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1話

俺の名前は阿久津亮。好きなものは…コンビニで立ち読みするまんが雑誌…くらいなもの。だからまあ特に無いと言って良い。

しかし嫌いなものなら即答できる。

俺は学校が嫌いだ。

何故なら学校には性格のねじまがった終わっているやつらがいるからだ。

俺は登校中、背後からいきなり肩をたたかれた。振り向くとそこにはクラス一の美少女、神崎愛実。彼女は俺に話しかけてきた。

「おはようございます。」

「あぁ……おはよう……」

「今日はいい天気ですね。」

「そうだな……」

「ところで私のことどう思いますか?」「いや別に普通だけど……」「そうですか。私って可愛いと思いますよね?」「まぁそこそこは……」「だったら、その、私と、つ、つつつつつつ」

彼女が頬を赤らめている。

その時、彼女が何かを言うのを遮るように、クラスメイトの男たちが割り込んでくる。

「おい!神崎さんに何言ってんだ!」「てめぇ!神崎さんの好意を無駄にしやがって!」いつものことだ。こいつらはただ単に俺を標的にしたいだけなのである。俺は彼らを無視し歩き出す。しかし彼らはしつこくついて来る。「ちょっと待てよ!」「お前マジで最低だな!」

そして教室まで到着する。教室ではクラスカースト上位の奴らが談笑している。そこに俺が入る余地はない。だがそれでいいのだ。なぜなら俺は誰とも仲良くしないからだ。すると一人の男が近づいてきた。このクラスの委員長、東雲雄介だ。彼は俺の方を見るなり言った。「君さ、もっと周りと協調した方がいいんじゃない?そんなんじゃ社会に出た時苦労するぞ?」うるさい。余計なお世話だ。お前に関係ないだろ。そう言いたかったが面倒なので言わなかった。すると今度は女子たちがこちらに来た。「あんたさー、いっつも暗いし、喋らないじゃん。」「正直キモいんだけど。」「それになんか臭いし……。」好き勝手言われ放題だった。もう慣れたことだったが。すると神崎愛実が突然大声で叫んだ。「みんな!阿久津くんをいじめないでください!!」すると彼女の周りにいた男子たちが反論する。「なんでだよ!?こんなやつに構う必要ないだろ!?」しかし神崎愛実は引かなかった。「確かに、彼にはいろいろ問題があるかもしれません。でもそれは彼の個性です。それを否定してはいけません。それに彼は心優しい人ですよ?」彼女の発言を聞いた瞬間、クラスの空気が変わった気がした。そしてシンと静まり、しばらくして先生が来てHRが始まった。だが俺は思った。

(ああ、なんでこんな人が、俺なんかに構うんだ…、そんなことをされる義理や恩はないはずなのに…)

そう、こんな目立つことをして彼女がいじめの標的にならないのは、彼女の持つカリスマ敵存在感のおかげだろう

だからこそ思う、なんでクラスカースト上位の枠に収まらない彼女が、どうしてこんな無意味なことをするのか…。

なんだかいじめられるときよりも惨めな気分になる。


だが、その時だった。


「…ん?」

はじめ誰かが気がついた。

何か地面が発光している。

「な、なんだなんだ?」「きゃっ!」「眩しい……!」光がどんどん強くなっていく。やがて教室全体を覆いつくすほどの光量になった。「おい!これやばいんじゃないか!?」「とにかく逃げようぜ!」そう言い逃げ出そうとするが、体が動かない。「えっ?動けない……」まるで金縛りにあったかのように全く動こうとしなかった。それは全員同じようであり、誰一人立ち上がるものがなく困惑の声を上げている。そして意識がだんだん遠ざかり…目が覚めると見覚えのない場所に居た。そこは石造りの部屋のようで壁には松明がかけられており、薄暗く照らされている。床は大理石のようにツルツルしており、天井は高くドーム型になっている。その中央には魔法陣のようなものが描かれている。俺は辺りを見回す。そこには俺と同じように状況がつかめず戸惑っているクラスメイト達がいた。「ここはどこだ?」そう呟くと近くから声が聞こえてくる。「勇者様方!どうか落ち着いて聞いて下さい!」声のした方を向くとそこにはローブを着た女性がいる。彼女は俺たちを見ると説明を始めた。「私はミリア・レイヴン。この国の王女をしております。まず皆さんに謝らなければならないことがあります。あなた方は召喚の儀により異世界から呼び寄せられたのです。これは我が国に突如現れた魔王に対抗するためにどうしても必要な事なのです。お願いします!私たちを助けてください!」そう言って彼女は頭を下げた。それを見たクラスメイト達は口々に文句を言い始める。「ふざけるな!俺らを元の世界に帰せ!」「そうよ!勝手に呼び出しておいて助けてくれなんて都合良すぎ!」「俺らにも生活があるんだ!家族だって居るんだよ!」「そうだ!俺達を帰してくれ!」しかしそれに対して王女は言った。「残念ながら皆さまを元の世界にお返しすることはできません。」そういうと重厚な鎧に身を包んだ兵士たちがやってきて、僕たちを取り囲んだ。「なっ!?」クラスメイトが驚きの声を上げる。「力付くってわけかよ!!卑怯だぞ!!」「申し訳ありません…しかし私達も必死なのです…その代わりとりあえず一生遊んで暮らせるだけの額は用意させていただきます」「マジ?」「へへっ良いものかもしれねえな。ちょうど退屈していたところだしよ」「ケンちゃんケンカつえーしな」

