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死ななき駒は打ち砕く!  作者: 中西かえで
本編
20/43

此処之

その後,五人はヒカリノのいる国へ戻り,ヒカリノのいた居酒屋に立ち寄る,ベタの心も回復しており,アンリはコーヒーを飲んでいた,


「ルティーナ,俺はこれから,ネヨマを国まで送り届ける,悪いな,必ずそれを終わらせて戻る,」


「うん,ベタはどうする?」


「私は……,」


この先に連れてくのは危険だよね,


「よ,元気だったか,」


五人の後ろに立っていたのはヒカリノだった,しかし明るい表情でなく,その初月の能力を知る故の表情だった,


……ヒカリノにメラアのことは言いにくい,


「天使の子供,おー!かわいいな,」


ヒカリノはベタの顔を犬のように撫でる,


「な……なにこいつ,」


「そいつはヒカリノ,ちょっとした間柄だ,」


「そんなところだ,それより,アンリは一旦降りるんだな,この旅を,」


「すぐ戻る予定だ,ここの居酒屋に毎朝通う,お前らと会えるまではな,」


間が開いた,


「なら俺は行く,色々ありがとな,ルティーナ,それにヒカリノにも礼を言う,」


「うん,さよなら,」


「それに,ありがとな,フィリア,」


「皆の勝利を祈る,」


アンリとネヨマはその場を去る,しばらくすると,ベタは口を開く,


「私がアルファに訊くなんて言ったから,強さは知ってたのに,アンリもメラアも置いて,捨て身で先に進んだ,私しか天使の強さ知らないから,私が悪い,」


「そんなこと誰も……,私も何もしてないし,」


「そうか,兎に角,落ち込む前に自分の良かったところを褒めてやれ,マイナスの感情は心を更に追い込むだけだ,」


ヒカリノ,メラアのこと訊いてこない,言わなきゃダメだよね,でも私の口からなんて……,


「ヒカリノ……,」


「どうした,」


ルティーナは震える手を握った,


「メラアがさ……,」


ルティーナは涙を堪え,大きく息を吸った,


「メラアが……,」


ヒカリノはルティーナの頭に手を置いた,


「ありがとな,あいつ,チーム解散してから,ずっと一人だったと思う,楽しかったと思うぞ?お前らとの日々,」


「メラア……,」


ルティーナは抑えていた涙が溢れてきた,


「あいつ,メラアの死体で遊んだ……!ガンマだけは,あいつだけは許さない……!!」


「そうか,」


何やってんだ,私は,若い奴らが戦ってる中,一人関わりたくないって逃げて,私が行けば変わっていた,全ての運命は良くなっていたはずだ,……いつからこんな最低な人間になった?


「今日はとりあえず休んだほうがいい,」


その晩になると,ヒカリノはその豪邸のインターホンを鳴らした,少しすると,門や扉が全て自動で開いた,片手には木刀を持っている,中へ入り,そのリビングのソファへと座る,


「ここにいるか,エングラン,」


向かいのソファにはエングランが一人,座っていた,キッチンからティアがヒカリノへ温かい茶を運ぶ,少し離れた椅子に,犬耳の青年ネラーと,三メートルの巨漢が座っていた,


「俺らの家だからな,」


「だったな,」


ヒカリノは一口茶を飲む,


「初月にフィリアがやられた,何もエキスを寄越せとは言わない,私が知りたいのは,エキスの作り方だ,」


「若く柔らかい人間の肉を搾り,エキスを出す,それをろ過……つまりは皮を取り除く,そのエキスが奴の能力を溶かしてくれるらしいな,」


ヒカリノは自分の腹を見ていた,


「念に訊くが,私はエキスに──,」


「論外に決まってるだろ,どこに柔らかい部位があるんだよ?」


「知ってた回答だ,」


「神の嫌がらせだな,こんなアホらしい条件は,そうとしか思えない,」


「だろうな,」


エングランは話す,


「エキスを目薬のように目へ当てる,今エキスは二人分しか作れてない,」


「目薬?なら一滴だけじゃダメなのか?」


「一滴が遠いんだ,細かな分量調整になるが,そういう機械で量ると二人分,一滴,フィリアに使ってくれ,」


エングランはその入れ物を渡した,中には一滴が厚い入れ物に入っており,ヒカリノは受け取る,


「言ってたろ?フィリアが足を高速で治したって,あり得ない話だが,もし本当なら,俺の能力かもしれない,」


「もしフィリアがお前の探し人なら,そのエキスは不要ってことか,さて,アンサーはどうか,ちなみに,もう一滴も渡してくれて構わないぞ?」


「何が狙いだ?もしかして……,サカツキを,」


「もちろん,蘇らせる,」


「行くのか?終焉に,」


「メラアが死んだ,死体を回収しにって要件もある,あいつらに訊いた話だが,建物を上がると会議室がある,」


「そうだな,」


「会議室に初月がいたらしい,」


「なに?初月は終焉に……いや,あの事件から降りてきたのか,なるほど,ボスであり門番か,」


エングランは立ち上がる,


「メラアを助け,サカツキも助ける,これが勝利条件だ,ほんとうは人数分のエキスを作りたかったが,会議が終わり,初月だけが残る今がチャンスと言える,」


「なら,二人で行くか,それとも後ろの仲間も連れてくか?更に言うなら,フィ……,すまないな,私も少し動揺してる,」


「珍しいな,なら行こう,仲間は連れてく,」

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