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ホームステイにやってきた金髪碧眼美少女が双子だった  作者: ゆめいげつ
第二章 水着、青春、双子留学生
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第12話 『二人きりマッサージ』

「じゃあ、揉みほぐしていくわね」

「……お願いします」


 薄ピンク色のナース服を着たフレイアに、マッサージをされる事になった。

 俺はベッドの上にうつぶせになって、後ろからフレイアが声をかけてくる。

 同級生の、それも海外からやってきた美少女にマッサージをされるとか、俺は前世でいったいどんな得を積んだんだろうか?

 

 ていうかフレイア、揉みほぐすとか本当に日本語上手だな……。

 ナース服でマッサージをする意味は、ちょっと分からないけど……。


「まずは左足からね」

「うっ……」

「え? 痛かった?」

「いや、くすぐったくて……」

「そう。痛かったらすぐに言ってね?」


 ハーフパンツの下に履いたスパッツ越しに、フレイアの手が俺の足に触れた。

 最初はくすぐったくて変な声が出たけど、ランニングとスクワットで凝った俺のふくらはぎやフトモモが、フレイアの手によってゆっくりとほぐされていく。

 

 とても気持ちいい。

 どうなる事かと思ったけど、普通に、いや、凄く上手なマッサージだった。


「どう? 気持ちいいでしょ?」

「あ、うん……凄く……気持ちいい……」

「ふふん! そうでしょう、そうでしょう? チアで疲れた姉さんにね、よくやってあげてるの!」


 フレイアは得意気に語りながら俺の足を揉みほぐしていく。

 本当に想像以上の気持ちよさで、気を抜いたら眠ってしまいそうなぐらいだった。


「でもナオツグも、ネエサンに負けないぐらい筋肉が凝ってるわよ? 運動した後にちゃんとケアしてるの?」

「……ストレッチぐらい」

「駄目よちゃんとケアしないと! 大事な身体なんだから!」

「……気をつけます」

「……よろしい。ところで、ナオツグは今……何の運動をしてるの?」

「……今は、ランニングと筋トレぐらいかなぁ」

「…………そう」


 ああヤバい。

 本当に気持ちいい。

 マッサージをしてもらっている立場なのに、本気で寝てしまいそうだ。

 フレイアも俺の面白くない回答のせいか少し間があったし、気をつけないと。

 

「……じゃあ、次は右足ね」

「……うい」


 でも、思わず気が緩んで言葉も軽くなっていく。

 気持ちよさで身体だけじゃなく、心までリラックスしていくようだった。

 そう考えると、二人が来てから俺も気を張りすぎてたかなって思う。


「……さっき言ってたけど、フレイアは医者になりたくて留学を?」

「ええ、そうよ? パパとママのような、立派なドクターになりたいからね!」

「……凄いな。俺じゃあ、留学なんて凄いこと……絶対に真似できないよ」

「…………ナオツグなら、そんな事、無いと思うけど」

「いや、俺なんて全然だよ……昔から、助けられてばかりでさ……子供の時に、大きな湖で溺れた事があって……見ず知らずの人にさ……助けて、もらったんだ……」


 俺は、子供の頃に溺れた事がある。

 暗い話だから人に言わないようにしていたのに、つい言ってしまった。

 でも、人を助けるって凄い事だと思う。

 俺もあの時に助けてもらわなければ、今この場にいなかったかもしれない。

 本当に……俺を助けてくれた見ず知らずのその人には感謝しかなかった。


 恥ずかしいけど、顔も分からないその人に、俺は憧れているんだ。


「…………」

「……あれ? レイア?」


 リラックスしながら昔の事を思い出していると、フレイアの手が止まっている事に気づいた。

 振り向こうとしたけど、すぐにフレイアの声が聞こえたので動きを止める。


「……ナオツグは」

「え?」

「……ナオツグは、どうして……溺れ、ちゃったの?」

「え? 湖で泳いでたからだけど?」


 昔は人よりも泳げたから自信があったけど、プールと湖では訳が違った。

 自分の実力を過信しすぎて無茶をした結果、俺は溺れてしまったんだ。


 ……あれ? 無茶って、何をしたんだっけ?


「…………そう」

「うおうっ!?」


 そんな疑問が浮かんだ瞬間、俺は思わず声を出してしまった。

 何故なら、フレイアの細い手が……俺の腰と脇腹に触れたからである。

 足のマッサージが気持ち良すぎて、自分が上半身裸なのを完全に忘れていた。

 しかもフレイアは上半身をマッサージする為なのか、俺の尻に跨ってきたんだ。


「……ナオツグ」

「な、何でございましょう!?」


 変な声が出る、俺。

 何故かと言えば、フレイアが後ろから俺の腰を指でなぞっているからだ。

 くすぐったくて仕方ないっていうか……これマッサージじゃなくないか!?


「……アタシも、脱いでいい?」

「何で!?」


 脱ぐ? フレイアが? 服を? 何で?

 確かにナース服とマッサージの繋がりがよく分からないとは思ったけど、脱ぐのは絶対におかしい。

 まだ俺の方が下も脱げとかならギリギリ理解できるけど、マッサージしてる側のフレイアが脱ぐっておかしいっていうか、ギリギリを通り越して余裕でアウトだ。


 ていうか、どうして湖で溺れた話からフレイアが脱ぐって話になったんだろうか。


「だって……」

「だ、だって?」

「だって……ナオツグだけ服を脱いでて、気持ちよさそうなんだもん」


 溺れた話、何も関係なかった!

 そう言えばフレイアは裸族だった!

 ただ俺の恰好に共感して羨ましくなっただけだった!


 でもマズい、当然それは非常にマズい。

 マッサージをされる俺も、してるフレイアも、服を脱ぐなんて絵面がマズすぎる。

 しかもフレイアは上下一体型のナース服だから、脱いだら下着姿になってしまう!


 ――下着、着てるよな?


「あの、レイアさん?」

「……何よ? もう脱いでいいの?」

「いや、駄目だけど……一応、一応聞きたいんだけどさ……その服の中に下着って」

「さっき脱いだけど?」

「何で脱いだ!?」

「……ネエサンが、ナオツグにパンツ見せちゃったって恥ずかしがってたから」

「じゃあ脱げば恥ずかしくないって発想おかしくないか!?」


 え、じゃあ……何?

 今……俺の尻の上に跨ってるけど、履いてないって事!?

 ヤバいって、本当にこの子の危機感の無さはさぁ!

 姉のフローラも抜けてる所があったけど、こっちは素でやってるって!!


「この服、前に買ったやつだからサイズがキツいのよね……」

「レイアさん!? 衣擦れの音がするんですけど!? 脱いでませんよね!?」

「まだボタン外してるだけよ?」

「まだの意味分かってます!?」


 思わず俺は敬語になる。

 その間も俺の背後というか、上で衣擦れの音が響いていく。


「あぁ。ナオツグ、安心して?」

「な、何が?」

「ブラはちゃんとつけてるから」


 ……助けてフローラ!

 君の妹さ、日本語上手なのに何言ってるかさっぱり分からないんだけど!?

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