初月樣
アンリの氷は尽いていた,
「もう氷は出せんのやな,」
アンリは横になり,荒い息を大きい呼吸で整えていた,
「っ……,無限じゃないからな,」
アンリはアスアの足をじっと見ていた,
「いい脚だ,ったく,悪い子……だ,」
「私も戻ってもええけど,大天使が負けるわけないしな,もう辿り着いとるやろ,頂まで,」
「唯一の友たちだ,当然に着いてるはずだ,それより,動けないくらい疲れたんだが,どっかベッドは置いてないか?休みたい,」
「こいつ殺したいんやけど,私の任務はベタを連れ戻すこと,お前ら殺す任務は今貰っとらんのやわ,わるいけど,ベタ探してくるでな,」
その扉を鍵を使い開くと,その場を去っていった,その階段の先が見えてくる,
「ルティーナ,見えたよ!しっかりして,」
フィリアは肩を貸していた,
「アルファは怖すぎますよ,友の私を容赦なく邪険にする,あれは中身も能力も全てがイカれてますよ,」
フィリアはふと訊いた,
「ねえ,なんでしーちゃんは金髪なの?」
「それはですねっ,私は変なんですよ,天使であり,人間という生物を対等な存在として見てしまい,そこに紛れて,話したり遊んだりするのが好き,それで大天使の中でも変な扱いは受けますけど,まー,自分の信じた道が一番です,」
「しーちゃんも,もう人間だよ!」
「イエス!なら,人間になりましたよ!」
扉の前へと到達する,
「私に開けさせて,」
フィリアは一息飲んだ,フィリアはその重い扉を開く,そこは四つの席が十字上に並べられ,その中央に机がある,天井は開いており,新鮮なる美味しい空気と美しい空が見える,
「アルファ……,話を聞きたい!」
フィリアはアルファを指差した,その椅子に座り目を閉じる女は立ち上がる,全てが純白であり,髪はポニーテールのテールが天使の輪のように形づいており,輪を作るだけでは収まらず尾のように下まで伸びていた,背には巨大なる翼があり,人一人分のサイズはあった,
「眩しい!」
「そう,彼女こそが天使最強のアルファですっ!そんでアルファ,訊きたいんだけど──,」
「私から訊くよ,」
アルファは一歩,また一歩と,重いその足音を立てる,ベタの前に立つ,背丈は常識の高さであり,少し高いくらい,
「アルファ……私からも話ある,」
「ベータは口を開けなくていい,」
アルファがそう言うと,ベタの首が絞まりだす,
「っ……,アル……ファ,」
首?超能力?
「ベタを離せ!」
フィリアが片手に巨大な黒炎を出す,
「神の目が届きし,この地で使うか,」
「神だろうと燃やし尽くす,見てないで降りてこいよ,私はこの黒炎で神への死神になる,」
「死神,それはつまり我にとっての物とも同義になる,口にしたからにはやり遂げてみろ,この我を動かせるのなら,」
ルティーナも刀を取り出した,
「アルファ!落ち着いてくださいっ!ほら,ベタちゃん苦しんでます!」
「気にするな,ベータは即戦力として作った個体だ,故に名もつけてない,」
酷い!人間のやることじゃない!
「ベタにはベタって名前がある!」
「ベータは立ち位置なんです,本人はそれを名前と思い込んでますけど,ますけど……アルファは名前すらつけないやつなんですよ,」
「ベータじゃない,ベタはベタだよ,」
しーちゃんは腑に落ちたよう微笑んだ,
「そうでしたそうでした,」
アルファが超能力を解くと,ベタは地に倒れ落ちた,フィリアは黒炎をしまい,ベタを横抱きする,
「アルファ,私には百の記憶と百の意思,そして百の能力がある,これが何か知りたくて,危険を承知で此処に來た,」
「教える義理はない,」
しーちゃんはアルファの前に立つ,
「教えてくれてもいいじゃないですか!ほら,私たちの付き合いなんですから!」
その瞬間,シータの脳をアルファの翼の先が貫いた,
「しーちゃん!」
「シータ!」
ベタはシータと自分の位置を入れ替えた,
「アルファ!許さない!」
ベタは指を二本前へ出し,もう片手で手首を押さえ,まるで銃を放つ構えだった,
「我の言葉だけを訊いておけば良い,人形として誕生したお前が我に反逆をするな,訊けないのなら,自我をも消えるほどに変えさせる,」
「アルファ,倒す!」
「ベタ!」
私も戦う!
「ルティーナ,しーちゃんは任せた!」
「ま,任された!」
フィリアは黒炎を構え,アルファに飛びかかる,
「ベタ!」
ベタが頷く,
あれ……先が見えない,
フィリアが椅子に向け黒炎を放った瞬間,椅子とアルファの位置を入れ替えた,
「アルファ詰み,」
アルファは黒炎を避けると同時,フィリアの両肩を掴んだ,
見切られた,
「敵うわけない,即席に作られた人形の考え如きは打ち砕く,いや,黒炎の思考か?それとも即興か,」
フィリアの身体は徐々に灰色へ固まっていく,
「なにこれ!」
「銅でも石でもない,神しか知り得ない手段でしか解けない地獄の檻,」
フィリアは動けなくなっていき,口元だけとなる,
「みんな!退いて──,」




