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死ななき駒は打ち砕く!  作者: 中西かえで
本編
36/43

犬日既

二人はその開かれていた門を越えた。その瞬間、物凄く重いオーラがのしかかる


「何よこれ……」


「まさか、私が圧倒される側になるとは」


アンリは一息つく。そして手には氷剣を持ち、構えた。アヌビスはその巨大な身体に合わせて、長い手も持ち合わせていた


「「和夜が理不尽を与える!」」


アヌビスはその十メートルほどの先の尖る長い腕を、アンリの方へと突いた


巨大になって動きも鈍くなったか。さっきより少し見やすい、いや、今の俺なら完全に見える


その瞬間、手の先端が消えた。それと同時に、アンリの首にその先端が刺さり、アンリの顔は前へと落ちた


空間と空間の間に間を作り、瞬間移動するよう見せたという話か。ここで死ぬか……マヨネーズと結婚したかったぜ、俺の青春、ラブメモリー


その場に広がる氷が一斉に割れた。フィリアが集中している中、その割れる氷を目にしたのは陰から見守るルティーナだけだった


アンリ……死んだの……死んだ?アンリが死ぬわけない……あのアンリが……死ぬなんてありえない。フィリアは気づいてない。アンリが死んだ?


ルティーナの目からは涙が溢れていた


アンリ……ありがとう。変なやつだったけど、やるときはやる、ちゃんとカッコいい人間だったよ


ミハネとサカツキは、あれからすぐに走り、アヌビスの元へ辿り着いた


「ミハネ、お前は囮だ」


「喜んで!元々、お姉ちゃんを隠すのが私の役目だし、任せて!」


「死ぬなよ」


「もちろん!」


アヌビスはその飛ばされた端の方から、終焉の中央へと向かっていた。中央にはフィリアたちがいる。それの前にミハネが立ち塞がる


「こんにちは、紙さま」


「「熟した時期だ。そうそう、和夜は種から作るんだけど、こう美しく熟してると嬉しい話だよね」」


「わるいけど、私お姉ちゃんの嫁にしかなれない!」


「「和夜たち神を前に、そんな話が通用するか?和夜たちが創造をし、和夜たちが設定もした」」


サカツキは気配を消しつつ瞬間移動をし、背後から近づいていく


「クロノスは自らで死を選んだらしい。ルールを守らず、この神の力を使っていれば……いや、奴は飽きたのか。この全てに」


「そうだ、紙さまくんさ、私と追いかけっこしようよ。私、足には自信があるからさ」


何か企み?しかし和夜には通用しない


ミハネは瞬間移動をし、全力で走る。アヌビスはその巨体で真後ろへ瞬間移動をし、追いついた瞬間、それは発動されていた。ここに来るまでミハネが仕掛けたトラップ


ゼウスのやつ……人間にこんな能力を?やりすぎだ。明らかに、人間の持っていい力じゃない


アヌビスは咄嗟に後ろへ下がると、既にサカツキが背に触れていた


「眠ってろ」


アヌビスはその場から消えた


神を再構築か。しない、破壊する


ここは……取り込まれた?動けない……こんな能力は知らないな。まさか、ゼウスのやつ……新しい能力を人間に与えていた?ふざけるな!なら和夜はあいつに殺されたようなものじゃないか!クロノスに和夜が消え、世界が崩壊……いや、それがゼウスの望みか?


アヌビスの身体は破壊されていく。身体が粉々に溶けてゆく


崩壊するのか……受け入れよう。和夜らの時代は終わりだと、そうゼウスのやつが言ったも同然。全て……全て終わり


六人組も神の地の門へ辿り着いた。メラア、ルミアは二人、その建物の中を歩き、最上階まで来ていた。大きな扉が一つ、周りは霧が立っており、足が冷えた


「寒いわね、ここ」


「空高い地にいますから」


メラアは扉を蹴り開けた。その先には一つ大きな部屋があり、一つの棺桶が置いてあった


「何よこれ」


メラアが開こうとすると、女の声が聞こえた


「その中に在るのは幻妖への片道だ」


気がつくと、部屋の壁が消えており、その雲の中に巨大な人型の光が座っていた。どこか黒いオーラも纏っており、二人の身体は酷く震えていた


「何……よアレは」


「化け物ですね」 


声が二人の頭に響く


「名はゼウス」


「ゼウス……神じゃない……」


「けれど戦闘の意思はなさそうですね」


ゼウスは人型から、一つの巨大な光へ変わる


「その箱の先には、全てがある。他世界へも行ければ、生命を生成するレシピもある。それこそが全て。しかし入れば戻れなく、結末は保証しない。勇気あるなら進むといい」


「ええ、なら入るわよ!」


「待ってください、明らかに罠です」


「そんなこと……ありそうね」

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