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36  作者: 川之一
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77. 旧五野八(ダラメット編20)


 「はぁはぁ、ザン兄貴無事でいてくれっす‼︎」

急いで奥へと向かって走る。もし、アネアが言っていた念がザンツィルの方へ向かったのならば、ザンツィルはトンネルの奥に辿り着くことができるのだろうか。


 アネアはトンネルの奥へ行かせてくれなかった、と言っていたが……。


 審判のコインを持っていない人物に対してはトンネルの奥へたどり着けないようにするだけのようだが、審判のコインを持っている人物には何をするつもりなのだろうか。

想元山(そうげんざん)で亡くなった人達が審判のコインに怨みがあるとしたら、ザン兄貴を攻撃するんじゃ……!〉

急いだ方がいいのかもしれない。ザンツィルの物を動かす36番力では倒すことは不可能だろう。

「やべぇえっすぅううう‼︎」

走る速度を更に上げる。トンネル内の開けた場所を走り抜けて更に奥へと進む。


 念がザンツィルの方へ行ったというのは本当なのか全く何も起こらない。何故か恐怖も感じない……これが本来の五野八(ごのや)トンネルだったのだろう。

「ザン兄貴はあなた達を殺した人じゃないっす‼︎ だから、兄貴を襲わないでほしいっす‼︎」

叫びながらトンネルの中を走り続ける。もしかしたら、ザンツィルに向かっている念に声が届くのではと願いながら。


 叫んだ言葉がトンネルの中で反響していた。


 息が切れてくる……だが、走っている足を止めるわけにはいかない。

「はぁはぁはぁ、もうそろそろの筈っす‼︎」



 ──ハンディライトで照らしている先をよく見ると、トンネル奥のコンクリートの壁が見えてきた。



 「よっしゃあっす‼︎ やっと奥っすっうう‼︎」

トンネルの奥へやっと着いたようだ。


 慌てて辺りをハンディライトで照らすが、コンクリートの壁の下には何も見当たらなかった。

「……何もないじゃないっすか」

ふと、壁側の方に小さな黒い袋が落ちていることに気が付いた。小さな黒い袋のみが落ちているだけで後はもう何もない。

「も、もしかして、これが世界財産っすか⁉︎」

震えた両手で固結びされた袋を解いていく。砂で汚れており、最近置かれた袋ではなさそうだ。


 もし世界財産が入っていたとしても、アネアに渡して早くこのトンネルから一緒に出るしかない。渡さなければ意地でもこのトンネルから出ようとしないだろう。揉めている間にも、ザンツィルが襲われていたら……。

「やべえっす! やべえっすよ! な、中は⁉︎」


 開けようとした瞬間、黒い袋が急に浮かんだ。

「えっ」


 「全く……渡すわけないでしょ」

いつの間にか背後にいたアネアに黒い袋を取られてしまったようだ。


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