天人間
アスアの姿や自らの氷は見えず,全てが幻覚に包まれていた,アスアはアンリへ殴り掛かる,
しっかりとした構え,しかし氷に反応していないということは,偽物,
左から氷の割れる音がした,
幻聴だ,俺の氷はこんな軽い音で割れない,
無数に氷の割れる音がする,
数打てば当たる……か,
アンリは研ぎ澄まし,本物の音を探していた,その瞬間,左右で同時に割れる音がした,幻覚には左右からアスアが向かってきていた,
何かフェイントとして石でも投げたか,しかし,左だけ音が明らかに小さい,人が通ったような重い音じゃない,となると右が本物,たしかに右から來ているのが本物,と見せかけ,その幻覚の裏に隠れている可能性がある,わざわざ本体を見せながら近づいてくるわけがない,
「土産だ,」
アンリが地へ足を踏み込むと,土が波のようにアスアへ襲いかかる,
ほんまに面倒やな,
アスアは上へ飛ぶ,その音を聞き,アンリは氷剣をそこへ投げつけた,アスアは片手で受け止める,
そんな強くないな,バリアを少ししか貫通せんってことは,明らかに火力不足,いや,それでも問題ないんか?こいつの目的は時間稼ぎやったりして,
幻覚が解かれた,
「私はアルファの側近,なんでここに來たかは知らんが,王道なら生贄か終焉へ行く,この二つやけど,何れも嘗てに成功したんはおらんけどな,」
「さて,どっちか,なら俺からも二つ,この戦いが時間稼ぎか否か,そして勝算があるのか否か,俺は守り特化の能力だ,」
「なら時間稼ぎってことか?そして勝算はない,上には大天使がおるからな,」
「アホな子猫ちゃんだ,」
「は?猫?なら正解はなんや?」
「ここで時間を稼ぐまでは正しい,しかし俺たちの目的は大天使を倒そうってわけじゃない,こっから先は有料だ,」
「なら潰して確認しに行けばええわ,」
「お前に俺は潰せない,言ったろ?守り特化と,それより,大丈夫か?足元,」
アスアが見ると,アンリは地から氷を伸ばしており,アスアの足元が固められていた,
「すぐ割れるわ,心配せんでええ,」
これくらい気づけるわ,これで拘束したつもりなら,かなりのアホ,それとも他に策があるんか?
「そして上も見ろ,」
天井からも氷が繋がっていた,
「はよ攻撃しろや,せんなら私から行く,」
「どっからでも,」
アスアは地を大きく踏み込むと,瞬間移動をしアンリの目の前まで到達する,その瞬間,アンリは自身を氷で覆う,するとアスアは消えた,そしてアスアは奥側にいた,
「間に何か障害物があると発動しない,少なくとも精神系のそれは,」
「能力を封じたからって素の私が弱くなるわけやない,」
この上下に張られる氷,能力の使用条件は,自分か自分の出した氷と繋がっている場所からのみってのは学校で習う,上下から挟むつもり?くらいやったら瞬間移動でくぐり抜けれる,
アスアは思い切り地を踏み,気がつくとアンリの目の前へいた,そして思い切り殴った瞬間,互いの身体が氷で固まった,
自分も固めた?まさか……やられた?
詰みだ,俺とお前は氷で繋がっている,つまり,俺が触れているこの状況ならば,氷を壊されても何度でも作り直せる,もう互いに動けない,一緒に同居しよう!
アスアは足を思い切り動かし氷を破壊するが,すぐに元へと戻る,
逃れられん,目的が時間稼ぎってなら,私の負けや,やけど,上手くいくかは別,大天使に辿り着けたとして,それに勝てるわけがない,もしこいつらに勝算があるなら,目的が生贄で,大天使を避けながら奪う,
その頃,ルティーナは考えていた,
どうしよう,半径五メートルに入れば恐怖で動けなくなるけど,フィリアは助けないと,そうだ,
「ベタ,フィリアと私の鞄の位置を入れ替えて,」
「分かった,」
言われた通り入れ替える,
「危なかった,死ぬかと思った,」
「フィリア無茶しすぎ,けど,あの能力を突破しないと進めない,」
フィリアは思いつく,
「そうだ!ベタ,アスアにやった,すれ違い攻撃をすればいいんだよ!」
「名案,やってみる,」
その瞬間,ルミアの後ろにいた,
「ほんと,私は無視ですか,」
ルミアが追おうとすると,その場に立ち止まるフィリア,
「ルティーナ,ベタ!後は頼んだよ!」
「任せて,」
「うん,」
ルミアはその瞬間,前へ踏み込む,フィリアは避けようとするが,気がつくと,フィリアの顔は蹴られていた,
「えっ──,」
反応できない,これ,骨折れてないかな……,
ルミアは距離をとる,
「バリアは相手の攻撃を防ぐイメージ,ヒールは癒しを得るイメージが大切です,それもできないレベルの相手を,大天使の間にチェックインはさせられません,」
「ルミア……,」
私たちを測ってたってこと?なんで?
「ルミアって悪い人じゃないよね?」




