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日別朝夕大御饌祭

内宮


シナツヒコ「ん?……こりゃあ、トヨウケに渡した方が良さそうだな」

アマちゃん「ふあぁ……。シナっち、おはよー。どしたの?」

シナツヒコ「おう、ちょっと外宮行ってくるわ」

アマちゃん「どして?」

シナツヒコ「俺んとこに奉納されても困るもんが奉納されてた」

アマちゃん「なに?」

シナツヒコ「バー〇ントカレーの素。食うか?」

アマちゃん「……うん、食う~。……え? 食えるか~」

シナツヒコ「だよな」


外宮


シナツヒコ「おう、トヨウケ」

トヨウケ「シナツヒコくん。すみませんがお静かに」

シナツヒコ「……ああ。(『日別朝夕大御饌祭』中か)」

神職「…………」

シナツヒコ(淡々とまぁ、よくやるもんだ……)

トヨウケ「…………」

シナツヒコ(人間には見えてないだろうに、トヨウケもよく正座して真面目に対応するもんだ……)


十数分後


トヨウケ「終わりました。お待たせいたしました」

シナツヒコ「……これ、よく続いてるよな」

トヨウケ「そうですね。一日も欠かさず、朝夕にやってくださってます」

シナツヒコ「1500年くらいだっけか……。その間一日も欠かさず、だろ?」

トヨウケ「私がこちらにお呼ばれしてからずっとですからね」

シナツヒコ「人間側に伝えられた話だとアマ姉が『自分一人では食事が安らかにできないため』呼ばれたんだったか」

トヨウケ「そのように伝えられてますが……」

シナツヒコ「実際は『自分一人では食事が上手にできないため』だよな……」

トヨウケ「アマちゃんはお料理できませんからねぇ……」

シナツヒコ「それも壊滅的にな」

トヨウケ「過去数回、お料理してもらったらデスディナーになりましたし……」

シナツヒコ「アレはもうごめんだ……。それにしても、こっちの供えられる方の食事は、昔っからほとんど変わってねぇってとこも地味に凄いよな」

トヨウケ「これも神事ですから」

シナツヒコ「その間ずっとトヨウケも対応してる……ってわけでも無いか。俺が代わりに受けた時も何度かあったっけな」

トヨウケ「私も都合によってはここを離れる時もありますが、神事ですから、神が抜ける訳にもいきませんので。どうしても私が出れない時は、代役は必須です」

シナツヒコ「まぁ、本当にたまにだからいいけどな。人間側も、まさかトヨウケ以外の神が見ているとは思ってねぇだろうよ」

トヨウケ「神事ですので。まさか神が『休業中』なんて張り紙するわけにもいきませんからねぇ」

シナツヒコ「確かに」

トヨウケ「で、どうなさったんです?」

シナツヒコ「ああ、忘れるとこだった。これ、なんか知らんけど、俺んとこに奉納されてた」

トヨウケ「あら、バー〇ントカレーの素じゃないですか。助かります」

シナツヒコ「……なぁ、ちょっと思ったんだけどさ」

トヨウケ「なんでしょう?」

シナツヒコ「わざわざ毎日朝夕にこうやって食事を供えられるけどさ。最近、このメニューで食べることなくなってねぇか?」

トヨウケ「そうですね。そのままお出しするものもありますが、最近は大半はアレンジしちゃってますね」

シナツヒコ「……それってどうなん?」

トヨウケ「お供えされる食事は一見とてもバランスが良いように見えますが、実際の所は『海、川、山、野、空』といった、人間を取り巻く自然環境の全領域から代表的な恵みを抽出されています。そこは人間側の都合です。それに、さすがにずっと同じだと飽きますし」

シナツヒコ「まぁ、飽きるな」

トヨウケ「その点、カレーなどはそれらの具材の大半を一緒に煮込めるので助かりますね」

シナツヒコ(そういう理由でカレーが多かったのか……)

トヨウケ「とは言え、1500年もの間、ずっと途切れさせず毎日同じ神事を行うというのは、人間視点からすればとても大変な事なのでしょう。こう言うと人間はどう思うかわかりませんが、神である私も感謝しているのですよ。とくに最近は米の値段が高騰していますし……」

シナツヒコ「米に関してはなぁ。ウカノミタマの方が関りが深いからな。仕方ねぇさ。神だって調子が悪い時もある」

トヨウケ「今回の米の高騰には、それ以外の原因も色々と重なった結果ですからねぇ。何とかしてあげたくもありますが……」

シナツヒコ「まぁ、神が直接しゃしゃり出る訳にはいかんもんな」

トヨウケ「そう言う事ですね」

シナツヒコ「……あとさ、普段はカレーの素とか調味料とか、どうしてんだ?」

トヨウケ「え? 買いに行っていますよ。そこのスーパーに。最近は特売日でも特売の値段じゃなくてちょっと困ってます」

シナツヒコ(オカン……)

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