とある日の伊勢
アマちゃん「とやっ、せいや~、あちょ~!」
シナツヒコ「ふぁ~。アマ姉、珍しく早起きだな。何やってんだ?」
アマちゃん「みて~、ほっあった~、わからない~、せい~、かな~? そいや~」
シナツヒコ「……盆踊りの練習……」
アマちゃん「違うよ~! あた~~!」
シナツヒコ「……不思議な踊り」
アマちゃん「ふ~~~っ。これはね、クンフーだよ」
シナツヒコ「あー。太極拳か」
アマちゃん「違うよ~。昨日観たクンフー映画が格好良かったから、やってみてたんだよ~」
シナツヒコ「……超、鈍い動きだったが……」
アマちゃん「早く動くのはむつかしいんだもん。ねー、どうやったら格好良くできるかなー?」
シナツヒコ「素早く正確に動く」
アマちゃん「それは難しいから無理~」
シナツヒコ「じゃあ諦めろ」
アマちゃん「えー? そんなー。一個くらいそういう型みたいなのやってみたいよ~」
シナツヒコ「うーん、得意そうな神は、まぁ居るけど……」
アマちゃん「誰か教えてくれる人居ないかな~」
シナツヒコ「うーん、タケミカヅチは得意そうだけど、あいつ茨木だしなぁ。フツヌシ……も千葉だったか。ああ、近くに居たじゃねーか」
アマちゃん「居たっけ?」
シナツヒコ「サルタヒコのおっちゃん。何気に戦いの神でもあった」
アマちゃん「道案内のおじさんじゃなかったんだ」
シナツヒコ「姉ちゃんが指示したんだろ……」
アマちゃん「忘れちゃった」
シナツヒコ「呼んでくるか?」
アマちゃん「うーん、道案内のおじさんに、『クンフー教えてー』っていうのはどうかなぁ、って思って」
シナツヒコ(主祭神がクンフー映画見て、自分もやってみたいってのはどうなんだろうか?)
アマちゃん「それに忙しそうだし」
シナツヒコ「そもそも姉ちゃんの先代の太陽神でもあるし、導きの神で有名だけど、海神でもあるし、武神でもあるから、色々な参拝者が多いからな」
アマちゃん「近いのに遠いおじさんだよねぇ」
シナツヒコ「姉ちゃんの100倍真面目だしな」
アマちゃん「酷いよ~。これでも真面目にやってるんだよ~。でも武神だったんだねー。なんで?」
シナツヒコ「アマ姉、それはさすがに覚えとこうぜ……。様々な荒ぶる神々を鎮めたからだよ」
アマちゃん「いつ?」
シナツヒコ「ニニギを道案内した時じゃなかったか?」
アマちゃん「そうだっけ?」
シナツヒコ「アマ姉が指示したはずなんだが……」
アマちゃん「で、なんで武神なの?」
シナツヒコ「だから、ニニギを案内した時に他の神を鎮めたからだよ」
アマちゃん「顔が怖いからじゃないの?」
シナツヒコ「それは……(否定できない……)」
アマちゃん「それに、ウズメちゃんには弱いよ?」
シナツヒコ「まぁ……(それも否定できない……)」
アマちゃん「まぁ良いおじさんだし、神力はもの凄いけど」
シナツヒコ「だろ?」
アマちゃん「でも、クンフー出来るかな?」
シナツヒコ「……合気道じゃダメか?」
アマちゃん「見た目が派手なのをやってみたい」
シナツヒコ「今度、タケミカヅチが来たときに教えてもらおうぜ……」
アマちゃん「そうするー」
その頃
アメノウズメ「あなた、どうしたんです?」
サルタヒコ「出番だと思ったのだが……」
アメノウズメ「そんなことより、早くご飯食べちゃってください」
サルタヒコ「出番……」




