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36  作者: 川之一
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79. 旧五野八(ダラメット編21)


 「ア、アネア⁉︎ いつの間に追いついていたんすか⁉︎」


 アネアは小さな黒い袋を持つと、持っていたハンディライトをこちらに向けた。袋の中に世界財産が入っているのかどうかまだ確認をしていない。だが、よく考えると貴重な世界財産をあんな小さな黒い袋に入れるのだろうか。

「先に行くから焦っちゃった。まさか、先に世界財産を奪おうと考えていたの?」

「ち、違うっす! 俺が先に行って持って来て渡そうと思ったんす! 早くこのトンネルから出たくて……」


 「あー! ザンツィル、死んでるかもね」


 その一言を聞き唖然としたまま無言になる。審判のコインを持っているザンツィルが危険だと分かっていて利用したのはアネアだ。それをまるで他人事のように言っていることに驚く。


 だが、自分もアネアの作戦にひっかかってしまった。


 自分がアネアに少しでも好意を抱いていたことに気付いていたのだろうか。トンネルの入り口で異様に言い寄って来るアネアに違和感を感じれなかった自分にも責任がある。何故かとても悲しい気持ちが押し寄せて来ていた……。


 過去に自分と仲良くしてくれていたのも"スールイティ団のアネア"としてなのだろう。


 「まぁ、もう3000万ゴルドの小切手はスールイティ団の物で確定ね。世界財産がなくてもこの黒い袋があれば、"先にトンネルの奥を見た"のは私ということになるから」

「アネア……」

ザンツィルの詫び金の件を話せば報酬金を半々に分けてくれるのではと思っていたが、どうやらアネアはライメゼと喧嘩したザンツィルをあまり良く思っていないらしい。


 だから、ザンツィルが死のうとアネアは何とも思わないのだろう。


 〈報酬金……くれるわけないっすよね……〉

冷静に考えれば言うだけ無駄だ。


 「この袋の中に世界財産が入っていれば一石二鳥よね。さてと、この軽い袋の中身は何なのかしら?」

アネアは黒い袋を開けた。

「えっ」

「ありゃっす?」


 ……袋の中はゴミだらけのようだ。


 入っていたのはジュースの缶やお菓子が入っていたであろう紙袋等だ。やはり世界財産が入っているにしては随分と軽い気がしていた。それに、貴重な世界財産をゴミ袋に入れることがそもそも有り得ないだろう。


 「あーあ、残念! 旧五野八(ごのや)トンネルには世界財産はありませんでした! この袋を持ってロキョウさんに伝えれば依頼は達成ね」

アネアは袋を持って入り口に戻ろうとしていた。

「ま、待つっす! ザン兄貴はこのトンネルにいるんすよね⁉︎」

自分達は無事に戻れるかもしれないが、ザンツィルはどうなってしまうのだろう。このトンネル内にいれば入り口に戻る前に合流できる筈だ。


 「……このトンネルよ。だけど、このトンネルではない。念達が作った永遠と同じ道が続く幻のトンネルにいるかもね」


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