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36  作者: 川之一
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71. 旧五野八(ダラメット編17)


 『……』

物凄く驚いた表情でこちらを見たままザンツィルは固まっていた。

『ア、兄貴? どうしたんすか? 大丈夫すか?』

何故か突然ザンツィルは停めてある車の後方へ慌てて向かう。自分がどこに乗っていたのか確認をしているようだ。


 ザンツィルが乗っているSrun(スカイラン)-T08の車体はセダン。走り出した時に慌ててトランクの上に乗り、車体を掴んだままここまで一緒について来てしまった。自分も力尽きて落ちてしまうだろと思っていたが、ザンツィルが早めに車を停めてくれたおかげで無事に降りることができた。

『じょ、冗談だろ……結構な距離を走って来たんだぞ……』

『何が何でもザン兄貴について行きたかったんすよ〜。俺、凄いっす〜』

軽い口調で話していた。


 『馬鹿野郎!!!! 何考えてやがんだ‼︎』


 ザンツィルが大声で怒り出したので、思わず驚いて後退りしてしまった。もしかしたら、必死に掴んでいた所為で車体にキズをつけてしまったのだろうか。ライメゼと言い争いになっていた時よりも怒っているように見える。


 キズをつけてしまったのなら自分が悪い……急いで謝った方がいいだろう。


 『す、すまねぇっす、兄貴‼︎ 俺が修理費を……』

『落ちてたらお前死んでたぞ‼︎ 馬鹿な事しやがって‼︎ 二度とこんな事するな‼︎』


 ……車ではなく、自分のことを心配してくれている?


 驚いたまま立ち尽くしていた。


 ずっとザンツィルを冷たい人物だと思っていたことが間違いだったと気付く。スールイティ団を仲間だと思っていなかったとライメゼは言っていたが……。


 『そんなこと……ないじゃないっすか……』


 落ち着く為かザンツィルは深呼吸をしてから運転席に向かって歩き出していた。正直、絶対に仲間にしたくないと何度も言われ続けるようならついて行くのを諦めようと少し考え始めていた。


 だけど、今はどうしてもこの人の力になりたい。


 驚いて猫背になっていた背筋を伸ばし、しっかりと立った。

『ザン兄貴‼︎ いや、ザンツィル‼︎ 俺はどうしてもあなたの力になりたいっす‼︎ お願いします、仲間になりたいっす‼︎』


 ザンツィルもイラっとした表情で再びこちらに目を向ける。

『オレの所為でお前も追い出されたのなら、悪かった。悪いが、何度も言うが! オレは仲間なんて……』


 自分の目はしっかりとザンツィルを見ている。

『……』

ザンツィルは何故か驚いた表情で無言になっていた。


 深いため息をついてザンツィルは頭を掻いた。

『仲間だの何だの本当にうるせぇんだよ。もう勝手にしろ』


 ……勝手にしろ、ということはついて行ってもいいということなのだろう。

『や、やったぁああああっすうう‼︎』

嬉しさの余り両手でガッツポーズをする。


 ザンツィルも疲れたのか運転席の前で小さく再びため息をついていた。


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