さっきまでの態度とは一変。まあうちのクラスの程度が知れるようだ。

そんな仲、神崎愛実が手を上げて言う「あの、よろしいでしょうか」「なんでしょう」「しかし私達よりもその兵士の方のほうが強そうに思えるのですが」「ああ、ご存知ないのでしたね。異世界転移者は、特殊な力を持ってこちらにいらっしゃるのです。とりあえず「ステータス」と言いながら目の前に手をかざしてください」「何いってんだ?」

やはり…俺の予想通りだ。そう思い、俺はため息を吐きつつ、ステータスと言った。すると半透明の画面が現れる。そこには俺の名前、年齢、レベル、スキルが表示されていた。【名前】阿久津 悠斗 【種族】人間 【年齢】16 【職業】無職 【レベル】1 【HP】10/10 【MP】5/5 【SP】8/7 【筋力】2 【耐久】2 【魔力】3 【敏捷】4 【運】11 どうやら本当にゲームの世界のようだった。しかも初期値がかなり低い。この世界ではこれが普通なのだろうか?そして他の連中も同じように確認していた。「マジでゲームみてぇだ……」「すげえ!俺のHP100もあるぜ!」「マジか…俺は8しかねえんだが…」「ギャハハ!雑魚かよ!!」「でも耐久は40もあるし!」ワイワイと盛り上がる仲すると王女が話しかけてきた。「勇者様方、盛り上がってるところ悪いのですが、それらの数値にはあまり意味はありません。それよりもあなた方が今見ているものの中に『固有能力』の項目はありませんか?それは転移者だけが持つことができる特殊なスキル、あなたの魂に刻まれたもので、決して変わることはありません。それこそが転移者の真価、数値の値が低くてもこの能力如何によってひっくり返るもの…どうでしょう。それを一人ずつ発表していくというのは」

「いいぜ!見せ合いっこしようじゃねぇか!」そうして一人一人順番に能力を公開していった。俺は自分の番になると、緊張しつつ、その能力を読み上げた。「俺の能力は……『身体強化』だ!」「へっ!なんだそりゃ!お前そんなもんなのか?」「うっせえな!文句あんのかよ!」「まあまあ落ち着けよ!俺なんか『経験値増加I』だぜ!」「おお!すげえ!」「おいおい、これくらいで驚いてんじゃねぇよ。俺なんか……」そうして次々とクラスメイト達が発表し、遂に神崎愛実の順番が回ってきた。彼女は自信満々で言い放つ。「私の能力は……『聖女』ですわ!」その言葉を聞いた瞬間、王女は顔を青ざめさせた。「そっそれはどういう能力なのですか?」王女が恐る恐る聞くと彼女は得意気に語り始めた。「私の持つこの力はあらゆる傷を癒すという能力!この力でこの国を救います!」そう言って彼女は胸を張る。クラスメイト達は口々に彼女を褒め称えた。「すっげえ!流石は神崎さん!」「怪我したら頼むぜ神崎!」「愛実ちゃん!素敵!」「ふふん♪任せて下さいまし!」そう言って彼女は微笑む。

「じゃあ次は…お前だ阿久津」「どうせお前は神崎さんと違ってクソみたいなスキルなんだろうけどな」「ギャハハ!」そう言ってクラスメイトの一人が俺の背中を押した。「痛ってえな!なにすんだよ!」「うるせぇ!さっさと行けよカス!」俺は渋々前に出る。「阿久津くん、頑張って!」「期待してるよ阿久津君」神崎さんの励ましの言葉とクラスメイト達の声援を受けて俺はステータスを開示した。「俺の能力は……『鑑定』だよ」

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