ツクヨミ「ねぇ。ちょっとここでお酒を飲んでもいいかしら?」
シナツヒコ「別に構わんけど。なんでここで飲むんだ?」
ツクヨミ「ふふふ。良いお酒が奉納されてたのよ。でも、 月讀宮で飲んだら、父さんに飲まれそうだから」
シナツヒコ「なら、別の月読宮にでも持って行って飲めばいいんじゃねーか?」
ツクヨミ「んー。 月讀宮に納められてたお酒だし……」
シナツヒコ「前にアマ姉なんかは、熱田神宮に奉納されてた酒をかなりこっちに持ってきたじゃねーか」
ツクヨミ「そうだけれど、なんとなく、奉納品を他所から伊勢に持ってくるのと、伊勢から持ち出すのとじゃ、ちょっとねぇ……」
シナツヒコ「まぁ、感覚は分かるが」
ツクヨミ「でしょ?」
シナツヒコ「でも、前にオーストラリア便に酒を持ち出してた来たじゃんか」
ツクヨミ「あれは自分で買って隠しておいたお酒だもん」
シナツヒコ「さよか。ちなみに良い酒ってなんだ?」
ツクヨミ「これよ! 『楽器正宗 本醸造 別撰中取り』!」
シナツヒコ「おお~。コスパが良いって人気があって、値段の割には中々手に入らない酒じゃねぇか。ちょっと俺にもくれよ」
ツクヨミ「ここ(風日祈宮)で飲ませてもらえるなら、ちょっとなら構わないわよ」
シナツヒコ「つまみが欲しいとこだな」
ツクヨミ「ふっふっふ。抜かりはないわ。つまみは『弁才天の季節のフルーツ大福』!」
シナツヒコ「……前に、月讀宮が『弁天のとこみたいな破局スポットになったら嫌だ』と言ってた神が持ってくる菓子じゃねー気がする……」
ツクヨミ「それとこれとは別だわ。ここの大福は美味しいのよ」
シナツヒコ「まぁ、そうだが」
ツクヨミ「それに『楽器正宗』によく合うのよ」
シナツヒコ「それも分かる。……が、それだと逆にここは危険になるぞ……」
ツクヨミ「え?」
シナツヒコ「ほら、後ろに……」
アマちゃん「いっただき~! パクッ」
ツクヨミ「あぁーっ! ちょっ、姉さん! それはこのお酒のお供なのよ!」
アマちゃん「モゴモゴ……マイフフホヒシ~」
シナツヒコ「な?」
ツクヨミ「シナ君も、もうちょっと早く言ってよ!」
シナツヒコ「言ってる最中に出現したんだよ」
ツクヨミ「しかも二個もいっぺんに食べてるじゃない! これ、六個しか入ってないのよ!?」
アマちゃん「モゴモゴ……フハフフヒニハイッハンハホン」
ツクヨミ「もう何言ってるのかわかんないし!」
シナツヒコ「……まぁ、諦めろ。アマ姉にバレた時点で手遅れだ。あと四個あるんだろ?」
ツクヨミ「そのはずなのに、箱に二個しか入ってないわよ!?」
アマちゃん「フッハーン!」
シナツヒコ「更に二個、持って逃げられたな……」
ツクヨミ「もーーー! 弁才天の季節のフルーツ大福でこのお酒飲みたかったのにー!」
シナツヒコ「残りの二つで諦めるしかないな」
ツクヨミ「二個じゃ足りないわよー!」
シナツヒコ「トヨウケになんか別のつまみ頼もうぜ……」
ツクヨミ「『弁才天の季節のフルーツ大福』で『楽器正宗 本醸造 別撰中取り』を飲みたいのよ~!」
シナツヒコ「今回は二個で諦めろ……」
ツクヨミ「もーーーーーー!」




