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ウズメとサルタヒコ

???「ツクヨミさん、いらっしゃいますか?」

イザナギ「おーう! ウズメちゃんじゃないの。なんか久々じゃないの?」

ウズメ「あら、イザナギさん。いらっしゃったのですね」

イザナギ「だってワシ、ここに祀られてるし。そら居るだろ」

ウズメ「久々と言いますか、出雲でお会いしていますよ。まぁシラフのイザナギさんにお会いするのは、確かに久方ぶりでございますが」

イザナギ「相変わらずなんかグサっと来ることをサラッと言いのけるのぉ。全くウズメちゃんはクールだのぉ」

ウズメ「そうでしょうか。いつも通りですが」

イザナギ「サルタヒコはどうしとる?」

ウズメ「相変わらず忙しく働いていますよ。まぁ、近年はわたくし目当ての参拝者も多いようですが」

イザナギ「本宮からおかげ横丁抜けてすぐのところに社を構えてっからのぉ。そっちにワシも祀られたかったわぁ」

ウズメ「しかし、お陰様で大反響なのはいいのですが、夫もたまには休みたいとボヤいております。かく言うわたくしも、少々お休みが欲しい所です」

イザナギ「そう言いながら、プライベートでもなんか神事に通じる事やっとるんだろ? ウズメちゃんは結局は真面目なんだからなぁ」

ウズメ「休みの日に行う事と、お仕事でやる事はまた別ですよ。それはそうと、ツクヨミさんは居らっしゃらないのですか?」

イザナギ「なんか今、鹿児島に行っとるよ。けど、もう戻ってくると思うだけどなぁ」

ウズメ「それでイザナギさんが留守番をしているのですか」

イザナギ「ツクヨミのやつ、自分が戻るまでワシに酒を飲むなって言っていきおったからのぉ。おかげで酒が飲めんで今は白湯を飲んどるよ。ワシも早く帰ってきて欲しいんだが」

ウズメ「イザナギさんはもう少しシラフの時間を増やした方が良いかと存じます」

イザナギ「そうは言ってものぉ」

ウズメ「本来は縁結びの力もお強いのに、この前も酔ったままそれをやろうとしたせいで大変だったとお聞きしましたよ」

イザナギ「それ、誰が言ってたの?」

ウズメ「ツクヨミさんとシナツヒコさんが」

イザナギ「あいつらは、も~」

ウズメ「イザナギさんは本来はトップクラスのお力をお持ちなのですから。酔って神事が上手くいっていないとかシャレになりませんよ」

イザナギ「相変わらず容赦ないのぉ。おっと、ツクヨミが戻ってきおったようだぞ」

ウズメ「そうですか。それでは失礼します」

イザナギ「ようやっと酒が飲めるわい」

ウズメ「程々にしてくださいな」


ツクヨミ「あら、ウズメさんじゃないですか。こちらに来られるのは久しぶりですね」

ウズメ「ツクヨミさん。頼まれていたものができましたよ」

ツクヨミ「頼んでいたもの……? あ、もしかして……」

ウズメ「ツクヨミさんのトレインスタンプです。ご要望通り、アニメ調からさらに崩したものに致しました」

ツクヨミ「お忙しい中ありがとうございます。それで、そのスタンプはどこに……?」

ウズメ「先ほど、スマホにお送り致しました」

ツクヨミ「あら、気が付かなかったわ。えーと、どれどれ……。えっ、これ可愛いわ! ゆるキャラみたいで」

ウズメ「ええ。アニメ調を崩した感じ、と言う事でしたが、いざ作ってみようとした際に、崩した感じと言うのに悩みまして、少々お時間がかかってしまいました」

ツクヨミ「それは……、ごめんなさいね。無茶な事言ってしまったようで……」

ウズメ「そんな事もありませんよ。こういった物も作るのに色々学びを得られましたし。ですが、一度決まってしまえば、あとは割とスムーズに作業が出来ました」

ツクヨミ「そう? そう言ってもらえるなら助かります。へぇ。こういう感じになるのね。……あら? このスタンプ……」

ウズメ「ああ、それですか。なにやらこの前オーストラリアに行って、現地のスイーツを買って来たとか。それを反映してみたものです」

ツクヨミ「マッドケーキもスタンプの中に良い感じに取り入れてくださったのね。……と言うか、どこからそれを聞いたんですか?」

ウズメ「シナツヒコさんが、オーストラリア土産をお渡しに来て下さったので、その際に」

ツクヨミ「あら。そうなのね。一体いつの間にお土産何て買っていたのかしら」

ウズメ「シナツヒコさんはそういう所がきめ細やかですよね。素晴らしい事です」

ツクヨミ「確かにそういう所はマメよね。ちなみにお土産って何だったんです?」

ウズメ「ティムタムと言うチョコレートビスケットでしたね。夫が気に入ったようでした」

ツクヨミ(あの、ウールワースってスーパーで売っていたお菓子ね……。シナ君はどこで買ったのかしら……)

ウズメ「それはそうと、イザナギさんがもう酒盛り始めていますが……」

ツクヨミ「あっ! ちょっと目を離した隙に! まったくもう」

ウズメ「大変そうですね」

ツクヨミ「父さんの酒好きにも困ったものだわ。わざわざトレインスタンプを届けてきてくれているのに、ごめんなさいね。お酒の量を調整させなきゃ……」

ウズメ「ええ。構いません。わたくしももう戻りますね」

ツクヨミ「はい。ウズメさん、ありがとう」

ウズメ「いいえ。それでは失礼しますね」

ツクヨミ「父さん! まだ私が戻ってきたばかりじゃない! なんでもうお酒飲んでるのよ!」

イザナギ「いいだろ~。堅い事言うな」

ツクヨミ「まだ午前中よ!」

イザナギ「ワシ、お前が戻ってくるまでは我慢しとったんだよ?」

ツクヨミ「たった3時間程度じゃない! それで我慢したとか――」

ウズメ「本当に、大変そうですねぇ」


猿田彦神社


ウズメ「あなた。戻りました」

サルタヒコ「おお、ウズメ、参拝客が多くて――」

ウズメ「さ。ちゃっちゃと参拝者の願いを聞いていきますよ」

サルタヒコ「いや、だから、なんでお前はワシの言葉をさえぎる――」

ウズメ「ウチは今の時代は色々と忙しいのですから。悠長にしていられません」

サルタヒコ「それはそうだが、それとこれとは話は別――」

ウズメ「さぁさ。話はお夕飯の時にでもお聞きしますから」

サルタヒコ「せめてちゃんと喋らせ――」

ウズメ「ほらあなた。手が止まっていますよ」

サルタヒコ「……はい」

ウズメ「ですが……。今日はちょっと奮発したお夕飯にしましょうか」

サルタヒコ「それはどういう――」

ウズメ「ちょっと思う所があっただけです。あなたが真面目に神事をやっているので、ちょっとした労いですよ」

サルタヒコ「月讀宮でなんかあった――」

ウズメ「お夕飯の時にでもお話ししますから」

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