007 『過去との邂逅』
目が覚めると何も見えない、真っ暗な空間にいた。体の感覚的にどうやら寝転がってる状況のようだ。
状況を把握しようと動こうするが、鋭く走った痛みによって強制的に中断される。どうやら全身を打撲しているようだ。何本か骨も逝ってるかもしれない。
私は体を起こすのを諦め、現状の把握に努めることにする。
呼吸をしやすくするため、仰向けになって倒れる。
(全身が痛い、こんなにいたいのは久しぶりだな。ここはどこだろう?確か、プラズマグレネードを騎士たちが防ごうとして、でもダメで……)
徐々に直前に起きたことを思い出していく。
そこまで考えて気が付く、プラズマグレネードが偽物なんじゃないかと。
なぜならあれが本物であった場合、私は確実生きているわけがないからだ。
プラズマグレネードは文字通り、爆破範囲内をプラズマ化させ否応もなく全てを無に帰す凶悪な兵器だ。いくら盾で防いだといっても、流石に耐えきれるわけがないのだ。
つまりあれは偽物になるということになる。
なとなく上に視線を集中させてみるが、流石に暗すぎて何も見えない。
私はすぐに諦めると現状自分がどこにいるかを考える子ことにした、
おそらく、怪我の具合的に落下による骨折だろう。と当たりをつける。
普通2層から下に落ちたら3層だ。
だが3層には明かりがついていないという情報はなかったはずだと考える。
(いや、それはあとで考えられる。ヒントは怪我の具合から落下したということだけ。これでも無理やりな解釈なんだ)
そう思うことで無理やり自分をさせるアリス。
(あと魔物に襲われたり、さっきのロボットみたいのがうろついているかもしれない。まずは生き残ることを優先で。とりあえず団長達との合流を目指そう)
そう結論付けると、私は全身から悲鳴を上げる体に鞭を打ち立ち上がる。
(痛み的に、左腕と肋骨の何本かが折れてるけど、これくらいなら動ける。)
怪我の状態を把握し、結構な怪我で嫌になるが。それでも動く。
少しは目が慣れてきたが、壁にぶつかると危ないので右側の壁に手を付けながら歩きだす。
とりあえず今は歩くしかできないので、あのプラズマグレネード投げたロボットのことを思い出す。
(まじであのクソロボット。確か、あれは非常時の予備選力だ。名前は忘れたけどあの国では結構優秀な部類だったはず。なんであんなのがまだ動いてるんだ。この遺跡というか宇宙船はいつからここにあるか分からないが、整備無しじゃ10年ももたないはず。)
そこまで考えて気づく。そういえばあれを動かしてるのは誰なんだと。
足を止めないようにしながらも頭をフルで回す。
(確かあれは、誰かが船のメインシステム、つまり指令室からでしか動かせないように設計されてたはず。つまりあれを動かしている何かが指令室にいるはずだ。でも何が目的でこんなことを?)
うーんと思考を捻っていると、いつの間にか通路が二つに分かれている場所についた。
右を見ると、そっちには明かりがついており、そっちに進んだ方がいい気もする、
だが私はここまできた通路のように、真っ暗な通路を見ていた。
(なんだろう、どうしてもあっちに行かなきゃいけない気がする……)
私はそこに吸い込まれるように一歩踏み出した、が。
『お待ちしておりました。マスター』
という声が聞こえ、頭の霧が晴れるような感覚を感じる。はっとし後ろを振り向くとそこには誰もいない。
『マスター、こっちです。』
音を聞く限り、どうやら声の主は明るいほうの通路の奥にいるらしい。
どう考えても怪しさ満点の呼びかけだが、何故だか危険を感じないので、大人しく従うことにする。
私はそのことを不思議に思いながらも、別のことについて考えていた。
(さっきの感覚はなんだったんだろう…?)
******
少し歩くとすぐに目的の場所についた。
辺りを見回すと、見覚えのある型のコンソールやモニターなどが目に付く。
(この光景、前世で見た時と同じだ。でもそれだけじゃないような…)
なんとなく懐かしさを感じる。
少しの間ボーっとしてしまい、慌てて気を引き締める。
一応間違っているかもしれないので、予想と間違っていないかしっかりと聞いておく。
「ここが指令室であってる?」
『ご名答であります。マスター』
そう聞こえると、真正面のメインモニターと思わしきものが起動する。
「うおっ!?」
突然のことに驚き、思わず声を上げてしまう。
そこに映っていたのは、見覚えのある紋章だった。
「どうして帝国軍のシンボルが?」
突然ことに驚き、思わず呆然としてしまう。
それを笑うかのように、モニターの中の紋章が輝いた。
序楽章『新たな人生の始まり』これにて終幕です。