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36  作者: 川之一
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75. 旧五野八(ダラメット編19)


 「死んでしまう? 審判のコインがあって番力も使えるのに⁉︎」

ライメゼが教えたのか、アネアもザンツィルが番力を使えることを知っているようだ。


 自分の勘は変なところで当たる。もし、この勘が当たってしまったら……。



 スールイティ団に戻ったとしても、後悔しないでいられるだろうか。



 自分も審判のコインに興味がある。ザンツィルと離れている間に古典があるレェーン図書館に寄って、過去に審判のコインに選ばれた人達のことを少し調べていた。


 ──過去に選ばれた36人にも当時は名前がなかったが、番号が彫られているコインを女神に渡されていたようだ。だが、36人は突然争いを起こし、お互いの番力を使った殺し合いでほとんどが亡くなっている。そして、言い伝えでは残った数人は殺し合いを始めたことによって女神の怒りを買い、殺されたということになっている。


 『女神が怒ったのは殺し合いを始めたから……何で36人は殺し合おうと思い始めたんすかね』

その先のページを捲っても理由は書かれていなかった。書かなかったというよりも、分からなかったのだろう。


 『あのコインは殺し合いを始めると……審判を下すってことっすか?』


 だが、ザンツィルが殺し合いをするとはどうしても考えられない。再び起きた女神に選ばれてしまった36人は……もしかしたら過去と同じような運命に?

『眠りの箱を開けた奴、とんでもねぇ事してくれたっすね。ザン兄貴は絶対に殺し合いなんかしねぇっす! 同じようにはさせねぇっすよ!』



 アネアは過去の36人のことを知っているのだろうか。

「……審判のコインは良いもんじゃねぇっすよ、アネア。アネアは世界財産の一つとしか思っていないだろうけど、言い伝え、一度は聞いたことあるんじゃないんすか?」

「……」

ジッとハンディライトで照らしているトンネルの奥を見たままアネアは無言になっていた。気分良く一緒にトンネルに入ったのはいいが、騙されたことに落ち込みいつものテンションではいられなくなっていた。

「よく分からないけど、リーダーは私やあなたを信頼しているわ。スールイティ団に戻るのならいつでも歓迎するから」

「それは嬉しいっす。ライメゼにも感謝していたと伝えてほしいっす」

「分かった。この先を真っ直ぐ行けばトンネルの奥に着く筈よ、行きましょ」

ザンツィルを捜しに行きたいが、ここまで来てアネアをおいて入り口に戻るわけにもいかない。


 世界財産を絶対に渡すなと言われていたが、今はザンツィルを捜すことを優先した方がいいだろう。

「アネア、少しここで待っててほしいっす! 俺が走って奥まで行ってくるっす!」

「えっ⁉︎ ちょ、ちょっと!」

トンネルの奥に向かってハンディライトを大きく左右に揺らしながら走り出した。


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