化ヶ物
一つの居酒屋,メラアは起こったことの全てを話した,
「攫われそうな所を助けて,ついでに利用した挙げ句逃げられたって……え!大戦犯じゃん!」
「分かってるわよ!だから今から探すのよ!」
「とりあえず,メラアとやら,伝説の一人ってのは,ほんとなのか?」
アンリの問いに頷いた,
「私が学生の頃ね,残念ながら,私は大天使相手に手も足も出なかったお荷物,それで実際死んだ若い子もいるし,生きてるだけ幸運よ,だから,伝説ってのは少し語弊があるわ,」
「え!メラア強いのに!」
「そりゃ,あの頃から成長するわよ,と言っても,今の私でもお荷物から少し硬い身代わりになったくらい,私の師匠たちと,大天使たちはレベルがまるで違った,」
「そうか,なんか悪いな,仲間の死に関わる話なんかさせて,」
「古い話,もう傷も何もが癒えてるわ,」
会話しているとき,店で一つ煩い要素があった,酒に酔い潰れた女だった,
「ほらほら!もう一杯だ!酒に命かけろ!」
黒く長い髪を美しくポニーテールにしてあり,なんとも背の高い女だった,酒は立って飲んでおり,既にふらついていた,
「お客人,大丈夫か?もう三十杯目だぜ?」
「いいから出せ,私は全く問題ない,」
「ヒカリノ!!」
メラアが席を立ち,そう叫んだ,その声に女は反応すると,こちらへと寄ってきた,鋭い目をしており,胸も大きく,その姿をフィリアはかっこよく,アンリは少し性的目で見ていた,
「メラア,それに,友達か?酒はいける口か?」
「俺は飲まない,」
「私飲んだことない,」
「じゃなくて!ヒカリノ,何をしているの?そんなアホみたいに酔い潰れて,おっさんみたいなこと言って,」
ヒカリノはフィリアの方を見た,
「姉ちゃんいい胸してるな,ちょっと揉んでやろうか?なんちゃって,」
「お前のがいい胸だよ!煽り?喧嘩買うよ!」
「落ち着けフィリア,それより,メラアの知り合いか?このアホくさい胸は,いや,間違えた,女は,」
「あんた最低よ!えっと,」
「アンリだ,こいつはフィリア,」
メラアは溜息を吐く,
「私はメラア,この人は,例のチームの生き残り,そして,最強の女,だった,少なくとも当時は,今は分からないわ,」
「ほんと,賑やかだな,お前ら,私はヒカリノだ,そんな上げた他己紹介されても困るが,間違ってはない,上げた他己紹介……揚げタコ,」
場が凍りついた,
「アンリ,能力使った?」
「いや……ヒカリノの能力だろうな,」
そして場を改め,四人は闘技場へと訪れた,
「メラア!あの日以来だな,」
「そうね,けれど,今のヒカリノに負ける気はしないわ,あの頃は手も足も出なかったけど,私の成長とヒカリノの弱化で差は大きく埋まったわ,」
ヒカリノは片手に木刀を持っていた,
「いいぞメラア,いや,他二人も混ざって構わん,三人でないと,準備運動にすらならない,」
「余裕があるのも今だけよ,」
メラアはドラゴンを出す,そして,その巨大な炎をヒカリノへと放出すると,直撃した,
「え!あんな巨大な炎大丈夫なの?」
「燃える!久々に気持ちがいいな!これは!」
ヒカリノは腰を思い切り後ろへ曲げると,物凄く骨の音が鳴った,その瞬間,まるで別人かのように雰囲気が変わった,
「酔いが覚めた,これを握るのも久しぶりだ,そしてこの空気も,懐かしい味,私からも行くぞ?」
アンリは氷の矢を無数に放つ,しかし,ヒカリノは既にいなかった,
「嘘だろ?」
微塵も気配がない,気配を追えない速度?それとも気配を消した?両方?こんな化け物は見たことがない,
フィリアはその場にしゃがみ,頭を手で抑えた,
「どうしたフィリア?」
「私が何をしようとしても,未來が変わらない,必ずコテされる,けどこれなら行ける,」
ヒカリノはフィリアの前で立ち止まった,
「もしかして,こいつは非戦闘員か?」
「はい!私は違う!」
「余裕で戦う,」
「アホアンリ!」
「コテ,」
フィリアは頭を軽く叩かれた,
「やられたー!」
フィリアはその場に倒れた,
フィリアは遊んでるわけじゃない,俺ですら負けを認めたくなるような,そんな重い殺気,いるだけで常に死んでる感覚だ,
「行きなさい!ドラゴン!」
ドラゴンはヒカリノへと向かっていく,その瞬間,ドラゴンは蹴られ地へと落とされていた,フィリアとアンリが目にしたのは,瞬間移動だった,
「瞬間移動の能力?!あんなのが瞬間移動してきたら勝てるわけないじゃん!」
「違うわよ,あれは,地を蹴った勢いよ,」
「地を蹴る……?」
「一握りの化け物は地を蹴っただけで瞬間移動をできると言うが,蹴ってたか?今……,」
「ヒカリノの恐ろしい所はそれよ,瞬間移動は蹴った方向で分かるものなのに,ヒカリノの場合は全く分からないわ,それはチームで唯一,ヒカリノしかできない人を超えた技よ,」
その瞬間,メラアの後ろにいた,メラアは対応し両手で守るが,一蹴りで闘技場の壁に大穴を開けた,
「私!この人と戦いたくない!」
「フィリア……,よし,なら,例の能力について訊くのはどうだ?何か分かるかもしれない,」