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ホームステイにやってきた金髪碧眼美少女が双子だった  作者: ゆめいげつ
第二章 水着、青春、双子留学生
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第10話 『二人きりチアダンス』

 俺の部屋でチアガールの衣装を着たフローラが、スクワットをする俺を応援するらしい。

 どうしてこうなったのかは分からないけど、衣装まで着てやる気満々なフローラの好意を無駄には出来ない俺に断ると言う選択肢は最初から無かった。

 

「じゃ、じゃあ始めるよ……?」

「はいっ! ワタシ、頑張って応援します!」

「あ、ありがとう……」


 胸の前にかかげたポンポンの小刻みな揺れがフローラのやる気を物語っている。

 そのポンポンのおかげで薄い生地の内側から主張している大きな胸が隠れているので目のやり場には困らないけど、その代わりにお腹とおへそはモロだしだった。

 フローラの綺麗な白い肌はさっきも見てしまったけど、こうしてじっくりと見るのは初めてである。


 いやいや……ずっとお腹を見てたらまるで変態じゃないか。

 今はスクワットに集中しないと。


「……よし」

「…………!」


 雑念を払うように一度目を閉じてリラックスする。

 今からやるのはただのスクワットだけど、変なフォームでやったら腰を痛めるので注意が必要だ。

 両足を肩幅ぐらいに開いて爪先は少し外側に。息を吸いながら腰を落として膝が九十度に曲がったところでキープする。そして最後に息を吐きながら元に戻すの繰り返しだ。

 無理に速く回数をこなすのではなく、ゆっくりと適切な負荷をかけていく。


 地味だけど、これが結構キくんだ。


「すぅー……」

「ファイブ、シックス、セブン、エイト……。ゴー! ナオツグ! ゴー!」

「んんっ!?」


 そんな一見地味なスクワットを始めた瞬間、フローラが大きな掛け声と共に動き出した。

 いつもはおっとりふんわりしているフローラの印象とはかけ離れた機敏な動きで両手に持ったポンポンを広げて踊り出す。

 思わず吸っていた息を全部吐き出してしまった。


「レッツゴー! ナオツグ! レッツゴー! ナオツグ! レッツゴー! ナオツグ! ゴー! ファイトッ! ウィン!」


 ガチだ。

 想像していたよりもガチなチアダンスだった。

 フローラは広くない部屋の中で、身体を器用に使ってダンスをしている。

 俺も昔は水泳の大会でチームメイトを応援していたけど、そんな大声を出すだけの応援とはレベルも内容も違っていた。

 

 腕を、足を、声を、表情を、身体の全てで応援してくれていたんだ。


「ゴーゴー! ナオツグ! ゴーゴー! ナオツグ! ゴー! ファイト! ゴー! ファイト! ナ! オ! ツ! グー!」

「お、おぉ……!」


 フローラが本気で応援してくれているおかげで、俺もやる気が満ち溢れてきた。

 そのかけ声に合わせて俺も腰を落としてスクワットを再開する。

 今なら何百何千何万何億回でもスクワットが出来そうな気がした。


「ナオツグ! ナオツグ! ゴーゴーゴー!!」

「おぉ……おぉっ!?」


 そんな素敵な無敵空間を味わっている時に、俺はある事に気づいてしまった。

 フローラにも熱が入り、だんだんと身体を激しく動かす振り付けに変わっている中でその大きな胸がゆっさゆっさと揺れまくってたんだ。

 服の下とかそんなの関係なく上に右に下に左にと、フローラの動きに合わせてそれはもう揺れまくっている。


「ゴー! ファイト! ウィン! ゴー! ファイト! ウィン! ナオツグナオツグ! ゴー! ファイト! ウィーン!」

「う、うおおおおおおっ!!」


 だけど、俺も動きを止める訳にはいかない。

 フローラは本気なんだ。

 そんなフローラの世界レベルに大きな胸の動きを見て固まってはいけない。

 俺は興奮を隠し……いや、その興奮を利用してスクワットのスピードを速める。

 既に最初に言ったゆっくりと適切な負荷をかけるなんて基本は忘れ去っていた。


「ゴー! ファイト! ナオツグ! ゴー! ファイト! ナオツグ! ゴー! フォー! イット!!」

「はぁ……っ! はぁ……っ!」


 窓を閉めきった部屋の中での運動は身体がすぐに暑くなり、春だと言うのに額や全身から汗が噴き出してくる。

 フローラも汗をかいているけど疲れは全く見せていなくて、その体力の多さに驚くばかりだ。


 きっとチアダンスを、昔から続けているんだと思う。

 羨ましいと思うけど、やっぱり尊敬の方が大きかった。

 同じ事をずっと続けてる人って、それだけでカッコいいもんな。


「レッツゴー! ナオツグ! レッツゴー! ナオツグ! レッツゴー! ナオツグ! ゴー! ファイトッ! ウィン!」


 そんなフローラのかけ声も二週目に入った。

 だけど上半身の動きとステップを中心としていた動きから振り付けが変わって、足を大きく上げる振り付けに変わる。

 流石にジャンプはしないけど、それでもハイキックのように足を天井へと上げる身体の柔らかさは圧巻だった。

 

 その短いスカートが足を上げる事でめくりあがり、その内側の下着が見えてしまうけど……それは当然チアダンス用の見せパンだろうから安心で――。


「ふ、フローラァッ!?」

「ゴーゴー! ナオツグ! ゴーゴー! ナオツグ……? ど、どうしました?」


 ――何も、安心出来なかった。

 俺は思わず、見えてしまったそれにスクワットを止めてしまう。

 そんな俺の異変に気付いたフローラも動きを止めるけど、やっぱり息は乱れていなかった。


 って、そうじゃなくて!


「ふ、フローラ……ごめん……変な事、聞くけど……その、スカートの下って……」

「え? スカートの下ですか? それはもちろん、チア用のを履いていますよ? ほらっ!」


 そう言ってフローラは平気な顔をして短いスカートをめくりあげた。

 女の子が自分のスカートをめくって中を見せてくるシチュの破壊力が凄まじい。


「ふ、フローラさん……それ、本当に、チア用?」

「ふぇ……?」


 でももっと凄いのは、その内側が絶対にチア用の下着じゃないって事だった。

 白いフリルのついたそれは、明らかに激しい動きに耐えるようなものじゃない。

 ていうか、俺はそれをさっき、フローラがいつもの部屋着であるワンピースを脱ごうと首元までめくりあげていた時に見ていた。


 フローラの、普段履いている下着……いやパンツだった。


「ほわっつ!?」


 そしてついにその事実に気づいたフローラが凄い勢いでめくっていたスカートを押さえる。

 でも俺はもうバッチリと見てしまっていたので、もう遅い。


 ……だってフローラが見せつけるようにめくってきたんだから。


「ナ、ナナナ、ナオツグ……!?」


 そんな俺にパンツを見せつけてきたフローラが、顔を真っ赤にしながら涙目で俺を見つめてくる。


「……ごめん」


 そして、俺が思わず視線を逸らしながら謝ると。


「わ、忘れてくださ~~~~~~~~~いっっ!!」


 フローラは、物凄いスピードで俺の部屋を飛び出してしまった。


「……ふぅ」


 部屋に一人残された俺は、汗だくのままベッドに腰かける。

 もちろん、忘れられる筈が無かった。


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