試験日
二年後、その日だった。地図に記載された日は。フィリアはルティーナ、アンリと三人、旅を続けていた。少し背丈が伸びており、余裕の隙のある大人になっていた二人に比べ、アンリはまんまだった。その場所では神へ挑むメンバーが選別され、それを成功させれば、サカツキの能力を一度使う権利と書かれていた。その広い公園は貸し切りになっており、全員自信に溢れていた
「フィリア、そろそろ結婚するか?そう、俺は美しきお前となら、いつでも構わない」
「アンリ、他の子にそれやらないでよ?」
他人に気を遣える優しさ。なんとも可愛らしくキュートなのか。同じ意味を二つ入れるのは、『まじ凄すぎる』のよう、強調を意味すると同時に、敬語なら二重敬語と笑われる
「ルティーナ?自販機あるけど、何か買ってく?」
「自販機?ならコーヒーで頼む」
「アンリ、私は甘いジュースなら何でもいいよ」
「オーケー」
俺への押し付け、それも素晴らしい。これが青春であり、これが人の温もりというやつだ
アンリが自販機の方へ足を動かそうとすると、公園中に響く放送が聞こえる。エングランの落ち着いた声だった
「全員、この日、この場所に集ってくれたことを感謝する。もし神を討伐できれば、そのメンバーの願いを一つ叶える。死人の蘇生、物の修復、自分をイケメンや美女に変えることも可能。再構築の能力だ。それで可能な事は何でも叶える」
アンリは再び足を動かし、頼まれた飲み物に加え、自らの飲むコーラも購入した。そして二人の元へ戻り、フィリアに渡す
「ほら、望みの品だ」
「ありがとう、アンリ!」
「ほら、ルティーナも……」
「悪いな」
受け取る
「それより、この人数をどう選別するつもりだ?」
ルティーナの口調はヒカリノに似た、自信あるものになっていた。旅の途中で弱い自分を克服すべく、それに成り切ったのがきっかけになる。しかし声のトーンはヒカリノのよう明るいものでなく、低く暗いものだった
「エングランは頭が回るだろ。考えてるはずだ。それより俺の懸念は、フィリアがメンバーに残れるのか、それ一つだ」
「ちょ!アンリ!!」
揶揄うアンリにフィリアは牙を剥き出す。その時、新たに放送が流れる
「それじゃ、公園の噴水広場にて地下通路が開かれる。そこからは罠の仕掛けられた長い道だ。命を落とす覚悟で挑んでくれ。もし引き返したいのなら、そのまま帰ってくれていい。先に言っておくが、こんな罠にも反応できないような瞬発力だと、囮にもならない。もちろん能力は存分に使ってくれ」
次々に我先と地下へ、その一つの入り口へと入っていく。互いに押し合い、かなりの密集度になっていた。
「助け──」
今の声は?
フィリアは人混みに流され、それに逆らおうとしている女の子を見つけた。長い茶髪をツインテールにしてあり、目の色は黒く、なんとも弱そうな女だった。
「クレーンゲームだ」
アンリは氷で巨大なアームを作り、その女をつまみ上げた。そしてこちらへと、目の前へと置いた
「結婚するか?」
「へ?」
聞き間違いだよね?
「た、助けてくださりありがとうございます!私、その、緊張してて……」
「緊張するのは、その挑むものを大きく見てるからだ。自分は周りより優れてると思い込むことが、緊張しないコツだ」
「そ、そうなんですね、とても参考になります」
アンリは女の頭に手を置いた
「従順な良い子だ」
「キモい!」
フィリアはアンリの顔面に思い切り回し蹴りを入れた。そういう関係にまで発展していた
「最高だ……」
しばらくすると、その公園にも人が減ってきた。夏祭りから婚活パーティーに変わったように。フィリアは提案をする
「よければ、私たちと一緒に行く?」
「いいんですか?」
「もちろん!行こう!アンリの黒歴史沢山話すから」
「フィリア、こいつは今でも黒歴史を作り続けてるぞ。そうだな、存在が黒歴史だ」
「お前も口が強くなったな」
ヒカリノのおっさんみたいな雰囲気と、ルティーナの落ち着いた美少女エキスが合わさり、イケメンになってる。これもこれでイケる口だ、俺はな
句点、読み点の表記を変更しました。




