初与物
その瞬間,部屋の扉が開き,フィリアとアンリが駆けつけた,
「メラア!話聞こえちゃった!ごめん!」
「エキスを持って撤退する,」
「いいの?ボス,ルティーナのエキスはかなり良質になったと思うけど,」
「嘗ての仲間……それでいて弟子の前ではしたくない,」
エングランはルティーナに近づく,
「させないよ!」
「何もしない,落ち着け,」
フィリアは信じ,その場から動かず留まった,エングランの仲間は全員,窓を割り去っていく,
「また戦おうね,メラア,」
そう言いネラーが去る,エングランはルティーナの頭に手を置いた,
「一種の呪いだ,受け取れ,」
すぐにエングランも窓際に立つ,
「日が経てば復活するはずだ,メラア,すまないが,お前の思う俺はもういない,」
エングランは飛び降りた,
「「待って!」」
メラアとフィリアの声が重なった,
「フィリア,ルティーナが先だ,エングランって名乗ってたか?悪いが,ヒカリノクラスの化け物だ,引いてくれたのは幸運だ,」
「エングラン……,」
日は経ち,国の病院にてルティーナ,フィリアは寝かされていた,ルティーナの傷は徐々に癒えていっている,アンリは医者に話を聞いていた,
「ルティーナ様は,完全に血液を失っており,普通は息絶えていましたが,輸血をしたら息が戻りまして,私たちも何が起きているのか,何か能力の影響か,でないなら奇跡です,」
エングランか,
「それで,フィリア様の足……ですが,こちらも不思議で治っているんですよね,」
「治ってる?」
「破損した部位を治すのはヒールでも殆ど不可能でして,それを唯一可能とするのは,物凄く強いヒール,それでも一日は掛かりますが,フィリア様は何かヒールを練習されていたりするのでしょうか?」
「いや,」
アンリが病室に戻ると,メラアが座っており,フィリアも布団から出てルティーナを心配そうに見ていた,
「昼食持ってきた,」
「ありがとう,」
そう言いフィリアは受け取る,普通のお弁当であり,メラアにも渡す,その瞬間,ルティーナは目を開く,
「知らない天井,」
「ルティーナ!!」
フィリアは弁当を投げ,強く抱きついた,アンリはその弁当をキャッチする,
「フィリア……それにメラア……,」
しばらく間が経った,
俺は……えっと,
「フィリア,少し離れろ,」
「そ,そうだよね,起きたばっかだもんね,」
メラアはルティーナの前に立つ,
「私のせいで,ほんとにごめんなさい,」
頭を下げた,
「いいよ,なんかフィリアたちと仲良くなってるし,結果オールライト,」
ルティーナは身体を起こす,
「メラアも私が攫われそうだから,先に攫ってくれた,いいよ,助けられなくてもどうせ売られてたから,」
「ルティーナ……,」
一方,メテンスたちは人攫いを続けていた,フィリア同様,屋上から飛び降りその女を囲った,
「実にいい!済まされた表情,うーん,富裕層は君のような,大人しく調教もしなくて済む──,」
メテンス含む男たちは,全員一歩も動けずに固まった,女が離れると,動けるようになる,ルミアが一人,歩いていた,
アンリ,フィリア,ルティーナは国を出る準備が済んでいた,そして出口の門にて,メラアが話しかける,
「貴方たち,その方向には大天使会議しかないわ,」
「行くからね!」
「俺の用に付き合わせてる,」
大天使を潰すつもり?それとも,生贄を助ける……この三人が向こうの国から來たなら,話は通るわ,
「国の姫を助ける為に?」
「正解だ,」
生贄を助けるなんて無茶な,過去に試みた人間は何百といるけれど,成功者はいないわ,
「けど,いいわね,私も手伝わせてほしいわ,それに,」
「いいのか?」
「任せなさい,これで少しでも罪滅ぼしをするわ,」
私と同じ,
「頼りになる,なら,ここからは四人旅になる,会議まで日も余裕はない,行くぞ,」
「よし!楽しくなってきた!」
「全く,賑やかで飽きない……,」
メラアはその気迫を感じていた,
「化け物がいるわ,そして,こっちへ近づいてきてる,」
フィリアは国の方を向いた,
「デルタなら,ここでやるんだよね?アンリ,」
「もちろんだ,しかし,これはデルタじゃない何かだ,位置を知らせるようオーラを放ってる,」
しばらくすると,ルミアが歩いてきた,
「ルミア!」
「知り合いか?」
「一度戦ってる,中天使だよ,」
メラアはドラゴンを出した,
「好都合ね,ここで潰すわよ,」
声の届く距離まで到着する,
「久しいですね,フィリア,ルティーナ,そして……貴方もいるのですね,」
フィリアは一人前に出た,
「私がやる!」
「危険よ!」
「任せておけ,一度言ったら聞かない,」
「アンリが言うなら……仕方ないわね,」
「フィリア,頑張って,」
「ありがとう!」
フィリアはその片手に力を込める,
お願い!出て!
「デルタさまが仰っていた黒炎,見せてください,」
「黒炎!」
全くと出なかった,
「それでは,こちらから行きますよ,」
ルミアは大きく一歩を踏むと,フィリアはすぐ横へと避けようとするが,叶わずフィリアの顔を思い切り蹴り飛ばした,
「あぐうひどい!」
フィリアは何歩か後ろへ下がる,
「黒炎が使用できない理由は,身体が拒んでいるからです,今の状態で使えば,すぐに身体は壊れる,それに耐えれる身体を作れたとき,初めて自らの意思で出せるよう進化します,」
身体が拒んでる?
「じゃあ身体!拒まないで!今必要だから!」
「本能に話しかけてどうするんですか?」
「もういい!」
フィリアは殴りかかる,しかしバリアで防がれ,ルミアの返しの蹴りをフィリアも避ける,別方向からの打撃,それをフェイントだと読み,本命の拳をも避ける,
レベル差がありすぎて,バリアすら貫通できてない,そこまで弱いか,あいつの体術は,
アンリは勝つ方法を考えていた,
「黒炎!お願い!」
その瞬間,ルミアの蹴りが顔に向けられる,フィリアは動こうとするが,身体が指先すら動かなかった,蹴りが直撃すると,間髪なく何発も打たれる,声すらも出なかった,
なんで……動けない,
「フィリア!」
ルティーナは叫んだ,
「デルタに会って何するつもりですか?この程度で……,もしかして無様に死ににいくのですか?デルタには遠回りさせましたから,ここで会うことはありません,チェッケッド,論外です,」
それからも何度も蹴り,終えると,ルミアはそのまま横を通り会議の方角へと向かった,フィリアはその場に気を失い倒れた,
「フィリア!」
ルティーナは顔の形が変わるほどに蹴られたフィリアへ心配そうにする,
「早く病院に連れてかないと,」
「その必要はない,」
「何言ってるのアンリ!」
「フィリアには何か不思議な力がある,あの足だって,なぜか治った,このまま治療は受けず,様子を見てみたい,」
「アンリ……,」




