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011 『面倒な決闘騒ぎ』 下


 私は突然の意味不明発言により、それを理解しようとし動けなくなっていた。


(えなんで私のこと知ってるの?面識ないよね?今すっごいで「アリス様~」されたけど!?どういうこと…?私まだ今世では、ファンができるようなことなんてしてないよ?やらかしてもないよ!?今世では!!まさか私の前世を知っている?いやないわ。あっちではずっとマスクつけてたから素顔を知っているのはほんとに一握りなはず…あのメンツの中の誰があんな言動したとしても、想像しただけで嗚咽がでるレベルの気持ち悪さしか感じないだけど!?)


 と心の中で絶叫していると、彼女は突然あわあわと慌て始めたと思った瞬間。


「あ、あの!ありがとうございました!あっあっあのさっき言ったことは忘れてくださぁーい!!」


 と言い、慌てて引き止めようとするも彼女は脱兎の如き足の速さで去って行ってしまった。


 私は彼女を引き留めようとして出した右手を下ろし、はぁ~と息を吐く。


 私は、先ほど去っていった少女のように空を見上げ、虚ろな瞳になりながらぼそっと呟く。


「なんか面倒事になりそうだから逃げていいかな」

『マスターの自業自得なので頑張ってください♪』

「絶対楽しんでるよね?」

『気のせいです♪』

「いやぜ『気のせいです♪』はい……」


(なんかごり押しで誤魔化された気がする)


 そのあとルークを見かけたので溝内に膝を入れといた。ルークは死んだ。


 そして特に何も起こることもなく、翌日を迎えた……。




******




 祖して今に至るわけだが


―――どうしよう何も解決策が思いつかない


 これがひっそりとした場所でなら一方的にボコって終わりなのになーと思いながら、周りを見回す。


 そう、実はどっかの王太子殿下が派手にやってくれたせいで、生徒たちが決闘を見に集まってきたのだ。しかも騒ぎに聞きつけて先生方の一部まで来てしまう始末だ。おいそこ露店を開くな。


(これだけ人が多いところで貴族を()()()にボコるのは流石にまずいかもな)


 と、どうせなら顔の原型なくなるまで殴るかと考えていた思考を打ち切り、どのくらいまで許されるか考えていると


「では準備はいいか!」


 審判と聞いてきた。


 豚のほうが頷いたので私もうなずいておく。そしてすぐさま私は審判から目を逸らす。


 審判がどうみてもいい笑顔を殿下にしか見えないのは私の目が腐っているからだろう。きっとそうに違いなない。


 と自己暗示をかけていると審判がルールを説明し始める。


「今回は基本何でもありの一本勝負、相手が戦闘を行えない状態にするか、負けを認めさせたら勝ちだ。死にさえしなければポーションで回復でできるからな、好きなだけやるがいい1」


 と、いいながら妙に大げさな身振り手振りで説明する殿……審判。


 そして決闘が始まった。


 開始の合図と同時に、無駄にゴテゴテと装飾された鞘から剣を引き抜き豚が切りかかってくるが、痛いのは嫌なのでひょいひょいと避けることに、


 身体強化程度なら使えるようで、ぶくぶくと太って鈍重そうな体とは裏腹にまあまあ素早い剣撃だ。


(まあまあでしかないんだけどね、あの鎧を外したらも少しマシに動けるだろうに)


 といいながら学生服のまま戦ってる私には言われたくないかと思い直す。


 そう、やつは剣と同じように無駄にゴテゴテとした鎧を着ているせいで、かなり動きずらそうなのだ。


(大方、金に任せて買ったんだろうけど…)


 馬鹿すぎる。と思わず鼻で笑ってしまう。因みにこの間もよけ続けているので相手からは煽りだと思われたらしく、剣を振る速度が上がった。


 だがその程度で私に当たるわけもなく、そのままよけ続ける。


 だがそろそろ真面目にやらないと怒られそうなので、どうやってこの決闘を終わらせるか考える。


(よし、ボコるのはやめて適当に打ち合ってから勝とう)


 全てがめんどくさくなったアリスは適当に決着をつけることにした。


 復讐は盤外でやればいいのだ―――と心の中で邪念を呟きながら、腰に差していた剣を引き抜く。


 先に言い訳しておくがここから適当に打ち合おうと思った、いやほんとにそう思っていたのだ。


 中々に素早い動きで飛び上がり、そのままの勢いで上段から振り下ろされる剣、それと同時にやつの顔を見てしまったのがいけなかった。


「う、うひぃ!」


 荒い鼻息、清潔感の感じられない肌、そしてギラついている目、ついでにデブ。完全に変態の装いである。


 一瞬であの光景(豚ごっこ)の記憶が蘇り、悪寒が背中を駆け巡った。そして私は気づけば


「あ無理」


 と呟き、次の瞬間相手を八つ裂きに、なんてことは流石に思いとどまり。


 身体強化を死なない程度まで強化し、できるかぎり身を屈め、そのままバク転をするように右足を上にあげ、その勢いのまま相手の胴の部分を全力で蹴り上げた。


 かなりの速度で真上にかっ飛んでいく豚、それを視界に入れながら綺麗に着地する私、静寂に包まれる訓練場。


(あやばい、やりすぎた)


 気持ち悪すぎて思わず本気の動きしてしまったと気づいたころには遅く、豚は訓練所の天井に頭が突き刺さった状態でぶら下がっている。真下には結構な量の血も垂れてきており、割と重症のようだ。


―――結局面倒なことになった


 と8割ほどは自分のせいな気がする思いながらも、私の勝利と告げる殿下を尻目に、先ほど蹴り上げたほうの足を全力で拭いていたのだった。


機械使わせたいが、使ったら秒どころか瞬で死ぬので使えないジレンマ_(┐「ε:)_


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