大天使
ルティーナにも話し,その日の晩に決行へと至った,フィリア,ルティーナ,ベッリーベのみが起きており,ベッリーベが地上階段への扉を開いた,
「もう深夜帯,見張りも手薄のはずだ,ルティーナ,先にお前の能力を訊いておく,」
「手からなんでも切れる刀が出せるだけ,」
「え!すごい!」
と声を大きくするフィリアにベッリーベは拳骨をした,
「ひたい!なにするの……,」
「見張りに聞こえたらどうするんだ?もちろん,見張りにバレないのがベストなんだぜ?」
「そういやそうだった,」
三人は階段を上がっていく,そして地上への,その蓋を取ろうとした瞬間,フィリアが言う,
「ストップ,」
「どうした?」
「いるよ,この先に大量の天使が,」
「嘘だろ?能力か?」
「うん,能力で見えた,しかも,ルミアがいた,」
「なに!ルミアが?」
フィリアは少し考えた,
「よし,フィリアは私が抑えるから,二人は先に行って!」
「抑えるのは俺だ,お前にやらせたら,本末転倒だ,」
「分かった,」
フィリアは少し息が荒かった,
「ベッリーベ,確実に死ぬよ?」
「構わない,死んでる同然の今を壊して死ねる,俺の本望だ!!」
フィリアは頷いた,
「ルティーナも準備オーケー?」
「フィリア,一つ,私の望みは,行かないでほしい,ここから先は,天使さまの許さない地,危険だから,」
「ルティーナも,こんな場所から抜け出そ!私がルティーナの灯火になるから、ほら!」
ベッリーベは蓋に手を掛けた,
「それじゃ,開く,開いたらすぐ,二人は北へ走れ,」
「分かってる!」
「行くぞ!」
思い切り,その蓋を投げ飛ばした,外は天使に囲まれており,ルミア以外の髪や目は全員灰色だった,
「ルティーナ!走るよ!」
「う……うん,」
「捕らえろ,」
全ての天使が二人を追う中,ベッリーベはルミアの前にスコップを持ち立ち塞がった,
「そうですか,私は貴方を倒さなければ,進むことができない,そうですか,せっかくの作戦です,いいですよ,私を亡き者にでもしてみてください,」
「天使だから死んでるだろうが!!お前らのアホっ面を叩かねえと気が済まねえ!!俺は,あの日に外された人間の道を,お前らから取り戻す!!」
ベッリーベは思い切りスコップを投げた,すると,ルミアには当たらず,透明の壁にぶつかるまで,
「ほんと,洒落にならねえ硬さだ……,」
走り逃げていた,フィリアが振り向くと,そこにルティーナはいなかった,
はぐれた?どこで……,
後から追ってくる天使,そして前にも天使が隠れており,道の前後が囲まれた,
おかしい……,逃げるのを知ってるかのように,待ち伏せられてる,どうなってるの?
「フィリアって名か」
その男の声が聞こえた瞬間,全ての天使が腰を低くした,道が開くと,奥からとてつもないオーラを纏っており,フィリアはそれほどの化け物を一人も知らなかった,
何これ……身体が動かない……,
これ,ルミアより強いでしょ,
純白の髪をオールバックにした,二メートルは軽くある男の天使が歩いてきていた,目も純白であり,背には純白の羽が生えていた,その横にはルティーナが立っている,
「ルティーナ!」
「デルタさま!アイリアって……,」
あいつがデルタ!大天使!!
「確かに,こいつは未來で俺に抗う力を持つ可能性が高い,俺は,話し合いで詰んだり負けたりすると,実力行使に移るんだ,」
「そう……なんですね,」
「抗う力を持つ者,それを見つけたら,あの女を返すって話だったが,もう果たせなくなった,」
「それって──どういう,」
デルタは一人,声を荒げ笑っていた,
「元々生かす気なんてねえよ,お前も,あの女も,そして,そこの女もな,怖い芽は芽の間に潰しとかねえと,あの悲劇が再び起こる,」
「騙したの?」
デルタはルティーナをフィリアの方へ,蹴り飛ばした,フィリアはそれを抑え,そのままルティーナを地へと寝かせた,意識はあるが,完全に気力を失っていた,
「つまり,ルティーナを人質で上手く動かして,最後は人質も殺してルティーナまで手に掛けようとした,ってことで間違いないよね?」
「正解だ,大天使の一人,デルタ,名は知ってるはずだ,芽を潰す程度の仕事くらい,中天使に任せたって構わない,だが,俺は自分でやる,この目で死んだ姿を見たいってのもあるが,何より楽しい!雑魚をいたぶるのはな!」
「もういいから,何も話さないで,口臭い,」
デルタの表情は明るさが消えた,
「いい,せっかくのいい女だ,泣いて土下座で謝罪するまでは死なせない,ほんとは嫁に取りたいが,人間なんて下等生物が嫁なんて言ったら,初月に消されるからな,」
「下等生物って,いい女の私と,口の臭いお前なら,同等でしょ?下等生物くん!」
「たったと死ね,」
その瞬間,天使も巻き込み家や道が燃え始めた,フィリアは怒る様子で,その炎を浴びていた,
「デルタさま,私たちまで──,」
「煩いな,嫌なら避ければいい,」
「そんな無理で──,」
フィリア以外,全ての物が燃え尽きていく,フィリアの後ろにいるルティーナに熱は届いておらず,ルティーナは驚いた様子で,その身体に黒い炎を纏うフィリアを見ていた,
「デルタ!お前だけは許さない!」
身体が動く,何か取り憑かれてるみたい,
「黒炎……?なぜ,神の封じたと言われる力を,お前が持っている,」
何この炎?知らない,ほんとに知らない,それに,自分も燃え尽きる程の熱……,いや,利用しない理由はない!
「黒炎!!」
その黒い炎を放つと,デルタは瞬間移動をし上へと避けた,デルタの放つ熱風は,動揺からか消えていた,
「へい,そこの可愛い猫ちゃん,こっちだ,」
路地の壁へ背をつけ,若い男が呼んでいた,黒い髪を首辺りまで伸ばしており,寝かせていた,容姿は良く,背も高く,中身にのみ難ありだった,
変な人……でも,今は疑ってる暇なんてない,
フィリアはルティーナを横抱きし,路地の方へと走り行く,デルタは一息つく,
「俺から逃げれると思ってるのか?」
デルタのその片目から,物凄い威力,炎のビームが放出された,その瞬間,ビームとフィリアたちの間に巨大な氷が建った,氷が粉砕され,デルタの視界が防がれた瞬間,三人は消えていた,
まずいのを行かせた……黒炎を生かしたなんて話したら,俺の立場が危うい,少なくとも,初月だけには言えねえ,確実に俺が殺す,