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36  作者: 川之一
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81. 旧五野八(ダラメット編22)


 ……アネアは何を言っているのだろう。


 旧五野八(ごのや)トンネルにザンツィルは入った筈なのに、このトンネル内にいないということなのだろうか。

「ど、どういう意味っすか? ザン兄貴は無事に外に出られるんすか⁉︎ 幻って……」

アネアは小さなため息をつくと首を横に振った。

「残念だけど、審判のコインを持っている限り無事には出られないと思う。幻に気付けないだろうし」

「アネア……分かっていて何で審判のコインを置いていくように言わなかったんすか。ザン兄貴が死んでもいいと思っているんだろうけど、あんまりっすよ!」


 初めてアネアに怒りの感情が湧いたかもしれない……。


 「言う必要性がないと判断したからだけど?」

アネアの目つきが鋭くなっていた。間違いなくスールイティ団に忠誠を誓う者の目だ。


 何が何でも今回の依頼の報酬金をスールイティ団は入手したかったのだろう。だが、よく考えると、実はスールイティ団への忠誠心ではなく、ライメゼに対してではないのだろうかと思い始めていた。

〈もしかして……アネアはライメゼのことが好きっす……⁉︎〉

そう考えたら全てが納得できた。自分が戻ればライメゼも喜んでくれるかもしれない……だからスールイティ団に戻ってほしいとアネアは言ってきたのだろう。


 「なるほどっす……ライメゼは皆に好かれてるっすね。ザン兄貴と違って性格良いっすもんね」

歩き出そうとしていたアネアはこの一言を聞いて、再びこちらを振り向いた。

「急に何? リーダーとあんな奴を比べること自体が失礼だわ」


 借りていたハンディライトをアネアの前に差し出す。


 「ライメゼには大勢の仲間がいるっす。だけど、ザン兄貴には誰もいないんすよ。性格はキツい時もあるっす! でも、皆気付いていないだけで根は優しい人なんすよ」


 アネアはこちらを見たまま黙ってしまった。ハンディライトを返して、暗闇の中で入り口に戻ってみよう。暗ければ念達も現れてくれるかもしれない。

「俺、ザン兄貴を助けに行くっす‼︎」

「……勝手にすれば。もう死んでるかもしれないのに。ダラメット……あなたまで馬鹿になってしまったのね、残念すぎ」

そう言うと、アネアは差し出していたハンディライトを受け取り、入り口の方へ歩いて行ってしまった。


 もう、周りは真っ暗で何も見えない。


 壁の位置を確認し、左手を当てて壁を伝いながら歩き始めた。

「ザン兄貴ーー‼︎ どこにいるんすかぁああ⁉︎ 幻に騙されちゃダメっすぅう‼︎」

限界まで大きく叫んだ。


 トンネル内に自分の声が響いていく。


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