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ホームステイにやってきた金髪碧眼美少女が双子だった  作者: ゆめいげつ
第二章 水着、青春、双子留学生
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閑話1 『フローラ』

ヒロイン、フローラ視点。

 ワタシたち姉妹が、ナオツグの家にホームステイをしてから三日になりました。

 日本語は書くのと喋るのじゃ大違いで、何度も練習したけどやっぱり難しいです。

 

 だからレイアは、本当に凄いと思います。

 ワタシは、ナオツグの前だとすぐに緊張しちゃうから。


「ナオツグは……」

「寝ちゃったわよ、ネエサン」


 そのナオツグは今、目を閉じてベッドの上で寝ています。

 さっきまで泣いちゃっていたので、顔には涙の跡がありました。

 その横にはレイアがついていてくれるので、ワタシは安心してナオツグの部屋を見て回ります。


「凄い数です……」


 ナオツグの部屋には沢山のトロフィーや賞状が飾ってありました。

 ワタシもチアをずっとしていたので、この十は軽く超えている数のトロフィーがどれだけ凄い意味を持つのかが良く分かります。


 でも、トロフィーに書かれた年数は五年前を最後にピタッと止まっていました。


「五年前……」

「ネエサン……」

「ううん。ワタシは……大丈夫ですよ?」

「無理しないでよ? だって、ネエサンは」

「しーっ!」


 口に出そうとした悪い妹を、ワタシは静かに注意します。

 ナオツグは寝ちゃっていますけど、あの涙を見るにまだ聞かせちゃ駄目だと思ったからです。


「ごめん……」

「いえ、悪いのは……ワタシですから」


 レイアはワタシなんかよりも頭が良い子なので、すぐに気づいてくれました。

 でも、本当に謝らなきゃいけないのはワタシの方なんです。


「ごめんなさい、ナオツグ……」


 ワタシは、並んでいた中で一番新しいトロフィーを指でそっと撫でました。

 五年前の物なのに埃一つ無いピカピカのトロフィーは、ナオツグが口に出していないだけで心残りだらけなのが嫌でも分かってしまいます。


『全国ジュニア水泳競技大会 100m自由形 優勝 尾津直嗣』


 そうトロフィーに書かれた文字が、ワタシに現実を突きつけてきました。

 ――ワタシが、ナオツグの人生を奪ってしまったんです。

 ナオツグが、溺れたワタシを助けようとして、一緒に溺れてしまったのですから。


「……ナオツグ」


 本当はもっと早くお礼を言いたかった。

 でも、ワタシを助けようとしてくれたナオツグが、心にトラウマを抱えていると知った時には……全てが遅かったんです。

 ワタシも立ち直るまでにかなりの時間がかかってしまったから……。


「ワタシが、絶対にナオツグの人生を取り戻しますから!!」


 でも、今は違います。

 元気になって、苦手な勉強も沢山して、ナオツグに会って恩返しをする為に日本に来ました。


 だから、バス停で出会った時も奇跡だと思ったのです。

 ああきっと、あの時も同じように大慌てで、溺れていたワタシに飛び込んでくれたのかなって……嬉しくなっちゃいました。


「……ネエサン。それを言うならワタシたち、でしょ?」

「……ありがとう、レイア」

「お礼は別に良いわ。アタシも、ナオツグに言いたいことが沢山あるもの」


 それにワタシは一人じゃありません。

 ずっと一緒な大切な双子の妹、レイアが隣にいてくれますから!


「はい! 一緒に、お返ししましょう! ナオツグに……」


 でも、何故でしょう?

 ナオツグが、写真で見た時よりもカッコよくて、ドキドキしてしまいます。

 恩返しをしたいのに、ナオツグといると嬉しくて楽しくて、幸せなんです……。

第一章 海外から双子がやってきた 完


次回


第二章 水着、青春、双子留学生



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