015 『騒がしい一日の始まり』
鏡の前で髪を整え、寝癖がないか確認する。
「よし」
問題がないことを確認すると、私は横に置いておいた剣とバッグを手に取り、寮の部屋を足早に立ち去る。
部屋を出るときに時計を見たが、結構急がないと遅刻するかもしれない。
だが私はそんな心配などしておらず、別の心配をしていた。
(あーもうなんであんな夢を今日見ちゃうかな~。嫌な予感しかしない~)
そうあの夢だ。
というよりあれはどちらかというと記憶なのだが。前世での一番のお偉いさんことファッキン皇帝陛下によって、とある試験機の起動実験から単騎で連隊規模の艦隊を文字通り殲滅することになった時の記憶だ。
無事殲滅はできたのだが、反動で半年間意識不明の状態になった挙句、全身を機械化しないといけないレベルの重症を負った。
(あれは二度とやりたくないものだけど、あの頃からその時の戦闘がたびたび夢に出るようになっただよね)
所詮オカルトだと最初は思っていたのだが、3回ほど同じように夢を見た後に死にかける経験をすると流石に理解した。今も思っているが私は命に危機に遭遇する頻度が多すぎる。普通は数回では?
(ってそんこと考えてる場合じゃないね。早く行かないとカーラ達に怒られちゃう)
私はそう思考を切り上げると、学院ではなく別の目的地に向けて走り始めた。
******
目的地に着くとクラスのほとんどの人達が既にいた。
私は今回組むことになったチームのメンバーがどこにいるかとキョロキョロと周りを見回していると、相手の方が自分を見つけてくれたらしく、「おーい!」と言いながらこちらに走ってくる数名が遠目に見えた。
暫くすると相手の姿がどんどん大きくなり、目前まで走ってくるとそのまま一団の一人が私に抱き着いてくる。
「アリス~!!」
「ちょカーラ!?いきなり抱き着くのは止めてって何回言えば…」
「アリスが遅いのが悪いのよ?来ないかと思っちゃぇつたんだからね!」
「それとこれとでは話が違う…」
私がなんとか脱出しようとすると試みていると、後ろから現れた二人組に両腕を掴まれそのまま引きずられていった。
「ラインハルト様!リーファ!!離してくだいまし!!私は二日ぶりのアリス様の匂い堪能しなくてはいけませんの~!!」
「落ち着くんだカーラ嬢!」
「正気に戻ってくださいお嬢様!1また距離を置かれてしまいますよ!?」
なにやらあちら側が騒がしいが無視でいいだろう。というか関わりたくない、変態とは距離を置くに限 る。
そう一人で納得していると視界の端からピンクの髪の小柄な少女が姿を現す。
「あはは、相変わらずですねカーラ様は…」
「ほんとにね、吸われる側の身にもなってほしいよ…」
はぁーと息を漏らしながら、未だ騒いでる3人組を見る。
「まあ面白いからいいけど」
ちゃんとした紹介は次回