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死ななき駒は打ち砕く!  作者: 中西かえで
本編
10/43

初与物

その瞬間,部屋の扉が開き,フィリアとアンリが駆けつけた,


「メラア!話聞こえちゃった!ごめん!」


「エキスを持って撤退する,」


「いいの?ボス,ルティーナのエキスはかなり良質になったと思うけど,」


「嘗ての仲間……それでいて弟子の前ではしたくない,」


エングランはルティーナに近づく,


「させないよ!」


「何もしない,落ち着け,」


フィリアは信じ,その場から動かず留まった,エングランの仲間は全員,窓を割り去っていく,


「また戦おうね,メラア,」


そう言いネラーが去る,エングランはルティーナの頭に手を置いた,


「一種の呪いだ,受け取れ,」


すぐにエングランも窓際に立つ,


「日が経てば復活するはずだ,メラア,すまないが,お前の思う俺はもういない,」


エングランは飛び降りた,


「「待って!」」


メラアとフィリアの声が重なった,


「フィリア,ルティーナが先だ,エングランって名乗ってたか?悪いが,ヒカリノクラスの化け物だ,引いてくれたのは幸運だ,」


「エングラン……,」


日は経ち,国の病院にてルティーナ,フィリアは寝かされていた,ルティーナの傷は徐々に癒えていっている,アンリは医者に話を聞いていた,


「ルティーナ様は,完全に血液を失っており,普通は息絶えていましたが,輸血をしたら息が戻りまして,私たちも何が起きているのか,何か能力の影響か,でないなら奇跡です,」


エングランか,


「それで,フィリア様の足……ですが,こちらも不思議で治っているんですよね,」


「治ってる?」


「破損した部位を治すのはヒールでも殆ど不可能でして,それを唯一可能とするのは,物凄く強いヒール,それでも一日は掛かりますが,フィリア様は何かヒールを練習されていたりするのでしょうか?」


「いや,」


アンリが病室に戻ると,メラアが座っており,フィリアも布団から出てルティーナを心配そうに見ていた,


「昼食持ってきた,」


「ありがとう,」


そう言いフィリアは受け取る,普通のお弁当であり,メラアにも渡す,その瞬間,ルティーナは目を開く,


「知らない天井,」


「ルティーナ!!」


フィリアは弁当を投げ,強く抱きついた,アンリはその弁当をキャッチする,


「フィリア……それにメラア……,」


しばらく間が経った,


俺は……えっと,


「フィリア,少し離れろ,」


「そ,そうだよね,起きたばっかだもんね,」


メラアはルティーナの前に立つ,


「私のせいで,ほんとにごめんなさい,」


頭を下げた,


「いいよ,なんかフィリアたちと仲良くなってるし,結果オールライト,」


ルティーナは身体を起こす,


「メラアも私が攫われそうだから,先に攫ってくれた,いいよ,助けられなくてもどうせ売られてたから,」


「ルティーナ……,」


一方,メテンスたちは人攫いを続けていた,フィリア同様,屋上から飛び降りその女を囲った,


「実にいい!済まされた表情,うーん,富裕層は君のような,大人しく調教もしなくて済む──,」


メテンス含む男たちは,全員一歩も動けずに固まった,女が離れると,動けるようになる,ルミアが一人,歩いていた,


アンリ,フィリア,ルティーナは国を出る準備が済んでいた,そして出口の門にて,メラアが話しかける,


「貴方たち,その方向には大天使会議しかないわ,」


「行くからね!」


「俺の用に付き合わせてる,」


大天使を潰すつもり?それとも,生贄を助ける……この三人が向こうの国から來たなら,話は通るわ,


「国の姫を助ける為に?」


「正解だ,」


生贄を助けるなんて無茶な,過去に試みた人間は何百といるけれど,成功者はいないわ,


「けど,いいわね,私も手伝わせてほしいわ,それに,」


「いいのか?」


「任せなさい,これで少しでも罪滅ぼしをするわ,」


私と同じ,


「頼りになる,なら,ここからは四人旅になる,会議まで日も余裕はない,行くぞ,」


「よし!楽しくなってきた!」


「全く,賑やかで飽きない……,」


メラアはその気迫を感じていた,


「化け物がいるわ,そして,こっちへ近づいてきてる,」


フィリアは国の方を向いた,


「デルタなら,ここでやるんだよね?アンリ,」


「もちろんだ,しかし,これはデルタじゃない何かだ,位置を知らせるようオーラを放ってる,」


しばらくすると,ルミアが歩いてきた,


「ルミア!」


「知り合いか?」


「一度戦ってる,中天使だよ,」


メラアはドラゴンを出した,


「好都合ね,ここで潰すわよ,」


声の届く距離まで到着する,


「久しいですね,フィリア,ルティーナ,そして……貴方もいるのですね,」


フィリアは一人前に出た,


「私がやる!」


「危険よ!」


「任せておけ,一度言ったら聞かない,」


「アンリが言うなら……仕方ないわね,」


「フィリア,頑張って,」


「ありがとう!」


フィリアはその片手に力を込める,


お願い!出て!


「デルタさまが仰っていた黒炎,見せてください,」


「黒炎!」


全くと出なかった,


「それでは,こちらから行きますよ,」


ルミアは大きく一歩を踏むと,フィリアはすぐ横へと避けようとするが,叶わずフィリアの顔を思い切り蹴り飛ばした,


「あぐうひどい!」


フィリアは何歩か後ろへ下がる,


「黒炎が使用できない理由は,身体が拒んでいるからです,今の状態で使えば,すぐに身体は壊れる,それに耐えれる身体を作れたとき,初めて自らの意思で出せるよう進化します,」


身体が拒んでる?


「じゃあ身体!拒まないで!今必要だから!」


「本能に話しかけてどうするんですか?」


「もういい!」


フィリアは殴りかかる,しかしバリアで防がれ,ルミアの返しの蹴りをフィリアも避ける,別方向からの打撃,それをフェイントだと読み,本命の拳をも避ける,


レベル差がありすぎて,バリアすら貫通できてない,そこまで弱いか,あいつの体術は,


アンリは勝つ方法を考えていた,


「黒炎!お願い!」


その瞬間,ルミアの蹴りが顔に向けられる,フィリアは動こうとするが,身体が指先すら動かなかった,蹴りが直撃すると,間髪なく何発も打たれる,声すらも出なかった,


なんで……動けない,


「フィリア!」


ルティーナは叫んだ,


「デルタに会って何するつもりですか?この程度で……,もしかして無様に死ににいくのですか?デルタには遠回りさせましたから,ここで会うことはありません,チェッケッド,論外です,」


それからも何度も蹴り,終えると,ルミアはそのまま横を通り会議の方角へと向かった,フィリアはその場に気を失い倒れた,


「フィリア!」


ルティーナは顔の形が変わるほどに蹴られたフィリアへ心配そうにする,


「早く病院に連れてかないと,」


「その必要はない,」


「何言ってるのアンリ!」


「フィリアには何か不思議な力がある,あの足だって,なぜか治った,このまま治療は受けず,様子を見てみたい,」


「アンリ……,」

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