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36  作者: 川之一
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78. 旧五野八(ザンツィル編8)


 黒い布で顔や体は覆い隠しているが、両手と両脚だけは少し見えていた。靴も履いておらず裸足の状態で走っていたようだ。色眼鏡を少しずらして見ると肌の色も蒼白く見えるような気がする。

「アァアアアニニキキキキィィイ‼︎」

右脚に石を当てた筈なのに怯まず再び近付いて来る。全く痛がる様子もないことに違和感を感じていた。

「じょ、冗談だろ……あんなデカい石を当てたのに⁉︎ 痛くないのか⁉︎」


 やはり……人ではないのかもしれない。


 走って追いかけて来たのに黒い布の人物は全く疲れている様子がない。再び剣鉈を大きく左右に振りだしていた。

〈あんな本気で振ってるもんに当たったら、骨折だけじゃすまないぞ……くそっ!〉

急いでまたトンネルの先へと走り出す。


 だが、先程まで走っていた所為か疲れるのが早くなってきている。


 まだトンネルの奥が見えてこないことに不安を感じ始めていた。いや、もし奥が見えてきたとしてもそこから外に出られるのだろうか。

〈はぁはぁ、やっばい……本当にしんどい。このままじゃ追いつかれちまう〉

「マダァアアアマダァナンススス‼︎ シンパパパノコインンン‼︎」

「はぁはぁ……」

息が切れてとても走れるような状態じゃない。黒い布の人物の走る速度は全く落ちていない……こうなったら何としてでも怯ませなければ。


 黒い布の人物がいる方に振り向く。

〈剣鉈の攻撃を避けて、奴から奪えば!〉

黒い布の人物はずっと同じ方向に剣鉈を振っている。それを避けて、腕を肘で叩き剣鉈を奪えば逃げることができるのではないだろうか。

「シシシシシシシ‼︎」

「ふざけやがってぇえええ‼︎」

黒い布の人物に向かって走り出した。全く同じ動きをするのならば、先ずは左上、右下、右上、左下と剣鉈を振る筈だ。ならば、最初は左下から黒い布の人物の背後に回ればいい。


 ──ブンッ


 〈よし、避けれた! これで背後から剣鉈を持っている腕を掴めば……〉

黒い布の人物は突然、柄でこちらを目掛けて殴ってきた。

「う、嘘だろぉおお⁉︎」


 ──ガッ!


 「いっーてぇぇえええ‼︎」

しゃがんでいたので右の頭部に当たってしまった。予想もしていなかった攻撃に思わず後退りをしてしまう。黒い布の人物の側まで近付けたが、後ろに下がらなければ再び殴られていただろう。

「いってぇ……!」

押さえていた右手を頭部から離すと手のひらには少量の血が付いていた。右の額から頬へ血が垂れていくのが分かる。かけている色眼鏡にも血が付いてしまったようだ。

〈や、やっばぁ。こんなヤバい状況っていつ以来だよ……ダラメットの奴もいねぇし……〉

「アァァアアアア、シシシシシシ‼︎」

「てめぇは、いったい何なんだ……」

黒い布の人物は再び剣鉈を振りだしながら近付いて来る。痛みで動けず地面に右の片膝を突いていた。


 ……早く立ち上がらなければ危険だ。


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