選択肢
ルティーナは一人,スコップを起き休んでいた,地下はかなり暑く,水分補給をしていた,
「アイリア!」
息を荒くしていた,
「だ,大丈夫?ルティーナ!」
フィリアが急いで駆け寄る,
「大丈夫,少しぼっとしてたら,つい……,」
「酷い汗,大丈夫?」
丸刈りの男が駆けつけると,ルティーナの額に手を当てた,
「酷え熱だ,早く,休ませねえと,」
「病院は?」
「んなもん貴族専用の場所だ,それより,早くベッドで寝かせる!」
ルティーナが寝かされた先は,土で作られた,まともに眠れるとも思えない汚いベッドだった,
「ちょ,こんな場所で寝かせたら悪化するって!もっと,ちゃんとしたベッドを──,」
「お前,フィリアじゃねえだろ!」
「え……フィリアだよ,」
丸刈りの男はその場に座り,既に座っているフィリアと目線を合わせた,
「同名の誰かだ,俺の知ってるフィリアじゃねえ,ここにベッドなんてねえよ,奴隷ってのを知らねえだろ?お前は,」
場はしばらく沈黙だった,
「うん……知らない,転生者だから,」
男は難しい顔をしていた,
「お前が,現状を変えてくれる英雄とでも言うのか?ここは地獄だ!誰かが変えるまで,苦しみは集うばかり……,」
私は転生者……英雄じゃない,
「転生者か……悪いな,変な期待しちまって,聞かなかったことにしてくれ,遅れたが,俺の名はベッリーベ,ここの指揮をしてる,」
フィリアも何を返せばいいのか,それにだけ困った,それから日も経ち,フィリアは国の現状などを理解し,ルティーナの熱も引いていた,
私の知った情報は,嘗て八人の大天使を倒した伝説のチームがある,同時に,既にチーム最高戦力が殆どやられた中,ある大天使の圧倒的な力により,勝利は無理と判断し解散をした,世界は四つの大陸に分けられていて,その大陸毎に大天使が一人いる,奴隷制度が酷い場所は,大天使の住む国だけであり,そこから離れれば離れるほど,人身売買や人体改造などが盛んになる,
フィリアは,穴を掘りながら,ルティーナに話しかけた,ルティーナも完全に熱は引いており,穴を掘っている,
「ルティーナ,あのときに言ってた,アイリアって,なんだったの?」
「古い友人,生きてるか分からない,」
「そうなんだ……辛いね,」
ルティーナに転生者ということは明かさなかった,その日の晩,フィリアはベッリーベと二人きり,端のほうで会話をしていた,
「私,明日に此処を抜ける,」
「正気か?そんなことして捕まったら即死刑,教えたはずだ,」
「今だって死んでるみたいなもんじゃん,一歩すらも動かない人間に,現状を変えることは不可能,何かしらリスクを背負って,大きなリターンを得る,これが勝利への道だよ!」
勝利への道か……,昔に捨てた,俺らが失った希望を,この子なら……,
ベッリーベはスコップで土に十字を書き,十字の上側に二つの線を入れた,
「この国を出て上に行き,一つ国を跨いだ先の国,ここに,伝説のチームの生き残りがいるって噂だ,そいつから戦闘技術を教わり,仲間に引き入れる,」
「ルミアに勝てないと,デルタ敵うわけない,分かった,その人を訪ねてみる,ありがと,ベッリーベ!」
ベッリーベは嬉しそうに口を笑わせていた,
「お前は希望だ!しかし,お前だけでは行かせられない,」
「え、どうして?」
ベッリーベの表情は明るいものでなかった
「一人で行けば,行き先を悟られて終わりだ,囮として,俺たち全員でバラけて出る,もちろん,お前は北門へと走れ,」
「それだと,みんな死んじゃうよ!」
「いいんだ!」
ベッリーベは真剣な表情だった,
「俺はお前に託したい,世界の未來を,もちろん,仲良しのルティーナも一緒に,俺は北門方面に二人の盾としてついていく,」
「そんなの捨て身じゃん!もちろん私は行くけど,もっといい方法があるはずだよ!」
「出てすぐに見張りがいる,それを抜けると,天使から報告が行き,中天使が動く,そうなれば詰みだ,あんな化け物から逃げられるわけない,」
「いや,私なら行ける,どんな化け物相手でも,私には最強の能力があるから,」
ベッリーベは溜息を吐く,
「分かった,なら,誰も死なぬよう,他のやつは置いていく,しかし,俺が盾として着くのは変わらない,これは俺の意思だ,たとえ捨て身だとしても,ここはだけは譲れない,」
フィリアは頷いた,