97. 報告をする
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──ポポン、ポポン
ライトフォンが鳴っている。
誰かがやっと旧五野八トンネルの奥へ行けたのだろう。慌ててライトフォンを持ち着信画面に表示されている名前を見た。
──"スールイティ団"
「……そうか」
ザンツィルは先に奥へ辿り着けなかったのだろう。スールイティ団のアネアが先に奥へ辿り着き電話をかけてきたようだ。
通話ボタンを押した。
「はい、中央依頼店受付長のロキョウです」
「スールイティ団のアネアです。旧五野八トンネルの奥へ辿り着き辺りを確認しましたが、世界財産は見当たりませんでした。依頼の報告です」
「トンネルの奥には何も無かったのかい?」
「黒い袋が有りましたけど……」
袋を漁るような音が聞こえてくる……何が入っているのだろうか。
「もう一度確認しましたけど、やっぱりゴミが入っているだけです。この袋以外、後は何も無かったんですけど」
「……分かりました。その袋を中央依頼店本部へ持って来て下さい。確認次第、小切手を渡しますね」
「ありがとうございます! では、後で」
──ピーピー
アネアが持っている黒い袋を中央依頼店へ持って来てから、チェックデバイスでいつ頃のゴミか確認をする。近年はトンネルの入り口のドアが閉まっていたので最近の日付が表示される事は絶対に無い。
チェックデバイスから最近の日付が表示された場合は、トンネルの奥へ行けたと嘘をついている可能性もあると疑う。
中央依頼店からの依頼を終えた場合、必ず拾得物はこちらに渡す事が決まりである。
どうやら、世界財産を隠したという噂は嘘だったようだ……。
「ふぅ……」
「受付長、どうかしましたか?」
机で作業をしていたミリがこちらを見ていた。
「いや、ちょっとどうしようかと思ってね」
今回の依頼をザンツィルが達成出来ていれば、詫び金を依頼主に払えていたのだが……。
払えないとなると奪略商は何をしてくるつもりなのだろうか。
「もしかして、報告はスールイティ団からですか?」
どうやら、ミリも気付いていたようだ。ザンツィルを一度本部へ呼んだ方が良いのかもしれない。
「ミリさん、申し訳ないけどチェックデバイスの用意をしてもらっていいかな? スールイティ団のアネアさんが拾った袋を持って来るそうなのでそれをチェックデバイスに通してほしい」
「分かりました」
ミリは立ち上がると保管室へと向かって行く。中央依頼店から依頼を出すのは滅多にない事なので、チェックデバイスは保管室に置いていた。
ザンツィルとラグファミリーからの着信はまだ無い。
何かあったのだろうか……。




