此処之
その後,五人はヒカリノのいる国へ戻り,ヒカリノのいた居酒屋に立ち寄る,ベタの心も回復しており,アンリはコーヒーを飲んでいた,
「ルティーナ,俺はこれから,ネヨマを国まで送り届ける,悪いな,必ずそれを終わらせて戻る,」
「うん,ベタはどうする?」
「私は……,」
この先に連れてくのは危険だよね,
「よ,元気だったか,」
五人の後ろに立っていたのはヒカリノだった,しかし明るい表情でなく,その初月の能力を知る故の表情だった,
……ヒカリノにメラアのことは言いにくい,
「天使の子供,おー!かわいいな,」
ヒカリノはベタの顔を犬のように撫でる,
「な……なにこいつ,」
「そいつはヒカリノ,ちょっとした間柄だ,」
「そんなところだ,それより,アンリは一旦降りるんだな,この旅を,」
「すぐ戻る予定だ,ここの居酒屋に毎朝通う,お前らと会えるまではな,」
間が開いた,
「なら俺は行く,色々ありがとな,ルティーナ,それにヒカリノにも礼を言う,」
「うん,さよなら,」
「それに,ありがとな,フィリア,」
「皆の勝利を祈る,」
アンリとネヨマはその場を去る,しばらくすると,ベタは口を開く,
「私がアルファに訊くなんて言ったから,強さは知ってたのに,アンリもメラアも置いて,捨て身で先に進んだ,私しか天使の強さ知らないから,私が悪い,」
「そんなこと誰も……,私も何もしてないし,」
「そうか,兎に角,落ち込む前に自分の良かったところを褒めてやれ,マイナスの感情は心を更に追い込むだけだ,」
ヒカリノ,メラアのこと訊いてこない,言わなきゃダメだよね,でも私の口からなんて……,
「ヒカリノ……,」
「どうした,」
ルティーナは震える手を握った,
「メラアがさ……,」
ルティーナは涙を堪え,大きく息を吸った,
「メラアが……,」
ヒカリノはルティーナの頭に手を置いた,
「ありがとな,あいつ,チーム解散してから,ずっと一人だったと思う,楽しかったと思うぞ?お前らとの日々,」
「メラア……,」
ルティーナは抑えていた涙が溢れてきた,
「あいつ,メラアの死体で遊んだ……!ガンマだけは,あいつだけは許さない……!!」
「そうか,」
何やってんだ,私は,若い奴らが戦ってる中,一人関わりたくないって逃げて,私が行けば変わっていた,全ての運命は良くなっていたはずだ,……いつからこんな最低な人間になった?
「今日はとりあえず休んだほうがいい,」
その晩になると,ヒカリノはその豪邸のインターホンを鳴らした,少しすると,門や扉が全て自動で開いた,片手には木刀を持っている,中へ入り,そのリビングのソファへと座る,
「ここにいるか,エングラン,」
向かいのソファにはエングランが一人,座っていた,キッチンからティアがヒカリノへ温かい茶を運ぶ,少し離れた椅子に,犬耳の青年ネラーと,三メートルの巨漢が座っていた,
「俺らの家だからな,」
「だったな,」
ヒカリノは一口茶を飲む,
「初月にフィリアがやられた,何もエキスを寄越せとは言わない,私が知りたいのは,エキスの作り方だ,」
「若く柔らかい人間の肉を搾り,エキスを出す,それをろ過……つまりは皮を取り除く,そのエキスが奴の能力を溶かしてくれるらしいな,」
ヒカリノは自分の腹を見ていた,
「念に訊くが,私はエキスに──,」
「論外に決まってるだろ,どこに柔らかい部位があるんだよ?」
「知ってた回答だ,」
「神の嫌がらせだな,こんなアホらしい条件は,そうとしか思えない,」
「だろうな,」
エングランは話す,
「エキスを目薬のように目へ当てる,今エキスは二人分しか作れてない,」
「目薬?なら一滴だけじゃダメなのか?」
「一滴が遠いんだ,細かな分量調整になるが,そういう機械で量ると二人分,一滴,フィリアに使ってくれ,」
エングランはその入れ物を渡した,中には一滴が厚い入れ物に入っており,ヒカリノは受け取る,
「言ってたろ?フィリアが足を高速で治したって,あり得ない話だが,もし本当なら,俺の能力かもしれない,」
「もしフィリアがお前の探し人なら,そのエキスは不要ってことか,さて,アンサーはどうか,ちなみに,もう一滴も渡してくれて構わないぞ?」
「何が狙いだ?もしかして……,サカツキを,」
「もちろん,蘇らせる,」
「行くのか?終焉に,」
「メラアが死んだ,死体を回収しにって要件もある,あいつらに訊いた話だが,建物を上がると会議室がある,」
「そうだな,」
「会議室に初月がいたらしい,」
「なに?初月は終焉に……いや,あの事件から降りてきたのか,なるほど,ボスであり門番か,」
エングランは立ち上がる,
「メラアを助け,サカツキも助ける,これが勝利条件だ,ほんとうは人数分のエキスを作りたかったが,会議が終わり,初月だけが残る今がチャンスと言える,」
「なら,二人で行くか,それとも後ろの仲間も連れてくか?更に言うなら,フィ……,すまないな,私も少し動揺してる,」
「珍しいな,なら行こう,仲間は連れてく,」




